見出し画像

きょうの霊枢 五色篇 第四十九 (4) 2021/6/10

五色篇の最終回です。
まず、顔色と「風、痛、寒、膿、攣」の対応がさらっと述べられています。

沈濁為內 浮澤為外
黃赤為風 ※1
青黑為痛 ※2
白為寒  ※3
黃而膏潤為膿 ※4
赤甚者為血痛 甚為攣 ※5
寒甚為皮不仁 ※6

このままでは良く分からないので、同様の表現がされているところをざっと挙げてみます。

※1 【為風】
素問 風論
風之傷人也 或為寒熱 或為熱中 或為寒中
或為癘風 或為偏枯 或為風也

霊枢 五色
小子聞風者 百病之始也
厥逆者 寒濕之起也 別之奈何
黃帝曰 常候闕中 薄澤為風 沖濁為痺

傷寒論 辨脈法
寸口脈浮而緊 浮則為風 緊則為寒
風則傷衛 寒則傷榮

傷寒論 辨陽明脈證并治
汗出讝語者 以有燥屎在胃中 此為風也

金匱要略 臟腑經絡先後病脈證
又色青為痛 色黑為勞 色赤為風 色黃者便難
色鮮明者有留飲

※2 【為痛】
素問 舉痛論
視其五色 黃赤為熱 白為寒 青黑為痛

霊枢 五癃津液別
天暑衣厚則腠理開 故汗出 寒留於分肉之間 聚沫則為痛

霊枢 五色
雷公曰 官五色奈何
黃帝曰 青黑為痛 黃赤為熱 白為寒 是謂五官

傷寒論 平脈法
風則浮虛 寒則牢堅 沈潛水畜 支飲急弦
動則為痛 數則熱煩

※3 【為寒】
霊枢 終始
刺熱厥者 留鍼反為寒 刺寒厥者 留鍼反為熱

霊枢 刺節真邪
搏於肉 與衛氣相搏 陽勝者 則為熱 陰勝者 則為寒

難経 九難
數則為熱 遲則為寒 諸陽為熱 諸陰為寒

傷寒論 平脈法
趺陽脈緊而浮 浮為氣 緊為寒
趺陽脈微而緊 緊為寒 微則為虛
寸口諸微亡陽 諸濡亡血 諸弱發熱 諸緊為寒

※4 【為膿】
霊枢 刺節真邪
熱勝其寒 則爛肉腐肌為膿 內傷骨 內傷骨為骨蝕
有所結 中於肉 宗氣歸之 邪留而不去
有熱則化而為膿 無熱則為肉疽

霊枢 癰疽
寒氣化為熱 熱勝則腐肉 肉腐則為膿
膿不寫則爛筋 筋爛則傷骨 骨傷則髓消

金匱要略 瘡癰腸癰浸淫病脈證并治
腸癰之為病 其身甲錯 腹皮急 按之濡如腫狀 腹無積飛
身而熱 脈數 此為膿內有癰膿 薏苡附子敗醬散主之

※5 【為攣】
素問 疏五過論
診有三常 必問貴賤 封君敗傷 及欲侯王
故貴脫勢 雖不中邪 精緻神內傷 身必敗亡
始富後貧 雖不傷邪 皮焦筋屈 痿躄為攣

※6 【為皮不仁】
霊枢 壽夭剛柔
寒痺之為病也 留而不去 時痛而皮不仁


ここからは、顔色の色だけでなく艶や密度など、様々な見方で対応する病の変化について述べていきます。

五色各見其部 察其浮沈 以知淺深
察其澤夭 以觀成敗
察其散搏 以知遠近
視色上下 以知病處
積神於心 以知往今
故相氣不微 不知是非 屬意勿去 乃知新故
色明不麤 沈天為甚 不明不澤 其病不甚
其色散 駒駒然 未有聚
其病散而氣痛 聚未成也

「腎乘心」で、五臓の相生相剋関係で論が展開されると思いきや、男性と女性で「面王」およびその下に位置する人中の状態から泌尿生殖器の病症との対応が述べられています。ちょっとちぐはぐな展開です。

腎乘心 心先病 腎為應
色皆如是
男子色在于面王 為小腹痛 下為卵痛
其圜直為莖痛 高為本 下為首 狐疝㿉陰之屬也 ※7
女子在于面王 為膀胱子處之病
散為痛 搏為聚 方員左右 各如其色形
其隨而下至胝 為淫 有潤如膏狀 為暴食不潔

※7 【狐疝】
素問 四時刺逆從論
厥陰有餘病陰痺 不足病生熱痺 滑則病狐疝
風濇則病少腹積氣

霊枢 経脈
(肝足厥陰之脈)是肝所生病者 胸滿 嘔逆 飧泄
狐疝 遺溺 閉癃

霊枢 本藏
腎下則腰尻痛 不可以俛仰 為狐疝

金匱要略 趺蹶手指臂腫轉筋陰狐疝蚘蟲病證治
陰狐疝氣者 偏有小大 時時上下 蜘蛛散主之

最後の段です。
急にまた五臓、五色、五主の対応関係が述べられて、何となくまとまっていますが、前段までの論の展開との乖離がかなりあるように感じます。
むしろ、『金匱要略』の臟腑經絡先後病脈證や『素問』の挙痛論などに見られる五色篇と似た表現の部分の方が気になります。

左為左 右為右
其色有邪 聚散而不端 面色所指者也
色者 青黑赤白黃 皆端滿有別鄉
別鄉赤者 其色赤 大如榆莢 在面王為不日
其色上銳 首空上向 下銳下向 在左右如法
以五色命藏 青為肝 赤為心 白為肺 黃為脾 黑為腎
肝合筋 心合脈 肺合皮 脾合肉 腎合骨也



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?