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最終回と始まりの激闘

 先週の話。『THE FINAL』を見たのだから、やはり最後の最後まで見届けないと、ということで『るろうに剣心最終章・THE BEGINNING』を見る。

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 本来の最終回は前作で終わっているけど、今回の最終作は物語の前日譚という変わった構成。緋村剣心がいかに人斬りから不殺の心境に至ったか、そして頬の十字傷はいかに作らられたのか、を描く。舞台は幕末の京都、新選組が闊歩し、討幕派と血で血を洗う激突を繰り返していた頃。新世界の到来を信じ、幕府の役人を斬りまくる日々を送る剣心。感情を見せない殺人マシーンの彼が、酒場でゴロツキに絡まれていた女、雪代巴と出会ったことで徐々に変化していく。のですが、実は……。今回は人斬り抜刀斎時代の姿を描いているので、遠慮なく人を斬り、血が腕が飛び散る壮絶な作品になっている。アクロバティックなアクションよりも、チャンバラに重きを置いた感があり、それでもずば抜けた身体能力から繰り出される剣戟シーンには目を見張るものがある。桂小五郎の走狗として、天誅を繰り返し、猛ダッシュで斬りこんでいく剣心・佐藤健の姿に『竜馬暗殺』の松田優作や『人斬り』の勝新太郎がダブって見える。全然タイプは違いますが。クライマックスの雪中の激闘は、唐突な敵キャラの登場と畳みかけるように明らかになる真実に戸惑いながらも、美しく、残酷でありました。

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 そして今週、予定が空いたので『モータルコンバット』へ。人気ゲームの実写映画化で、こちらもチャンバラあり功夫ありの格闘ごった煮状態の映画。しかも元がゲームなので、設定や必殺技は無茶苦茶だけど、冒頭で『今人間界と魔界の戦いが始まっていて、もうすぐ決着がつくよ!』とか言われると問答無用で『ああ、そうですか』と納得するしかないのです。そういう世界観なら仕方ないな。格闘家に軍人、そしてカンフー使いと選ばれた世界中の王者たちが魔界の住人に半ば強制的に団体対抗戦を行う。ドラマやキャラ紹介はそこそこに、ひたすら戦う、どつき合う! 中でも17世紀に宿敵サブゼロに家族を殺された忍者ハンゾウ役の真田広之がもうけ役。というか、裏の主人公は彼といっていいかもしれない。冒頭、いささか怪しげな日本の山中で、サブゼロことビ・ハンとその部下たちと戦うハンゾウ。剣術とカンフー交じりの縄術で次々と敵を倒していくものの……。カンフーVS忍術、ということで嫌が応にも『龍の忍者』を思い出してしまうのです。原作であるゲームの設定がそうだとしても、真田広之をキャスティングした時点でこれは絶対意識してるだろうな、と思いましたね。今までハリウッド映画でアクションはできるけど、決してメインではなく、脇に控えて存在感をアピールしていた真田さん、今回は目いっぱい暴れてくれています。後半は頭巾とメイクでほとんど顔がわかりませんが、それでも体のキレっぷりは衰えていない! 師匠・千葉真一の当たり役と同じ『ハンゾウ』が役名というだけでもうれしくなってしまう。もうこれは『龍の忍者』の異次元リメイクですよ、全然似てないけど。

 目や腕からビーム出したり、炎を操ったり、トカゲ人間や四本腕の巨人が出てきたりと楽しいものが満載なのは、ゲーム準拠なのか。腕や内臓が飛んだり、頭部が破裂したり、人体真っ二つだったりと、この優しい時代に逆らうような残酷アクションも実に漫画的で痛快なのであります。

 平日のサービスデー、客は4人。これが選ばれしものなのだな、と思いながら映画館を出ました。こんなご時世だから(というフレーズも飽きました、書きたくないね、なら書くな)、勢いでどんどん進むバカアクションバカ映画が必要なのです。たぶん。

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