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曇天どんより映画

 日曜日は晴れると言ってたのに、いざ出かけるとどんよりと曇ってきた。少し寒いが、バイクで走れる。

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 久々の九条シネ・ヌーヴォ。奇想天外映画映画祭アンダーグラウンドコレクションと称して古今のカルト映画の特集上映を開催中。目玉は『ウィッカーマン ファイナルカット』らしいけど、ついでならハシゴしてやろうと思ってタイムスケジュールを見てみたら、日曜日に『バスケット・ケース』と続けて見られるではないですか。どちらも未見なので、これはいい組み合わせですよ、たぶん。

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『バスケットケース』は80年代中盤から起こったホラー、スプラッター映画ブームの際に上映&ビデオリリースされて話題になっていた作品。ニューヨーク、とある安宿に部屋をとる青年。変わったことといえば、彼が手にしている大型のバスケットケースぐらいで、あとはいたって普通の観光客っぽい。彼はシャム双生児で、醜悪な姿の兄と切り離されていたのだ。自分たちを切り離した医師への復讐がニューヨークへ来た目的で、バスケットケースの中にはその肉塊に顔と両腕がついた兄ベリアルが入っていた。ベリアルの醜悪さとその血みどろの復讐劇がメイン。実物大のパペットと時々コマ撮りでカクカク動くのがうれしい。16ミリで撮られた作品らしく、ざらざらした画質は、物語の内容にぴったりはまっている。ラストは目的を果たしたものの、ガールフレンドを殺された弟がベリアルと揉み合って窓から転落、という悲しい結末。その時、ベリアルはちょうど弟ドゥエインの右わき腹の辺り、もともと彼がいた場所でこと切れていた。望むべくしてなった体ではないが、それでも前向きに生きてきたときに、余計なおせっかいで兄弟の絆が断たれたことへの恨み、フリークスの悲劇を描いてるようで、要は兄ベリアルのキャラをいかに怖く面白く見せるかに重点を置いている。予算的にたまにしか動かないけど、この異形のスタイルは好評で後にパート3まで作られたとか。先日の『悪魔の植物人間』に続いてのフリークス恐怖映画。ラストもそうだけど、弟のガールフレンドを寝取ったものの、腰が無くてひたすら彼女上で体をカクカクさせてるベリアルが哀しい。

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 そして『ウィッカーマン』。スコットランドの警官が、行方不明になった少女の捜索のためにとある孤島にやって来る。その島は領主の管理下で、キリスト教徒はまた違った異教を崇拝する狂った島だった。軽快なオープニングから、主人公の警官が島に上陸してから徐々に歯車が狂ってくる。島民のよそよそしさ、制に開放的な、乱れた風紀。彼らは何かを隠している。そして領主から聞かされる島の成り立ち。クリスチャンである警官には到底理解できない狂った世界。いうなれば島のみんながボケ担当で、警官は休む間もなく突っ込みを入れる状態。そして徐々に明らかに真相に近づく中、五月祭が近づいてくる。

 なるほど『ミッドサマー』はこれを参考にしているな、という箇所がたくさん出てくる。ポスターの巨大なウィッカーマンは何なのか? それが明らかになり、真相がすべて明かされるラストはわかっていてもぞっとする。敬虔なクリスチャンの主人公が異教徒である島の住人を蔑み、呪うラストの皮肉。『他の神様やったらどうなってもええの?』とこっちが突っ込みたくなるが、彼は必死だ。常識と思っていたことが第三者から見ると非常識に見えるギャップと恐怖。藤子・F・不二雄の『ミノタウロスの皿』を思い出した。

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 島の領主にクリストファーリー。理性的に狂ったこと言ってるから始末が悪いし、祭りのテンションの高さも大まじめにやってるから余計におかしい。主人公を全裸で誘惑する宿屋の娘にブリットエクランド。この組み合わせは『007黄金銃を持つ男』ではないか。公開年もほぼ一緒だし。あの島にロジャームーアが上陸していたら……とかポジティブな妄想をしてしまった。

 どちらもやるせない結末の二本だった。外に出るとどんよりどころか、雨が降っていたようで路面が濡れていた。

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  先日のシネマート心斎橋に続いてのカルト映画特集、みなみ会館でもホラー寄りのカルト特集、春になるとスクリーンの中にもおかしな人が増えてくるのか。

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 そして今週末はカルト映画日本代表の『マタンゴ』がみなみ会館で上映予定。


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 そして、いつかシネ・ヌーヴォにジャンゴがくる。これはいかないと。

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