VOL.14「15分でわかる社会起業の一歩!Final!(お読みいただき、ありがとうございました!)

1. いつも自分に気にかけていること(自戒)

「自分にとっても、同じような境遇の人にとっても、地元にこういう会があったら絶対楽しい」

約1年間、事前構想に時間を費やし、当時通っていた社会起業塾で幾度となくプレゼンを行い、ブラッシュアップを図った落合中井社会人大学院ですが、やはり長く続くと慢心というか、自分が正しいと思いがちになります。

私は本当にバカで、今まで何回も同じような失敗サイクルを繰り返してきました(笑)。例えば、仕事についてもたまたまうまく行ったのにも関わらず、「自分の手柄!」と、すぐに慢心します。そこでこの大学院に関しては常に3つのことを自戒するように心がけております。

1. もともとお住まいの地域の方々にお役に立てているだろうか。

また逆の可能性(ご迷惑をかけている)はないだろうかを常に念頭に置かせていただいております。なぜならばそもそも元来ある地縁組織をサポートするために生まれた大学院だからです。

先述したかもしれませんが、私の最初の創設の動機は、「PTA役員に男性がいない」ことです。少しでもPTAや地域活動に現役の男性を入れたいと考えたのが発端です。

立ち上げて少し経って、新宿区のコミュニティ課の方と話している際に、「野口さん、この集まり本当に素晴らしいよ、だからなおさら町会さんにもきちんとご説明したほうがいいですよ」と御助言いただきました。地域知らずの私でしたが、「言われた通りにしよう!」と思い、各町会のトップの方々が集まる場所にお邪魔させていただき、ご挨拶をさせていただきました。

規約にも明確に記載させていただいておりますが、我々の団体は、「元からある地縁組織(町会、商店街、PTAなど)のお手伝いをすることを目的」としておりますので、今後も地域で手の届きにくいことに積極的に取り組み、新しいつながりを創造できればと思っております。理想としては、将来的に、例えば、人手不足のPTA仕事の一つである小中学校の運動会パトロールや、地元の防犯や防災訓練、街の電灯の交換連絡などのさまざまな地域のお仕事を地域大学院としてお手伝いさせていただきたいと思っております。

2. 団体を客観的に見る

私はこの団体を立ち上げるのと同じようなタイミングで、勉強のために東京都のプロボノワーカーとして、八王子市の社会福祉協議会のプロジェクトに参加しました。

そこで、プロボノワーカーとしての仕事の進め方や参加するプロボノワーカーの質を把握した上で、自分の団体(落合中井社会人大学院)への依頼をお願いしました。

自分でプロボノワーカーとして参加したおかげで、東京ホームタウンの事務局などにも既知の方がいたり、地元の社会福祉協議会のメンバーも推薦をしてくれたり、不安はありながらも無事に採択されました。

このプロボノに申し込みをした一番の理由は「自分の活動を客観的に評価していただきたい」その背景にあるのは、自己満足、欺瞞になっていないだろうかという強い不安でした。

想いが強いとその想いが故に時に利己的暴走するリスクを孕むものです。

“自分がしたいことでなく、人の求めるものを創る”。それがわたくがしたいことです。

これは実はビジネスセオリーから学んだことです。いわゆる“顧客視点”です。

歳を重ねると恐ろしいことに、他人は厳しいことを直接言ってくれなくなります。理由は本当に自分でもわかりますが、面倒臭いからです(笑)。ましてや理屈っぽい「男性ビジネスマン」は、長い社会人生活のなかで理屈で反論するノウハウはピカイチなのです!(笑)。まだまだ私が気づけていない地域大学院の欠点、そしてニーズを第三者から遠慮なく指摘していただきたく思っております。

3. 参加者に定期的なアンケートを取る

これは当たり前のことなのですが、参加する方の満足度、やりたいことを把握するために実施をします。ただ毎回であると集計も準備も大変なので、3ヶ月にいっぺんくらいでも十分かと考えております。それでもなかなか本音は聞き出しにくいのですが、なるべく行間を読み、偏見で処理しないように主催とは逆の立場に立って見るようにしております。

2. 今後のビジョン

既に記載させていただきましたが、将来の計画を綿密に立ててもほとんどがそのように進みません。また「本当はこっちの方が良いのかもしれない」と感じても、緻密な事前計画のおかげで、逆に判断を誤ってしまうことも危惧されます。

「サンクコスト」という言葉があって、それまで投下した労力や努力が大きければ大きいほど、失ってしまうことが“もったいなく”感じてしまい、後戻りや修正ができない組織になりがちです。ですので、基本的には先出の言葉の通り、「常に目の前の現場にゼロから向き合い、悪いところは直し、また次回に向けてできる改善をする」が基本姿勢です。

ただもちろんイメージしている“夢”はあります。これをビジョンと呼ぶのであれば明確なビジョンです。

それは、地元で3世代(あるいは人生100年時代なのでもはや4世代)が、それぞれの知識や経験、考えを遠慮なく雑多ななかでぶつけ合い、好きとか嫌いとかの次元でなく、ゆるやかな自然なつながりの中で、そこにいる幸せや安心感を感じられる地域作りです。

「今日旦那が帰ってくるって言ったから夕飯用意したのに、急に会社の呑み会になったみたいだから、少しだけどお裾分けにもらってくれない?」

「大切にしていたトレーナー、古くなったけどなかなか捨てられなくって何かいい方法ないかな?」「そういえば私の知人でリユースやっている人がいるから聞いてみるねー」

「今日、ママ仕事が少し遅くなってしまってお迎え行けないんだけど、前のウチのおばさんにお迎えお願いしてもらっていい?」

私が小さい頃、「マエノウチノオバサン」という呼称のおばさんがいらっしゃいました。

お向かいに住んでいる中年の女性の方のことなのですが、我が家ではそのように呼ばれていたので、私も「マエノウチノオバサン」=「前の家のおばさん」という意味でなく、音で覚えていたのを思い出します。その方は我が家に何かあるとすぐに幼い私をお預かりしてくれたり、時に遊んでくれたりしていました。

