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◎百足の草鞋/内覧!京都怪獣女神降臨編

 新世界と京都、それにシネコンの映画生活。10月には新世界でカラテだらけの二本立て。

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 カタコトVS棒読み、そしてアドリブが乱れ咲く『ザ・カラテ』シリーズの奇妙な魅力につかれてしまったのだ。ブルースリーに追い付け追い越せ、で始まったと思われる東映カラテシリーズは、独自の路線を歩み、それぞれが個性的で、香港映画のそれとはまた違った魅力を醸し出している、ように思える。
 今週はそんな東映カラテから『ザ・カラテ3』と『女必殺五段拳』の二本立て! 見ないというわけにはいかない。
『ザ・カラテ3』はいつの間にか目が治った山下さん、ようやく運送会社の職を見つけ、九州へ。しかし、山下さんを狙う世界の強豪は後を絶たず、さらには九州制覇を狙う悪の武道集団と九州ヤクザが手を組んだ! 東映カラテにヤクザはつきもの、珍妙な海外からの刺客を相手に山下さん、どう戦う? まあ、だいたい前2作と同じフォーマットで山下さんの片言も全く変化なし、逆にそのぎこちなさが心地よくなってくるから不思議である。もちろん、一緒に九州までやってきた山城新伍のハヒーハヒーなアドリブも健在。今回はヒロインに早川絵美、ベルスターである。ベルスターを前にぎこちなく照れる山下さん、そして日本正武会の鈴木館長も出演。

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『女必殺五段拳』は志穂美悦子の女必殺拳シリーズ第四弾。今回は京都、呉服屋の娘がカラテで麻薬組織を叩き潰すお話。特殊な職業の人でもなく、空手をたしなむ呉服屋の娘である。もちろん、道場は日本正武館。しかし、今回の鈴木館長は悦ちゃんの父親役、東北弁がきつい呉服屋の主人である。そう、鈴木館長はカラテの道場主ではなく純粋に俳優としての出演。 
 悦ちゃんの妹分にジャッカー電撃隊・ハートクイーンことミッチーラブ。冒頭に組み手のシーンがあったり、本編でも悦ちゃんに負けじとアクションを披露。そして麻薬Gメンにいつもイラついた顔でネクタイがひん曲がっている渡瀬恒彦。 麻薬組織は撮影所の中、しかもそこで働いているほとんどが組織の人間! 撮影所に秘密の部屋があったから、一部の人間だと思っていたらスタッフもキャストも麻薬組織! 黒い噂に事欠かない東映ならではの開き直った設定。クライマックスは撮影所でのアクションになるのでロケ行かなくて予算も安く上がるということなのか?
 悦ちゃんは振袖、ヒッピー、小姓姿と七変化、そしてカラテ。渡瀬恒彦も日本刀で切りまくる、もうカラテじゃない! 逃げる悪党が乗った車を材木積んだ台車を突っ込ませて止めるシーンを見て、あぁ、これ前に見たことあるわ、と思った。でも面白い。この時期の東映京都作品は当時の京都の風景も見れて楽しい。
 70年代の京都はヤクザと世界の格闘家が集まる暴力地帯だったのだ、そして何かあれば琵琶湖に逃げる!(ブログより)

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一方で引っ越しの準備でバタバタしていた10月。ようやく駅前の団地にいい物件があったので内覧に。一人暮らしには十分すぎる。是非もなく、ここを選ぶ。つまり、今の住居であります。住む場所が決まって、まずは一安心、ということで超大Rへ。

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 小高恵美氏を招いての『ゴジラVSビオランテ』『竹取物語』の出演作品2本立て。自分は初日の『竹取物語』トーク担当でした。

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あの小高さんですよ! 中2のとき、『竹取物語』で中2の小高さんを見て以来、毎年平成ゴジラシリーズでそのお姿を拝見していた女優さんですよ! 今回は1日目の『デビューから竹取物語』までのトーク司会をキャスト社中村社長と担当。2日目の平成ゴジラトークは狂える天才特撮ライターの丸山剛士氏と、司会二人交代制というのも初めてのこと。
 会場にはすでにファンの姿がちらほら。いつもの方もいれば、今回が初めて、という顔もある。小高さんが来るということで、新規のお客さんも多数来られている模様。

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 当日は打ち合わせ→サイン会→トーク、そして上映という流れ。こちらはテンションがおかしくなる中、いつものようにあたふたとバタバタと何とか聞き手を務める。平成ゴジラならまだしも、竹取物語について語られることは少ないのでは? とにかく初めて聞く話が多く、ついついお話に聞き入ってしまうことも。京都にはロケで来られたこともあるとのこと。しかし、小高さんはあの時と全く変わっていない、さすがだなぁ。

 そして『竹取物語』上映。みんなの知ってる古典文学をストリートに映像化しつつも、海竜や月からくるUFO等々、現代風アレンジも加味した超大作であり、東宝久々の歴史ファンタジー大作でもある。しかし、先月の『妖星ゴラス』のマグマといい、今回の海竜といい、ワンポイント的に怪獣を出すのは東宝の伝統ですな。

