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不動産業界はまだまだ怖いです。って不動産屋が言うんですから。

不動産屋から見ても不動産屋が怖いと思うことが、今のこの時代でもまだまだあります。不動産屋が不動産屋を騙すに近いセールスをして、物件の売買を行うこともあるくらいです。

プロがプロをハメることは難しいですが、一般の方をハメてお金儲けしようと考える不動産屋は当たり前に存在します。

『お客様が最終的に納得して売買しているのだから問題ない』

これには私は賛成です。が、最終的に納得するにあたって十分な情報が相手に伝わっていれば、という条件付きです。

あるマンションの一室の売買のお話です。

総戸数20戸ほどの自主管理のマンションを売却したいと、相談を受けました。どうやらそのマンションのどこかに反社会的勢力の方がお住まいだとか。
理事長にヒアリングに行くと何号室かも答えてくれるくらい有名みたいです。ネットで検索するとすぐにでてくる有名な方の事務所がありました。

事の発端は、大手不動産会社に相談に行ったようですが、大手不動産会社は取り扱い不可とのことで、その大手不動産会社から私を紹介いただきお話を進めることになりました。

反社会的勢力の方とお取引は当社もできませんが、そのマンションのどこかにお住まい、ということでしたら問題なくお取引はできます。

周辺を調査すればするほど、地元では昔から超有名な事務所らしく小さい子供は近づいちゃダメ、と教えられるほどということがわかりました。
売買するにあたり、この事実を買主様へ伝えずに売却することは告知義務違反・心理的瑕疵に該当するので、できません。
ただ、そうすると買いたいと思う人が激減するので、需要と供給のバランスで物件価格が下がる旨をご説明しました。

しっかり周辺を調査した上で、売主様へご報告・ご納得いただいて、売買価格も決まり契約に進もうとした矢先、ご親族からストップがかかります。
もっと高く売れるはずだ、と。
確かにもっと高く売れる可能性はありますが、上記の事実を伝えた上でいついくらで売れるかわからない状況を長引かせることを所有者は望んではいません。

それにもかかわらずご親族は高く売れるはずと、もっといろいろな不動産屋に相談すべきと、独断で物件を紹介して回りだしました。

そして、一つの不動産会社に当たります。
その不動産会社は反社会的勢力は最近は警察もしっかり取り締まるから特に問題にはならない、価格が下がることはないというのです。

結局、売主様は高く売れるなら、とその不動産会社と商談を進めているようですが、まだ継続中の案件ですので続編はまた書きます。

私が一番不安なのは、そんな不動産会社が買い取って、一般個人の方へ再販売するときに、ちゃんと事実を告知して売却するとは思えないことです。

売主からすれば高く売れればどこが買っても一緒かもしれません。
ですが、最後に購入し住むのは一般人です。

不動産業界で怖いのは不動産会社もそうですが、事実を隠して高く売ろうとする一般の個人のお客様も怖いです。怖くする原因はお金です。不動産は大きなお金が動くので、最後に誰が一番不利益を被るのかまで、想像力が追いつかない現象になることが多いです。

お金と不動産は人を盲目にさせる怖さがある

非常に良い経験でした。


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