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山へ行く 【145/1096】

考えにとらわれて
動けなくなるのがいやだ
いつも前を向くために
動いて進んでいたい
距離を保つために 
物理的に離れることもときに必要
ほんとに元気がないときは
寝ていたい
休息は大事

先日は思い立ったので
山へ行ってきた
そんなに遠くない
気分転換にちょうどよい山へ
山の中は静かである
風の音 鳥の声
人工物は見えず
木と空しかない

ひたすらに歩く
ときおりおやつを食べ
おにぎりをほおばる
なにも考えない
水を飲んで潤う身体
まだ歩けそうだ
ほとんど誰ともすれ違わない道程
ただ歩をすすめることに
集中する
マスクもいらない
空気をたくさん吸い込んで
吐いて吐いて
進んでいく

小さい頃の田舎の風景を
思い出す
裏山にはターザンあそびができる
蔦がぶらさがっていた
ぶらぶらとよく遊んでいた
落ち葉を踏みしめる音 
木々のこすれる音
山の下には田んぼが広がる
小さい川
赤い実がなる木
食べられる雑草
道端のちいさな用水路
赤いみみずがいた
やもりがはう家の玄関窓
懐かしく思いをはせる

自然の中にいることが
とても心地よかった
いまでも川が好きだし
山の中が好きだ
山に行くと
好きなところに戻ってきたような
気持ちになる

好きなところは
自分らしくいられる場
普段いろんなことに
気を使っている自覚はないけれど
状況的に何か
溜まっていくものがある
そういうものが
溶かされていくような気もする
山を進むごとに
拡散されるような
洗われていくような

遠くに海が見えた
太陽に照らされ光っていた
足をとめてしばらく眺める
近視眼的な視点が広がっていく
日常からはなれて
自分に戻っていく

気持ちが晴れる瞬間があることは
救いである
どんなときも必ず
希望はあるのだと信じたい
自分に戻ることで
偏ったり思い込んでいたことが
紐説かれて
きみのことも
ちがう視点で感じられるような
そんな気がする

心と体はつながっているから
どちらかゆるめば
お互いに作用するのだろう
またすこしきみに
近づいた気がする
気のせいでもいいのだ
残されたものには
それでもいいのだ

今日もありがとう