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◎百足の草鞋/帰還!京阪怪獣王催事編・躍動!新世界怪奇活劇往来編

 おめでたいことに6・8京都みなみ会館再開、とのニュースが。みなみ会館とその他のミニシアター、名画座、怪獣界隈の様子を振り返ったこの連載もそろそろ終わってもいいかもしれません。これからまた新しい思い出ができるから。さて、2019年5月。相変わらず映画館にも通ってましたが、それ以外のイベントにも顔を出していました。

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京都の恵文社一乗寺店にて『ムービーマヨネーズ2刊行記念イベント』があった。そもそもムービーマヨネーズとは? ゲストのグッチーズとは? 刊行記念というからには書籍かなにかだろう、という浅い情報。それだけで京都にいくのか? 行くのだ、ゲストが京都みなみ会館の吉田館長とスタッフの尾関氏だからだ。夏に再オープン、それまでに何かしらみなみ会館を感じていたい。新たな情報があるかもしれない、そんな思いがあったから。
京都一乗寺といえば、宮本武蔵が吉岡一門と斬りあった土地、というこれまた浅い情報。イベントは19時開始。ムービーマヨネーズとは、未公開映画を配給、公開する団体グッチーズの上映イベントの際に作られた冊子のこと。グッチーズ教頭の降矢氏による、面白い映画を観客に届けることの困難さと楽しさ、吉田館長による新みなみ会館情報と、イベントはあっという間に終了。
 しかし映画が好きだといってるくせに知らない作品、見ていない作品が多すぎる。とりあえず『アメリカンスリープオーバー』を見ないと。(ブログより)

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『みなみ会館を感じていたい』とか、気持ち悪いこと書いてます。感じるも何も鉄筋建築や。イベントの後には京都名物のラーメンを食べて帰りました。旧みなみ会館は更地になり、新みなみ会館は着々と完成に近づいている、そんな頃です。

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 5月は他に新世界で中島貞夫監督の『東京=ソウル=バンコック実録麻薬(覚醒剤)地帯』『狂った野獣』の東映アクション二本立て。


『狂った野獣』は、京都市バスに乗り込んだ銀行強盗がバスジャック! しかし運転手は心筋梗塞、おまけにバスには宝石泥棒渡瀬恒彦が乗っていた! という不幸のトリプルクロス。こんな偶然あっていいのか、映画だからいいのだ、という開き直り。『スピード』よりも早いバスパニック映画。エゴがむき出しになるバスの乗客、責められると弱いバスジャック、そして渡瀬恒彦。京都から琵琶湖までひたすらクラッシュ! とにかく走って壊す! 最後は泳ぐ! ほぼノースタントで挑む渡瀬恒彦のクールな狂気。被害者だったはずのバスの乗客もいつしか共犯になる皮肉。

『実録麻薬地帯』は妹の死の原因を突き止めるために韓国に向かった千葉真一が、巨大な陰謀に巻き込まれ、謎を追って、ソウルからバンコクへと海外ロケを盛り込んだアクション。どこに行っても白スーツの松方弘樹、空手アクション夜明け前で、とにかく走る千葉ちゃん。どこかのんびりした空気を漂わせつつ、謎を追う。中島監督はとにかくはみ出し者にスポットを当て、権力者に対してとことん牙をむく。(ブログより)

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 その翌日には『キングコング対ゴジラ4kリマスター版』をMOVIX八尾で。みなみ会館復活も気になりますが、ハリウッドゴジラの第2弾『ゴジラ・キングオブザモンスター』の公開も近いので、関連イベントも徐々に増えてきたのです。

それを迎え撃つべく、すっかりおなじみになった大阪ロフトプラスワンウエストで新作歓迎イベント『オールUSA GODZILLA総進撃』が催されました。

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アメリカでゴジラはいかに活躍したのか? を有識者で語るイベント。メインは新作ではなく、1998年のローランドエメリッヒ版ゴジラ、というのが実にここのイベントらしいといえば、らしい。
 いつもなら司会、なのですが今回はゲスト。あの時、人生のすべての運を使ってニューヨークで一足お先にエメゴジを見た人間として、ということで。
 いつものように関連書籍、おもちゃをカバンに詰め込んで、電車に乗り込んだものの、重い、とにかく重い。子供一人をボストンバッグに詰めてるような感じ。しかも、紙袋からはゴジラの尻尾がポロリ、いやチョロリとはみ出している。こりゃ職質ものだ。こんな重いものを担いで人通りの多い心斎橋を歩くのか。カバンを動かすたびに、中のゴジラにスイッチが入って、ぶるぶる震え、アエエエと吼える。一瞬隣の席の女性が『え?』と顔を上げた。(ブログより)

