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本の紹介3冊目『世界の危険思想 悪いやつらの頭の中』

今回私が紹介するのは、丸山ゴンザレスさんの著書『世界の危険思想 悪いやつらの頭の中』です。

本書では、裏社会の組織や出来事を追うジャーナリストが、当事者達の「危険思想」を紐解いています。

【著者の丸山ゴンザレスさんについて】

丸山さんは、大学院卒業後に出版社勤務を経て独立しています。

フリーのジャーナリストとして日本の裏社会や海外危険地帯の取材を重ねていることから「犯罪ジャーナリスト」と名乗っています。

また、ビジネス、国際政治、言論など多方面の企画や書籍編集も手がける編集者としての実績もあり、トークイベントをはじめとしてテレビやラジオなどメディアにも多数出演しています。

【人殺しの頭の中】

ジャマイカという人口290万人の島国で、この中でトップクラスにヤバイとされるスラム街を取材したときのお話しです。

ここでお話を伺ったのが「現役の殺し屋」でした。この方は殺し屋としての仕事を全うしていますが、その日暮らしに困るほどの貧乏人でした。

著者から見て、彼は生きることに必死で人を殺すことぐらいしかできる仕事がない感じがしたそうです。

また、著者が恐ろしいと思ったのは「殺し屋」に仕事を依頼する依頼主の方です。それは、依頼主には動機があり、殺し屋に依頼できるコネとお金があり、その動機が自分のメンツを潰されたとか、プライドの問題であったからです。

本人には対象を排除するには十分だと思えたと語られています。

結果的にわかったのは、依頼者と実行者という二つの存在が噛み合ったときに殺人が発生するということです。

 世の中で起きている殺人の多くは依頼と実行という二つの作業を一人で実行するため、ハードルが高くなりますが、そもそも役割を演じることで「殺人」を無感情で実行できるのだと学びました。

【命に値段は付けられる】

「フィリピンでは簡単に殺される。その理由がお金であり、親子の情も夫婦の絆も、金の前には何の役にも立たない。」

これは著者がフィリピンの友人から言われたことです。

ちなみに、フィリピンでは交通事故で人が死亡したとしても10万ペソ(約22万円)ぐらいの賠償金で済んでしまいます。中には交通事故で重傷の場合は相手の治療費で10万ペソ以上のお金がかかるので、重大の相手を轢き殺すことも起こると語られていました。

フィリピンでは、人間としての正義よりも自分の経済的なメリットを優先するという危険な思想があることに衝撃を受けました。

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【裏社会の掟】**

著者が見た限り、裏社会の考え方の特徴としては、「縄張り」「ボスへの忠誠(裏切りの禁止)」「アンチ警察」が際立っていると語られています。

裏社会でありがちなこととして、もっとも恐ろしいのは、彼らが思考停止状態にあることだと語られています。「なぜ争っているのかわからない。上の世代が争っていたから自分たちも抗争する。」ロサンゼルスのフロレンシア13というグループに所属していたギャングが言っていたことです。

彼らの行動原理の根本を探っていくと、このように「何もない」ということも珍しくないです。そのこと自体、彼ら自身が一番よくわかっているからこそ、そこを深く追求することはしないのです。

そうなると現状を打破すること、ギャングの一掃などは、当事者たちですらわかっていないので、簡単にできることではないということが理解できます。

【最後に】

いかがだったでしょうか?

本書を読んで、周りの環境次第でここまで人間の思考はがんじがらめになったりするものだと考えさせられました。

普段はまず触れることは無いであろう、裏社会の人たちの思考・生活を知ることができます。ぜひ読んでみてはいかがでしょうか!

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