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ゴールデンエイジで選手の能力を伸ばす関わり方

ゴールデンエイジという言葉を聞いたことがあるでしょうか?
ゴールデンエイジとは、神経系が発達している子供の時期をさし、新しい運動をどんどん覚える時期です。

よく「子供は運動の習得が早い」と言いますが、それはこの時期に反復練習したことが早く身につくことからそう言われています。

なぜゴールデンエイジは運動の習得が早いのか?

一般的に、9〜12歳くらいの時期を「ゴールデンエイジ」といい、
このとき新しい運動の習得が早くなります。

背景となる知識として、「スキャモンの発育曲線」というものがあります。
 
この表は、20歳で発育を100%とした時に、
各年代で、どれだけの完成度となっているかというものです。

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注目してほしい部分は、神経系の部分で
20歳で100%のものが、
12歳で、ほぼほぼ100%となっています。
5歳で80%ほどの発育量という点です。
 
この神経系というものは、
脳、脊髄、神経が含まれています。

運動の制御に関係している、脳、脊髄、神経が、
十分に発達したこの時期に
いろいろな運動をすることで、新しい運動を早く習得する時期と言われいます。


そもそも運動とはどのように構成されているか?

基本的な考え方として、運動に関しては、
「脳」が司令塔で、「体」は実行者です。

人が運動をするときには、脳から筋肉に対して「収縮せよ」という指令がでます。
実際この時、この指令は単調なものではなく、
・Aの筋肉に3という力で
・Bの筋肉に2という力で
・Cの筋肉に5という力で収縮し、
その後タイミングをずらして、
・Dの筋肉に1という力で
・Eの筋肉に3という力で収縮せよ。
というように複雑な指令を出します。

これらは複雑でその種類が無数にあるため、脳はこれらを基本的にパターンで記憶します。
これを「運動パターン」と言います。

この「運動パターン」には特徴があり、
パターンを覚える時は、少し時間がかかりますが、
一度パターンができてしまうと、それは半永久的に定着し、無意識のレベルでその運動を起こすことができます。

 例1)自転車を一度、乗れるようになると、その後、考えなくても乗れるようになります。そして、喋りながら自転車に乗ったり、乗ること自体は無意識でできるようになります。
 例2)鉛筆で字を書く、などもそうです。一度身につくと、その後は同じ持ち方をして、同じ形で字を書くとこができますよね。

運動がよくできる子というのは、

 1.良い運動パターンを持っている
 2.多くの運動パターンを持っている

といことが言えます。

ゴールデンエイジに運動させるときのポイント?

ゴールデンエイジは、この運動パターンが速く形成される時期です。この時期は、短い反復期間で新しい運動を習得します。
そのため様々な運動をたくさんやらせ、どんどん運動パターンを習得させることが望ましいと言われています。

しかし、1つだけ注意点があります。

それは、誤った形で覚えてしまった運動パターンも記憶に定着させてしまうということです。

そのため、
誤った走り方、誤ったボールの蹴り方、誤った動き方、これらも運動パターンとして習得してしまいます。

間違った箸の持ち方を覚えてしまうとその後ずっと箸の持ち方は間違ったままになりますよね。そのような感じです。

このようなことがないように、
良い運動パターンを習得させるためには、『感覚を大事にする』という点が大事になります。

感覚というのは、「体の感覚」です。

・ちょうどよいくらいの力で動けているか?
・体は力んでいないか?
・自分の動きの形はあっているか?
・動きのタイミングは合っているか?

など、こういった点を選手にフィードバックをしてあげると、自分自信の体の感覚に意識を向けるようになっていきます。

同時に、どんどん『動きを真似させる』ということも大事になります。
上手い選手の真似、コーチの動きの真似などがこれに当たります。
真似というのは、目で見たものの様々な部分を、自分自信の体で表現しなければなりません。
「手の動き」「足の動き」「体の動き」「首の動き」「動きのタイミング」など
真似できる部分を徐々に増やしていけるよう声掛けすることで、選手の真似する能力は高まっていきます。

感覚に意識を向けないまま練習をしていると、一生懸命練習していても、
動きの形がなにかおかしかったり、
タイミングが合っていなかったり、など
様々なエラーが起き、それをそのまま運動パターンとして覚えてしまいます。

運動能力を高めるには「量」と「質」が大事

新しい運動の習得が早いと言われるゴールデンエイジですが、それでも、十分な量の練習は必要です。
新しい技術は、少し練習しただけではものにはなりません。

練習そのものを楽しみながら、様々な動きの練習を繰り返ししてもらうことが、上達への近道です。

その時、適切なコーチに指導してもらったり、適切なフィードバックを与えることで、練習の質が高まり、よりよい動作の獲得に繋がります。

よく「量」と「質」ではどちらのほうが、大事かという質問をもらいますが、まずは量が大事だと思っています。
そういった意味では、フィードバックをかけすぎてしまって、本人のやる気を阻害してしまうことは注意が必要となるので、
選手本人が楽しく前向きに何度も取り組める環境作りが大切かと思います。

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