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 初日はつつがなく終了。2日目は裏方に徹し、イベントのお手伝いを。そういえば、いつも壇上に立つことが多いので、客席からトークを見ることって久しぶりのような気がしました。平成ゴジラへの熱い思いが小高さんの口から語られていく、これ、ひょっとしてすごいことでは? そう、ばたばたしながら進めていていたので『自分は伝説の人と会っているのだ』とじわじわと実感がわいてくる。

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 2日目も無事終了。90年お正月映画ナンバー1宣言をうたった『ゴジラVSビオランテ』は、シリーズ人気投票でもナンバー1の作品となった。川北、大森両監督の『新しいゴジラを作りたい!』という思いが結実した奇跡の一本。これがあるから後のゴジラ、そして平成特撮映画の流れがあるといっても過言ではない、と思う。(ブログより)

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そしてその翌週、再び京都へ。まずはぶんぱくで子連れ狼の顔ハメパネルで写真を撮ってからみなみ会館へ。ドキュメンタリー『イーちゃんの白い杖』、青春映画の名作『さらば青春の光』をハシゴ。

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『イーちゃん』は一週間上映ということでぜひ見たかった。仕事柄なのか、障害者を扱った映画はできるだけチェックしたいと思っている。普通の人と違う、と言われてる人たち。でも普通って何なのか? その人たちを取り巻く環境はどういうものなのだろうか、とても気になる。知的障害者の心の揺れと、それを取り巻く人たちのナチュラルな姿を描いた『ましろの恋』に、どん底生活からの逆転劇『岬の兄妹』等々、表現も様々。お涙頂戴、感動巨編にならないところがいい。

 『イーちゃん』は、静岡に住む、全盲の姉弟を20年間追ったドキュメンタリー。見えない大変さ、苦労、そんなものはもう終わったこと。主人公のイーちゃんの成長と挫折、そして全盲の上に難病を抱えた弟の姿をカメラはとらえていく。とにかく、イーちゃんとその家族が明るい。絶対大変なことはたくさんあったと思うけど、まったくそれを感じさせない。イーちゃんも小さいころからすごくしっかりしていて、自分の意見をはきはきいう。でも、挫折することもある。人生うまくいかないのは障害者も健常者も一緒だ。それでも、少しずつやりたいことを見つけていく。時間をかけてゆっくりと。新しい世界に新しい出会い。イーちゃんはにこにこと笑う、何度も入退院を繰り返す弟とは言葉と触れ合うことで通じてる。劇中、半分冗談で言った『私は、心の目で見てますから』という言葉がとても深い。見ていて『お前はどうだ?』といわれた気がした。小さいことでくよくよしすぎだわ、ええ年でバタバタしてるけど、自分も何とかしよう、と思ったよ。ナレーションの春風亭昇太もアドリブ混ぜつつ、ユーモラスにイーちゃん一家を見守る。時間作ってみてよかったと思う一本。

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モッズという一群がいる、ヤク決めてクラブで踊ってベスパ乗り回して……。モッズコート(『踊る大捜査線』の青島刑事が着てたあれ)にデコトラ寸前のベスパ、というのがオシャレ、ということなのか。乱痴気騒ぎを繰り返し、その頂点たるブライトンビーチのイベントへ。そこには、ライバルたる革ジャンにバイクのロッカーたちが待っていた。
勝手にイギリス版『爆発!暴走族』だと思っていたけど、ちょっと違う。ニューシネマともまた違う手触り。大人たちに突っ張って、『誰でもない者』になりたくてモッズ生活を楽しむ主人公ジミー。でもどこか物足りない。結局、みんなと同じことしてるだけじゃないか? 『あんなの遊びでしょ?』と憧れの彼女から冷たくいわれて自棄になる。いつの時代も女は冷静だ。自分でもわかってた、こんなバカ騒ぎはいつか終わる。じゃあどうすればいい? 現実に直面し、焦る主人公、もう、どこにも行き場はないのか?

 
 ファッション、音楽、熱狂的なファンが多数存在するのはわかる。もう少し早く見ていたら乗れたかもしれない。遅かった。もう俺はブライトンで暴動を起こす若者を『こら!』と怒鳴るおっさんの立場だ。余りあるエネルギーのぶつけどころがわからず、暴走するのは洋の東西問わず、若者が陥りがち。どうすりゃいいんだよー! うん、その気持ちはわかるよ、とすっかりおっさん目線で見てしまった。あと、人のベスパ盗むな。

 2本見終わって、先週末舞台あいさつに来たイーちゃんが無事結婚した、という話を館長から聞く。さっき映画で見ていた人の近況が聞いたことで、物語が一つ、きれいに終わった気がした。

 ちなみに館長にネタバレ気味に『さらば青春の光』の話をしていたら『まだ見てない……』と気まずい思いをしてしまいました。この日は映画に合わせてスクーター&ライダースジャケットで京都入り。

 まだやらないことはたくさんあったけど、とりあえず落ち着いた10月、そして毎年恒例のあれがやってくるのでした! 

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