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 イベントは東京からお越しのガイガン山崎氏、シナリオ収集家の電脳小僧氏、キャスト中村社長、そしてゲキメーション映画『バイオレンスボイジャー』の宇治茶監督という顔ぶれで、アメリカンコミック、アニメ、そして実写映画に至るゴジラの道のりを、軽く、時に濃く話すというもの。エメゴジにちなんで、イベント特別メニューはマグロ丼。いい感じにわさびが効いておりました。(ブログより)

 5月の最後には再び新世界へ。

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 ポンと時間が空いたので、学校帰りに別の映画を。御馴染み新世界東映で『トラック野郎度胸一番星』『ポルノ時代劇忘八武士道』の二本立て。

 先週はバスが暴走し、今週はトラックが暴走する新世界。

 『トラック野郎』は笑って、走って、ちょっとだけしんみりさせて、でも走って笑って……の賑やかな内容。美人幽霊の導きで佐渡行きを決めた主人公、星桃次郎。ガイドブックの中には三島由紀夫『サド侯爵夫人』。トルコ嬢をバックで攻めながらマドンナの手紙を読む桃次郎『桃次郎さんは今何をやっているのかしら』『ヤってません、挿れてるだけです!』等々くだらない、だがそれを生み出すには高等なテクニックを必要とされるギャグが積載量オーバー気味に展開。ライバルキャラ、ジョーズ軍団のボスに千葉真一。先週に続いての新世界の千葉ちゃん。全身で飲むようにシャワーを浴び、食らいつくすように恋人と口づけをするパワフルさ。『4チャンネル無線は俺たちのものだ!』とガキ大将な駄々をこねる困ったトラッカー。でも彼は原発建設に賛成した故郷を見限った男。その仲間もまた、故郷を亡くしたはぐれ者たち。佐渡で小学校教師を務めるマドンナが言う『故郷はどこにでも作れる』という言葉と対を成す存在。故郷のない男たちと、故郷を捜す女。桃次郎の相棒、ジョナサンがトラックを捨て、佐渡で金探しに夢中になるが、全く取れずにイライラを募らせる。『金ならあるだろ、母ちゃんと10人の子供が!』と叱咤する桃次郎。ここでいう『金』もまた『故郷』に置き換えられないか。帰る場所のある者たちと無くした者たち、いつもならフられる立場の桃次郎に起こる幸運、しかし新たな故郷を見つけた矢先に起こる悲劇。
クライマックスはマドンナもライバルもどこかに置いて、恒例のトラックタイムトライアル、警察を向こうに回しての大暴走。星の数ほどある日本の道が彼の故郷なのかもしれない。


『ポルノ時代劇忘八武士道』はかつて京都みなみ会館で見て以来の鑑賞。ニュープリントで驚いた。冒頭の真っ赤な夕陽の中での、主人公明日死能と捕り方との立ち回り。ぶつかる刀から火花が散り、鮮血が飛び散る中、浮かび上がるクレジット。人斬りに飽きた死能が川に飛び込むと、水底でゆらゆら揺れる『監督 石井輝男』の文字。ここでぐっと心つかまれる。その凄腕を見込んで吉原そう名主の用心棒となった死能と、公儀探索方黒鍬衆や、私娼との抗争を描きつつ、タイトルに違わぬエロも盛り込んだ一本。原作は小池一夫。これが追悼上映、ということになるのか。クライマックスの雪の降る中での立ち回りも壮絶。阿片に体を侵されながらも斬り続ける死能、最後に死ぬでもなく、立ち尽くす姿で映画は終わる。このまま吉原で生きた氷柱になるのか、それだとシン・ゴジラだ。吹雪が舞い『完』の字になるのは次週公開の『直撃地獄拳大逆転』と一緒。そう、来週もここに来ないといけないのだ。(ブログより)

