展覧会って、詰め込みがち。

「展覧会に出展している自分に酔ってない?」
学生の頃、とにかく展覧会に出しまくっていた時に先輩から言われて、すごく悔しかった言葉。だけど、今も時々自分に問いかける、大切にしている言葉です。

当時の自分は、お誘いいただいた展覧会に全て出展していて、数ヶ月先まで展示の予定が埋まっている状態でした。

きっとこの段階で展覧会の目的が「作品をつくる&みせること」から「出展すること自体」に変わっていたのだと思います。

そして、展覧会の詰め込みすぎで締切に追われ、出展することに精一杯で、作品と正面から向き合い、納得のいく作品をなかなか作れていないことに薄々気がつきつつも、周囲の学生と比較して「展覧会いっぱい出している自分スゲー」と謎の優越感に浸っていたところに、言われたのが「展覧会に出展している自分に酔ってない?」でした。

すっごく悔しかったけど、同時に我に返ったような気持ちでした。

展覧会って、お誘いいただくと自分が認められたようで嬉しいし、周囲と比較して活動している気持ちになるから、ついどんどん予定を詰め込んでしまいがちです。
だけど、当然ですが、予定入れるほど忙しくなるし、忙しくなると作品を描く時間が減ります。

作品に時間をかけられないと、作品の質が下がってしまう。

という悪いスパイラルに陥ります。

これでは、制作が楽しくなくなってしまいます。

あの言葉以降、自分は展覧会のお誘いをいただいた時

「むしろ自分からお願いしたい!と思えるような展覧会かな?」

と自問するようになりました。

自分の場合は、誘われたからやるのではなくて、自主的にやりたいかを考えてみると、本当に出したい展覧会って驚くほど少なかったです。

そして、結果的に展覧会の数はギューギューに詰め込んでいた時の半分以下になりました。

でも、展示の数は減ったけど、ぞれぞれの作品と向き合う時間が増えて、作品の質が向上していった感覚は今も覚えています。

展覧会は「作品をつくる&みせる」ことができる貴重な体験です。
経験上、作家としてすごく成長できる機会でもあると思っています。

だけど、同時に、膨大な時間と精神力、そしてお金がかかります。

だからこそ、作品と全力で向き合える環境を整えるのも大切なマネジメントなのかなと思います。(特に画家として生計を立てるようになった今、すごく感じます。)

そう思えたのも、あの先輩からの一言があったからだと今になって思います。

先輩は元気かなぁ。

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