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ビジョンも事業計画も少しだけ手放して。人とのつながりを起点に結果をだす1年にしたい

千年ちとせ建設の代表をしている岡本です。建設会社に加えて、家を借りられないシングルマザーに低価格でよい物件を貸す会社と、自立に向けて生活に伴走するNPOを経営しています。

2024年がはじまりました。
年始から、震災や航空機事故、本当に色々なことが起こりました。

僕自身は、寄付や情報発信など自分にできることをやりながら、改めて「自分の持ち場で頑張る」という思いを強くした新年になりました。

2018年に父が他界したことをきっかけに、39歳・未経験で建設会社の社長に就任して丸5年。

6年目に入った2023年は、色々なものが形になった1年でした。ゼロイチのフェーズが終わった、というのが正直な気持ちです。思ったよりもはやくここまでたどり着くことができました。

なぜ、想定よりもはやく実現できたのか?

このnoteではその理由を振り返りながら、いま考えていることや今年の抱負について書いてみたいと思います。

いい仲間と世の中のニーズを捉えた取り組みができた2023年

2023年は基盤強化の1年にしよう。

そう考えてはじまった昨年は、想定よりもぐっと前に進めた1年でした。

6月にインパクトボンドなどで3.2億円の資金を調達。この資金で新しく物件を取得し、20世帯・49名の母子を受け入れることができました。これは24年3月までに達成できればと考えていた数字です。

LivEQualityHUBの認定NPO法人化もできました。設立から1年8ヶ月で認定を取得するのは、この業界ではかなり早いほうではないかと思います。

千年建設は企業フィランソロピー大賞のソーシャル×建築賞を受賞しました。メディア掲載をはじめ、僕たちの取り組みが社会的にも評価される機会も多い1年でした。

想定よりもはやく結果を出すことができた理由は、2つあると考えています。

1つは、世の中のニーズを捉えた取り組みができたことです。

住まいを借りられず、自立が困難な母子への支援。これは解決をするにも不動産がからむので、まとまった資金が必要です。取り組みのハードルが高いテーマに、僕たちは独自に資金調達をして物件を取得。困窮する母子家庭に、市場よりも低い価格で住居を貸し出しています。

一般的には、家賃滞納リスクや空室率が懸念される事業です。

でも僕たちは、入居者のみなさんが自立した生活を送れるようになるまで、行政手続きや仕事探しなどの日常に伴走して、安定的に家賃をお支払いいただいています。地域や入居者同士の関わりができるように、イベントを行って交流機会をつくっているので、コミュニティになってきています。その結果、よい口コミが広がって、空室率を下げることができています。

空き家が増え続ける中で、住まいを借りられない生活困窮者をどのように支援していくのか?

この両方の課題にアプローチするモデルを示せたことで、想像よりも多くの支援や注目が集まることになったと思います。

もう1つは、いい仲間がたくさん集まってくれたことです。社員はもちろん、パートナーとして業務委託で事業に関わる専門家も含めて、本当にたくさんの人のおかげで前に進むことができました。

世の中のニーズを捉えた事業だからこそ、いい仲間や資金といったリソースを想像以上に集めることができたのだと思います。

そんな1年が終わり、2024年を迎えました。

冒頭でも書きましたが、自分にできることは、自分の持ち場で頑張ること。そう思いを強くする新年のスタートになりました。

世界では戦争の火種が広がり続けていて、日本では年始から震災や航空機事故が起きました。物価もどんどん高騰していて、これからもっと上がると想定しています。

でも戦争も震災も物価の高騰も、自分で解決できるものではありません。何もできないと憂いて立ち止まるのではなく、自分たちがやるべきビジョンを描いて一歩ずつ進んでいくしかない。そう考えています。

人とのつながりや関係性を最も大切にする1年に

2024年、僕は2つのことを大切にしていきたいと思っています。

自分の決断を正解にすべく奮闘すること、その中でうまれる人とのつながりを大切にすることです。

経営をしていると、大きな決断を迫られることがあります。論理的にアプローチすれば、選択肢を2つまで絞ることはできる。そこからどちらか1つに決めようというときに、どれだけ考えてもどちらも正解に見えるし、誰もこたえは教えてくれません。

もう最後の意思決定は、ほとんど “一瞬の気合い” のようなもので決めるしかなくなります。これまでの経験や直感や感情を含めた、自分の全人格を使って気合いで決めるしかない。

僕は、そうやって決断した選択を正解にしていくのが、経営そのものだと考えています。

昨年起こった想像以上の出来事はすべて、ギリギリの選択を重ねながら進んだことで生まれた縁がつながった結果だったように思っています。

多くの人がこっちの方ががいいんじゃないかと言っても、自分では違うと思うこともある。自分の持っているものすべてを使って決断して、こっちだと思う方向を決めて進んで、正解にしていくしかないんだと思います。

ラインホールド・ニーバーというアメリカの神学者の「変えることのできるものについては、変えるだけの勇気を。変えることのできないものについては、それを受けいれるだけの冷静さを。そして、変えることのできるものと変えることのできないものを、識別する知恵を与えてほしい」という祈りの言葉があります。僕はこの言葉が本当にその通りだと思っています。

結局変えられるのは自分だけ。人を変えることはできない。状況を変えたいのなら、自分が変わるしかない。

自分に起こることのほとんどは、自分の内面を投影していると感じるようになりました。

自分の変化が、半年後・1年後に組織の事業の変化として如実に現れるからです。例えば経営メンバーにいざこざがあるとそれが組織全体に伝播してしまうし、逆に信頼関係で結ばれているとそれを軸に組織が広がっていく。そういうことを10年くらいかけて、心底感じるようになりました。

なので、今年も人とのつながりや関係性といった縁を大切にしていきます。

具体的には、人を機能や手段として見なかったり、支援する側・される側という構造をつくらなかったり、目先の損得ではなく長期的な視点で判断をしたり。そういう考え方を大切にする経営のやり方で、どこまでいけるかチャレンジしたいと思っています。

ここ2年くらい、僕は自分に制限をかけることをやめてきました。ああすべきこうすべきと、役割や常識で考えずに、自分が思ったことに正直に行動する。その結果さまざまな縁がつながって、思ってもないところまでこれたと思っています。今年もそれを続けていきたい。

バックキャスティングで、未来像を描いてから道筋を決めていくことも大切です。僕たちにもビジョンも事業計画ももちろんあります。でも、そこにとらわれすぎなかったときに、予想を超えた未来がうまれる感覚があります。

僕は昔から「はやく行きたければ一人で行け、遠くへ行きたければみんなで行け」というアフリカのことわざが好きなんですが、最近は「みんなで行ったほうがはやい」と思っているんです。

みんなのほうが、はやく遠くに行ける。ちょっと語呂は悪くなっちゃうんですけど。

事業も成果も人間関係も、何ひとつ自分だけでつくったものではありません。つながりを大切にしていると、過去から積み重なってきたあらゆるものが応援してくれていると感じる瞬間がある。それが色々なものを生み出すと思います。

集まってくれるメンバーや応援してくれる皆さんを大切にしていたら、今年も自分が思い描く以上の遠いところに行けるんじゃないか。そんな風にわくわくしています。

今年も実現したい未来に向かって、頑張っていきます。
どうぞみなさまよろしくお願いします。

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