 そして6月。ゴジラが帰ってきたのでした。

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 初見時の感想『ガチャガチャしてた』。とにかく情報と怪獣を追っかけるのに精一杯。ブレーキの壊れたダンプカー、いや違う、高齢者が乗ったプリウスの如く、緩急のつけ方が極端。で、面白くないのか? と言われると素直に『面白かった』。監督の『こういうの見たいんでしょ?』なドヤ顔が見えるぐらいにサービス満点の大怪獣バトル。アメリカ人のゴジラ感はいつまでも初代『ゴジラ』かよくて『怪獣総進撃』だろうと思ったこちらの偏見を軽く吹っ飛ばしてくれた。平成VSシリーズだ! こいつ、令和時代に平成ゴジラを復活させやがった! そうか、今の若手監督からすれば平成ゴジラも初代はじめとする昭和ゴジラ並みに『お手本にすべき古典』になったという事か。(ブログより)

 初日に一人で、そして2回目は次男と鑑賞、3度目はMX4D。色々あるけどアメリカンカイジュウバトルの面白さを堪能できる一本でした。で、ゴジラの後はまたまた新世界。

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 今週は『直撃地獄拳大逆転』『不良番長一網打尽』の東映コミカルアクション二本立て。今週も千葉真一であり、石井輝男なのである。


『大逆転』は学生時代、ビデオで見て大きな衝撃を受けた作品。大の大人がくだらないことに一生懸命になってる! 表向きはマフィアから宝石を奪取する甲賀忍者、殺し屋、金庫破りの痛快アクションなんですが、その実は全編下ネタ気味のギャグがちりばめられた狂った一本。下ネタといっても、ウンコチンチンの小学生レベル。でもアクションはばっちり決まってるから面白い。いわば大人のコロコロコミックである。


 この映画とにかく突っ込み役が不在なのである。なので、ブレーキが壊れたようにギャグが加速していく。一見まともな中島ゆたかも池辺良もどこかがおかしい。ゲスト出演の丹波哲郎も可憐で強い志穂美悦子も、メインの三人のギャグ合戦に触れない。突っ込みがいると逆にこの映画は停滞してしまう。とにかく突っ走れ、なのである。


 空手映画ブームの最中に作られた作品ではあるけど、空手要素は低い。最後に千葉チャンがョス、デェエイ! と披露する程度、後はアイデアの限りを尽くしたギャグ&アクション。ラストで『網走番外地』世界とクロスオーバーする石井輝男ユニバース。


『不良番長』はこれまたナンセンスギャグとアクションが満載の人気シリーズ。巨大権力に立ち向かうはぐれ者、という図式なんですが、主役の梅宮辰夫がすでに30超えたいい大人。ヤクザの目をかいくぐり、金もうけに走る番長たちにレギュラー山城新伍が加わることで、ハヒーハヒーとギャグ度が加速。こっちも下ネタ気味だけど、チンチンマンマンの中学生の下ネタである。


 クライマックスはいつもの如く、派手なルックスの番長たちとヤクザ組織の『仮面ライダーV3対デストロン怪人』並みの火薬量を使った派手なドンパチ。

先週の『忘八武士道』に続き、ひし美ゆり子さんは体を張って大ハッスルするし、日活ニューアクションの匂い漂わす藤竜也はコーヒー好きでいつもマグカップを持ち歩いているというキャラ設定。


 そして乱戦の後はいつものように、山城新伍と梅宮辰夫だけが生き残り、『終』の文字を割って、お客様にご挨拶というメタな展開。何でもアリが許される不良番長らしい締め方。『これからもよろしくお願いしますー』でも次回で最終回。(ブログより)

そしてその翌週も。

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『喜劇トルコ風呂王将戦』菅原文太と山城新伍がトルコ王の座をかけて戦う、という話ではない。十三のヒモ仲間と山城新伍が珍商売、そして巨大トルコ経営でウハウハの艶笑喜劇。それほどエロはなく、いつも脇でハヒハヒ言ってた新伍ちゃんがむくんだボディで大活躍! 菅原文太は最初と最後に出演。
 三角マークの東映映画、例によってヤクザの魔手が伸びる。口八丁手八丁でやり込める新伍ちゃん、最後はヤクザVSトルコ嬢の全面抗争へ。吉本芸人多数出演。新伍ちゃんとヒモ仲間の岡八郎と潮健児の三人がメイン。そして先週に続き、ラストでスクリーンから客席に語りかける新伍ちゃん。早すぎた4DXだ! 渡辺祐介監督は、この時期松竹と東映で喜劇を撮っていたとのこと。ドリフや必殺仕掛人等々松竹のイメージが強い。今度新世界で上映の『喜劇特出しヒモ天国』は森崎東監督でこれまた松竹のイメージ。東映艶笑喜劇と松竹監督の関係は?


