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本の紹介50冊目 『ケーキの切れない非行少年たち』

こんにちは、TAKUです。

今日紹介するのは、宮口幸治さんの著書『ケーキの切れない非行少年たち』です。

いまの日本では、まだまだ教育について問題点が多く、

・親から認められない
・周りからバカにされる

といった理由で、非行に走ってしまう少年たちがいます。

この本は、児童精神科医である著者が、医療少年院に勤めた経験から得られた事実や、著者が実際に感じた考えが書かれています。

それでは、説明していきます。

【ケーキの切れない非行少年】

まず著者は、医療少年院に勤務していた時に、その施設に入っているある少年たちと面談を行いました。

そこで机の上に紙を置き大きな丸を書いて、

「ここに丸いケーキがあります。3等分できるように切ってください。」

と言いました。

すると、少年たちは「う〜ん」と悩みながらも、明らかに3等分ではない線を引きました。

それは彼らから見た世界が歪んで見えているためだろうと、著者は推測しています。

【非行少年に共通する特徴5点セット + 1】

少年たちの特徴を分析して抽象化すると、
以下6つの特徴が見つかりました。

1.認知機能の弱さ
見たり聞いたり想像する力が弱いこと。

2.感情統制の弱さ
感情をコントロールするのが苦手で、すぐにキレること。

3.融通の利かなさ
なんでも思いつきでやってしまうことで、予想外のことに弱いこと。

4.不適切な自己評価
自分の問題点が分からずに、自信があり過ぎたり、なさ過ぎたりすること。

5.対人スキルの乏しさ
人とのコミュニケーションが苦手なこと。

(+)身体的な不器用さ
力加減ができず、身体の使い方が不器用なこと。

【認知機能が弱いと、どのような行動をしてしまうのか?】

普通であれば、目で見て話を聞くことでどのような結果が得られるのかは想像ができます。

例えば車やバイクを買う場合、

・バイトをしてお金貯めて買う
・周りの人からお金を借りる

などと考えるのが一般的だと思います。

一方、認知機能が弱く想像力が弱い少年であれば、

・あと先を考えずに道にある車やバイクを盗む

という行動を取ってしまいます。

つまり、後先を考えることができず、計画や見通しを立てることができないのだと語られています。

【認知能力が低いと対人関係にも支障をきたしてしまう】

認知能力が低い場合は対人スキルにも影響が出てきます。

例えば、

・聞く力が弱く友人との話が理解できない
・見る力が弱いと友達の表情や仕草が読めず、不適切な言動をする
・想像力が弱いと、相手の立場になれない

これらによって、自己評価が不適切になり、「客観的に自分を評価できない」ことに繋がります。

【そんな少年たちに、私たちはどのようにすべきか?】

ここでは、著者はやるべきこととして、

・自己への気付き
・自己評価の向上

の2つだと言います。

その例として、

ここでは、認知機能向上の授業を不真面目に受ける少年に対して、

「では替わりにやってくれ」と言いました。

すると、驚いたことに、
著者を無視していた少年たちが

「ボクにやらせてください」
「ボクが教えます」

などと言って、他の少年に問題を出したり、楽しそうに教えたりするようになりました。

つまり、これまでバカにされた経験のある子供たちは、

・人に教えてみたい
・人から頼りにされたい
・人から認められたい

これらの思いが芽生えて、それが自分自身への気づきや、自己評価の向上に繋がったのだと言います。

なので、子どもの心に扉があるのであれば、

子どもの「動機」などを刺激することが大切だと学びました。

【最後に】

この本は、非行少年たちについての理解を深めるとともに、児童精神科医が教える子どもの教育法について学ぶことができます。

ぜひ読んでみてはいかがでしょうか!

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