【アウトライナー関連書籍】奥出直人「良い文章のための方法論」(『パソコンを思想する』より)
「良い文章のための方法論」
『思考のエンジン』の奥出直人が、アウトライナーを使わずにアウトライナーによるプロセスライティングをシミュレートする方法を解説した文章があります。『パソコンを思想する』という1990年のムック本に掲載された「良い文章のための方法論」という文章がそれです。
アウトライナーをシミュレートすると言っても、単に昔ながらのアウトライン(≒構成案)を作って書くという意味ではありません。あるいは付箋やカードを使って構成を検討するということでもありません。プロセスライティングはもっとずっと複雑です。
面白いのは、それをアウトライナーを使わずに行うことによって、そのメカニズムが浮かび上がってくることです。
「良い文章のための方法論」の詳細目次は以下のようになっています。
『思考のエンジン』前半部で、奥出は実際の論文のライティング(正確にはリ・ライティング)の様子を詳細に示すつつ、アウトライナーを使ったプロセスライティングを解説しています。
このときの作業は英語で行われていました。使用ソフトはアウトライナーのGrandViewとワープロのWordPerfect。いずれも日本語は使えません。MS-DOSの時代なので、英語版ソフトでは日本語(というか2バイト文字)自体まったく受け付けないのです。
では、奥出は日本語はどうやって書いていたのでしょうか。『思考のエンジン』当時、奥出は日本語ワープロとしては一太郎ver.2を使っていたと言います。あの『思考のエンジン』が一太郎で書かれたと思うとちょっと不思議(?)です。
奥出は当時入手できた日本語のアウトライナーをいくつか試したものの満足できず(英語のアウトライナーを使っていた感覚で使えず)、結局日本語で書く場合は「ワープロとコピーとバインダーを使ってアウトライナーの機能をシミュレートしていた」というのです。「良い文章での方法論」での学生の論文指導でも、その方法が使われています。
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