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【689/1096】むなしさ

「上のお兄ちゃんはどうしてる?」
「いま何歳だっけ?」
「どこで暮らしているの?」
何気ない質問
自分のことばかり話すのは悪いかなと
こちらにも気をつかって
聞いてくれている言葉

「How about you?」そういう感じ

うん 悪くないよ
なんて適当にあいづち
まあ元気にしてるよ 
ぼちぼちかな
これまで何度も言ってきた
特定できず 
それ以上聞きようもない答えを述べる
だってさ 答えようがない
たわいもない世間話で
「それがね亡くなったんだよ」
なんて言えるわけもない
言ったところで気の毒がられ
去った後には 
他の人に話すだろう
思いもよらぬ重たい内容は
普通の人には抱えられない
だから 他の人に話すことで
重荷を 聞いてしまった罪悪感を
薄めて 分配して 気を楽にする

言ったこちら側は
なにも変わらない
重荷は減らないし かえって悲しくなる
気の毒に思うしかないことを
人に共有してしまったことへの後悔
言ったことは取り消せない
こんなセンセーショナルな内容なら
なおさら 実はうそ 
なんて言えないよね
言ったとて 信じられないよね

いま頃 誰かにしゃべってるかなー
パートナー 親 友だちなどなど
親密な誰かに話すだろうな
そして あることないこと
想像するんだろうな
SNSにあげている人もいたな
あれはショックだった
批判する内容ではなかったものの
誰か特定できるものでないとはいえ
ネット上で自分の家の
きみに対することが書かれていたとき
凍りついた
まじか… とともに
なんで知ってるんだろう?と思った
その人には打ち明けていないのに?
そうか 彼女と親しい人には告げた
そこから聞いたのかな
告げた人に
口止めすればよかった
こんなこと 他人に言うと思わなくて
言わないでほしいと言わなかった
わたしのFault 責められない
そもそも 他人を責められない
けれど 深く傷ついた 
ショックだったな

そういうものから逃れるため
余計な不安を持たないために
打ち明けることを控えた
怖くなった

そんなわたしたちは
専門家いはく「閉じ気味」だそうだ
普通(?)だと
もうすこし開示しているとのこと
開示する機会や相手が少ないとは
言われるまで気づかなかった

他の人たちはもうすこし
自己開示しているのだろうか
たしかに 匿名のnoteでさえ
特定することばを使っていないし
あえて使わずにいる
分類されたくないのか
すでに分類しているからなのか

人の口に戸は立てられない
そうなんです
昔の人はよくわかっている
いろんなことをむなしく感じる
そういう日もある

残された者の日々