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コロナ禍で健闘し合格者を増やしたのは○○な人々だった【2021年度 診断士1次試験版】

2021年度中小企業診断士1次試験の結果が昨日(9/21)発表されました。合格された方、おめでとうございます。

今年の合格率は36.4%でした。昨年は合格率が42.5%と非常に高かったことが目を引きましたが、引き続き高い水準です。統計が取れる2004年以降のデータをグラフにすると以下の通りです。

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昨年は辞退率が多いことも特徴的でした。今年の辞退率は23.8%でしたので引き続き例年よりは高い水準です。統計が取れる2011年度からのグラフは以下の通りです。

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ちなみに2020年度は試験を完全に欠席すると自動的に辞退扱いとなり、科目合格の期間延長ががなされましたが、今年は延長するにはコロナ感染検査結果等の証明書類が必要ですのでハードルが上がっています。辞退率が減少したのはこれが原因かもしれません。

(注)辞退率とは受験を申し込んだものの1科目も受験しなかった人の割合とします。2011年以降からこの情報が公開されています。なお、統計資料上の「1科目でも受験した方の人数」とは、免除申請科目は受験した科目とカウントしない、と仮定しています。

合格率や辞退率以外にも、診断士のサイトから試験の統計情報が取ることができます。昨年の結果は以下のnoteの通りです。

昨年はコロナの影響と、柔軟に試験の辞退と科目合格期間延長が出来た点が影響し、いくつか特徴的な結果が出ていました。では今年はどうなのでしょうか、早速見てみましょう。

合格者シェア

(1)男女別

女性のシェアが昨年比で0.1%減少し、6.9%となりました。女性のシェアはここ10年のレベルで増加しており、コロナ禍の影響というわけではなく努力の結果であると考えます。

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(2)年齢別

昨年は20代と30代のシェアが増加していましたが、今年は40代と50代が巻き返しています。40代と50代が増加傾向なのはコロナ前の傾向でしたので、ここだけ見るとコロナ禍から脱却したように見えます。しかしよく見ると、30代のシェアが回復しない(他の世代にシェアを奪われている)ところが目立ちます。

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ちなみに最年少合格者は14歳(!)だそうです。最年長・最年少が公表されるようになってから新記録となりました。今まで高校生(に相当する年齢)の16歳が最年少だったのですが、とうとう中学生が合格するようになりました。

(3)受験地区別

今年は東京のシェアは横ばいで、大阪のシェアが減少し、その分名古屋のシェアが上昇したように見えています。ちなみに、昨年は東京地区のシェアが低下し、その分、大阪、仙台、札幌のシェアが上昇していました。
注目すべきは仙台で、シェアがここ5年間一貫して増加傾向です。5位の広島のシェアまで0.2%と迫っており、いまにも逆転しそうな状況です。コロナとは関係なく、仙台地区の方の努力だと思われます。

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(4)勤務先別

ここだけ対数グラフにしています。昨年は学生がシェアを1.3%から2.2%に伸ばすという快挙がありました。今年はさらにシェアを伸ばして2.4%となりました。学生の中で中小企業診断士の認知度が高まっているなど、なにか原因があるのかもしれません。あるいは、学生の合格率は2007年頃にも高まっていたので、周期的な現象かもしれません。
また、公務員も昨年よりシェアを伸ばして、初めて4%台に到達しています。公務員はこのところ一貫してシェア増加傾向です。

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おわりに

今年の1次試験合格者で目立ったのは、
・学生の合格シェア増加が目立った。特に最年少14歳合格者が目を引いた。
・40代以上で合格者の巻き返しが起こった。

でした。

昨年のブログを書いた時点では、来年の1次試験はコロナ禍の影響が無くなるのではと思っていたのですが、フタを開けてみると昨年よりも厳しい状況下での試験となってしまいました。

さて、2次試験はいつもの年より遅めの11月7日です。一段と寒くなる季節ですので、1次試験に合格した方は、健康に留意し悔いの無いようにお過ごしいただければと思います。

IT系企業に所属する企業内診断士です。