振り返れば、40年も前の我々の少年時代と現代を比べると、実は一周回って、現在の家庭における経済状況は変わらない気がします。むしろ余計なコストや情報が増えて、裕福感は悪化しているのではないでしょうか。

そんな今こそ、みんなの「マエノウチノオバサン」がいたら良いのにと強く願います。

私はサザエさん好きなので、自分はマスオさん(嫁のご両親と同居のお婿さん)ですが、憧れは、街の「サブちゃん」になることです。気軽に相談される街の御用聞きになりたいと願います。

そして、短期的な直近1年の目標もございます。

それは、まず地域で社会団体を行なっている方々とよりつながりを持ち、お互いに告知活動をしたり、運営などで悩んでいることを共有したり、もっている遊休資産などもシェアしたりできないかと思案しております。(わざわざ新しく購入をしなくてもタイミングをずらして使用すればよいものも多くございます)

小さなつながりを一つ一つ紡ぎ、そして困っている人を一人でも支援の網の目からこぼさないように皆で意識を合わせ、フォローし合えればと願います。

具体的なイメージは、例えば私の社会人大学院にきてくださる方で、「知り合いのママがシングルでまだ子供が小さくって精神的にも参ってきてるの」という情報をキャッチしたとしたら、今までは私の大学院だと助けられないけど、団体間でのつながりができはじめれば、「あっ、それなら佐藤さんのみんなのリビングで、同じような小さい子供のママたちがご飯のお裾分け活動しているからちょっと聞いてみるね」など、一つ一つの団体が“地域の困った”のハブ(連結器)になれればと思います。

「地域包括ケア」という言葉も「SDGs」もそうですが、一人一人の意識が変わり、日々の行動が変われば、容易に実現できると信じております。耳あたりの良い綺麗な言葉が飛び交い、どこか当事者でない、評論家のように客観的に物事を見てしまっている感を私は感じざるをえません。

我々一人一人ができることはまだまだ無限です。“元気のない近所の高齢者の方に毎日明るく挨拶をする”、まずそれが地域包括ケアの誰でもできる最初の一歩なのではないでしょうか。

そして、SDGsの第一歩は、例えばきちんとスーパーでは並んだ順番に商品を手に取り、奥の方に手を伸ばし賞味期限が長いものから選んで取らないことです。(「てまえどり」というらしいです)

そんな日々の些細な行動でも、地球のフードロスを削減できる一助になるのではないでしょうか。もし本気なら自分のできることをきちんと日々やることです。

話は少し脱線してしまいますが、私個人の感想としては、この地域活動などをする前までは、よく「行政の縦割り」などネガティブに言われていたことが、あまりピンときませんでしたが、現場で活動するとしばしば実感する時があります。

ほとんどの職員の方々は真面目にきちんと仕事をしてくれているのですが、それが逆に融通を阻害してしまうことになっている気がします。

ユーザーの視点に立てば、「困っている人」にはワンストップで、きちんと必要な支援を行う団体を繋げることができること、これが利便性であり、安心感であると考えます。

それこそが次に目指す我々地域大学院の役割であり、存在意義とも考えます。

地域の社会人大学院は、ワンストップで、「まずはここに聞いてみよう」とさまざまなノウハウの蓄積場になりえます。

例えるならば、「地元の人物図鑑」です。わかりやすく言えば、「何何のことは、〇〇さんに聞いてみよう!」がここにくれば解決方法を知ることができるワンストップのお悩みプラットフォームです。

そのためには、まずはそこにいる人間同士の安心感、笑顔に溢れる環境作り、土台作りがもっとも重要です。そこで我々の大学院では、知識を通じて、「つながること」を重要視しております。

具体的には必ず会の最初に、参加者みんなに共通している地域ネタのクイズを用意します。

遊びながら、よく学び、そしてふと気がついたら、安心してお話ができる地元の仲間がそばにいること、みんながみんなのための「マエノウチノオバサン」になることを期待しております。

ぜひ皆様も同じ想いに共感いただけましたら、HPまでご連絡をいただけましたら幸いです。他の地域で大学院運営のできる校長先生を大募集中です。皆さまのお力で日本全国に温かな笑顔の溢れる街を作りたいと願います。

■終わりに

最後まで乱文をお読みいただき、本当にありがとうございます。

ぜひ、この本をきっかけに小さな一歩を踏み出してください。

今の状態が平凡であっても、地味だって、自信がなくたって構いません。

みなさまの人生に、少しでもお役に立てればこれほど嬉しいことはございません。

落合・中井社会人大学院

https://ochiainakai-daigakuin.jimdosite.com

紹介動画

https://youtu.be/QbQocKKYZ-4 

■著者略歴

27歳で結婚を機に妻の実家の近くで新婚生活をスタートする。30代は仕事中心で家族のこと、家庭のことは全くと言っていいほど参加できておらず妻に任せっぱなし。40歳を機にPTAなどに参加し始め、その縁で地元に知り合いや友人が増えてくる。

今までの恩返しも含め、自分ができることを少しでも地域に還流したいと思い、地域活動に参加。この地域活動をするにあたり衝撃的に覚えた言葉は「ソリューションありきではなくミッションありき」。ついついビジネスの世界に長くいるとソリューションを求めがちだが、地域活動にはミッションが大切でその想いを発信し続けることで正しい道は開けていくのだと信じる。

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