『資金源強奪』ふかさくきんじ監督。自分を見限った組織に復讐するため、賭場荒らしで足のつかない大金を得る北大路欣也、室田日出男、川谷拓三。もちろん組織は追ってくる、さらに悪徳刑事も。騙し騙され三つ巴の現金争奪戦、後の『いつかギラギラする日』を思わせる。死屍累々だけど爽やかな幕切れ 。通天閣近くの映画館で、通天閣からライフルをブッぱなす梅宮辰夫を見る不思議な感覚。『トルコ風呂王将戦』もこの作品も、ロケ地は大阪。すっかり変わったけど、通天閣は健在。今は串カツの客引きがチンピラの如くたむろしてるなぁ。(ブログより)


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6.23には初めての京都シネマでイベントにも出ていただいた宇治茶監督のゲキメーション映画「バイオレンスボイジャー」
 
 松っちゃんのナレーション&タイトルの壮大さからくるダウンタウンのコント臭。しかし、すぐにそんなことは吹っ飛んでしまう、独特過ぎて説明しにくい狂気と笑いの世界。ブリーフ! 猿! あれとかこれ。ネタの細かさはKOM 並み! 人生初のゲキメーション映画。何をどうすればあの姿に行き着くのか、あの展開になるのか、一筋縄ではいかない映画。子供に見せたい、でも、と躊躇ってしまうぐらいの内容が面白いのです。昨日は宇治茶監督、安斎レオPの舞台挨拶もあり。食玩でお世話になりました。ブリーフ。先日のエメゴジイベントの際に監督が仰ってた、『日本人と外国人の少年コンビ』は昭和ガメラシリーズを彷彿とし、少年たちの冒険譚という構成もなるほど……と思わせてからのドーン! 予測できない、予想してはいけない映画だった、『バイオレンス・ボイジャー』は。人気女性声優がブリーフ!(ブログより)

 その翌日にはまたもや新世界。この頃は毎週通っておりました。

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『忍法忠臣蔵』忍者丹波哲郎が西村晃の命を受け、くの一軍団と共に赤穂浪士の討ち入りをお色気込みで阻止するが……。モノクロ画面に淡々と展開される丹波忍法、お色気は控えめ、地味な印象。忍法描写にちょっと特撮。

『怪談蛇女』。あの『世界怪獣大全集』にも載った蛇女! 日本海の小さな村。父を亡くし地主に畑を奪われた母娘の住み込み奉公。やがて母はイビられて死に、娘も山城新伍に汚されて自害。その日から奇怪な出来事が起こり……あまり蛇との因果関係が薄いような。『東海通四谷怪談』の如く、悪人は怪異に錯乱し、自滅する。地主がすがるのを拒むようにスッと移動する仏壇。気づけば墓場、池に立っている幻想的な場面と、『東海通四谷怪談』を彷彿させるシーンも。でも、蛇との因果関係は薄い。冒頭で死んで、度々幽霊となって現れる西村晃、そして丹波哲郎。ほぼ毎週新世界東映で映画見て、ほぼ同じキャストを見てきたけど、一番多く見た俳優は、室田日出男かもしれない。時空を越え存在する室田日出男! 怖かったのは、突然現れる西村晃の幽霊よりも、深夜に聞こえるヒュ~という音が剃刀で首切って自害した娘の傷口から出ていた、というところ。まだ生きていたかもしれない、死にきれない無念さが後の復讐劇へと繋がっていくのだ、と思った。(ブログより)

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6月の締めくくりはアリオ八尾のゴジライベント。ちびゴジラに、あの初代ゴジラも、それに宝田昭氏もやってきた! 東映男性路線と怪獣王の二刀流、そして復活の時を待つ京都のミニシアター。そして2019年の7月へ。

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