見出し画像

コロナやインフルでのトレーニングの中断は、どのくらいマラソンのタイムに影響が出るの?

マラソン大会は全国で続々開催されるようになりました。
ですがコロナやインフルエンザで、十分な準備ができなかった方も多いと思います。ではコロナやインフルでのトレーニングの中断は、どの程度タイムに影響がでるのでしょうか。

1.目標タイムはどのくらい下方修正するか

文献はアイルランドからもので、2014-2017年にフルマラソンを完走した29万2323人の、大会前12週間のトレーニングをStravaから情報を得て解析したものです。
そこでは大会12週間前からの、7日間以上のトレーニングの中断が、タイムにどの程度タイムに影響したかを分析しています。

性別・年齢・時期・タイム別のトレーニング中断によるパフォーマンスの低下:Feely C, Smyth B, Caulfield B, Lawlor A. Estimating the cost of training disruptions on marathon performance. Front Sports Act Living. 2023 Jan 10;4

結論:
・ランナーの50%以上に、7日以上のトレーニングの中断がみられた。
・トレーニングの中断をした者は、2-9%タイムが遅くなった。
・特に男性で、若いほど、レースに近いほど、ベストタイムが速いほど、中断期間が長くなるほど遅くなる傾向があった。
 

このデータを参考にすると軽い風邪程度の症状であれば、8-10日程度休んでいただけであれば、2-5%程度のパフォーマンス低下で済むわけです。
ゆっくりと走る年配の女性ランナーであれば2%程度(例:5時間目標→5時間6分)、若い男性のシリアスランナーであれば5%程度(例:3時間目標→3時間9分)、目標を下方修正するのが妥当ということです。

もちろん咳や倦怠感が長引いて2-3週間休んじゃった!とか、高熱で消耗した!とか、コロナにかかったのは大会の直前!とかであれば、もう少し下方修正しましょう。

※この文献での中断期間は、もちろんコロナのような病気で中断していたとは限りません。また、Stravaを記録せずにトレーニングをしていた可能性もあります。

2.ただしコロナの後遺症には注意を

ただしコロナの後遺症になっている可能性もあります。
実際にコロナの後遺症は、呼吸機能・心機能を低下させる可能性があります。

コロナ感染症後の臓器障害:Halle M, Bloch W, Niess AM, Predel HG, Reinsberger C, Scharhag J, Steinacker J, Wolfarth B, Scherr J, Niebauer J. Exercise and sports after COVID-19-Guidance from a clinical perspective. Transl Sports Med. 2021 May;4(3):310-318.

肺拡散能の低下により酸素を取り込む能力が落ちていたり、心筋炎により筋肉に血液を届ける働きが落ちていることがあります。そのためコロナから回復してから、運動中に動悸や息切れを強く感じる方は、決して無理をしないで下さい。

またコロナ感染後には、大腿四頭筋や中殿筋の筋力低下も報告されています。怪我も多くなるという報告もあり、無理は禁物です。

自分のNote「コロナ後遺症について~特にランナーに~」参照下さい。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?