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「かも知れない運転」のその先
車を運転する人にとって、心得なければならない事の一つに「かも知れない運転」というのがある。今はまだ見えていないが、バスの影から人が出てくるかも知れない、路地からボールを追いかけて子供が飛び出してくるかも知れないといった、今の状況から数秒後の未来を予測して運転行動に反映させるというものだ。
私も教習所でトップ絵のようなイラストの描かれた教科書を見た記憶がある。
私自身、運転中にその点は十分留意して運転しているつもりだ。現にそのような事故も起こしたことはないし、急ブレーキを踏んだこともないが、この「かも知れない運転」の大切さを思い知った出来事があった。
数年前、バス通りの右側の歩道を歩いていたら、先の路地からボールだけがコロコロと転がってきた。ボールは車に轢かれることなく道路を渡り、縁石で止まった。
まさにあのイラストの状況だ。見事なまでにそのままではないか。
私は歩行者だから無関係だが、万が一子供が飛び出して来ようものなら、蹴り倒してでも止めなければと思っていた。
すると、やはり子供が出てきた。小学校高学年くらいのその子は、車道に出た所で立ち止まり、左右を確認して車通りが切れるのを待ってからボールを取りに行った。
しっかりした子だ。これなら安心だと私はそのまま通り過ぎた。ちょうどそこをすれ違う様にバスが通り過ぎていった。
ガゴッ!ゴリゴリ!
聞いた事のない異音が鳴り響いた。
えええええ!?そんなまさか・・・
その後に小さい子供の声で「おにいちゃーん」という声が聞こえた。
恐る恐る振り返ると、バスが停まって運転手が降りてきた。
どうやらボール遊びの相手の弟が、兄を追って車道に飛び出して来たようだ。
幸い直前でバスが停まったので事故にはならなかったようだ。あの異音は急ブレーキの音だった。
兄弟揃って運転手に説教されていた。説教で済んでホントに良かった。
考えてみれば普通ボール遊びは2人以上でやるものだ。最初の子がちゃんとしてても、バカな二人目が飛び出してくる事もある訳だ。
そこまでは予測できなかった。
「かも知れない運転」のその先まで考えて置かなかればならないと。
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