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きょうの霊枢 五味篇 第五十六 (2) 2021/7/8

五味篇、後半の回です。

黃帝曰 穀之五味 可得聞乎
伯高曰 請盡言之
五穀 糠米甘 麻酸 大豆鹹 麦苦 黃黍辛 ※1
五果 棗甘  李酸 栗鹹  杏苦 桃辛
五畜 牛甘  犬酸 豬鹹  羊苦 雞辛
五菜 葵甘  韭酸 藿鹹  薤苦 蔥辛 ※2

※1
【糠米】
粳(うるち)の対義語は糯(もち)であり、組成としてアミロースを全くあるいはほとんど含まないものを糯、アミロースを含むものを粳という。これらの性質のことを糯粳性という。

【麻】
アフリカ原産とされる一年草で、紀元前14世紀ころには、古代エジプトや古代インドで栽培されていたと言われている。
草丈は約1mになり、夏、葉腋に白色の花をつけ、秋に結実して実の中に多数の種子を含む。旱魃に強く、生育後期の乾燥にはたいへん強い。逆に多雨は生育が悪くなる。
テキストでは張介賓の説に従って「胡麻」としていましたが、「麻の実」の可能性もあるのでは、という指摘がありました。

【大豆(とう、たかつき、まめ)】
日本には縄文時代に存在したと思われる大豆の出土例があり、『古事記』にも大豆の記録が記載されている。
ダイズ種子には苦み成分であるサポニン (Saponin) (ダイズサポニン)が多く含まれており、人類の主食にまではなっていないが、植物の中では唯一肉に匹敵するだけのタンパク質を含有する特徴から、近年の世界的な健康志向の中で「ミラクルフード」として脚光を浴びている。
「豆」の字の語源が、祭祀に使われる足の高い食器の形、というのも興味深いところです。

【麦(ばく、むぎ)】
この字には種をまいた後に足で踏む(麦踏)の意味があるそうです。

【黍(しょ、きび)】
日本では桃太郎のきびだんご、で有名ですが、古代では神様に捧げるお酒(黍酒)の原料になったそうです。

※2
【葵(き、あおい)】
アオイ科の植物、タチアオイ、フユアオイ、ゼニアオイ、トロロアオイ、モミジアオイなどの俗称。
同じアオイ科にモロヘイヤやオクラなどもあるので、そっちの可能性もあるのではないかとの指摘がありました。

【韭(きゅう、にら)】
ユリ科の多年草。全体に特有のにおいがある。鱗茎 (りんけい) は卵形で、細長く平たい葉が出る。秋、葉の間から高さ30~40センチの茎を伸ばし、半球状に白い小花を多数つける

【藿(かく、まめのは)】
豆の若葉。「鹿藿(ろくかく)」は、マメ科の植物の名。痰切豆(たんきりまめ)

【薤(かい、おおにら)】
テキストでは張介賓の説に従って蒜(のびる)としています。ノビルは、ヒガンバナ科ネギ亜科ネギ属の多年草。日当たりのよい土手や道端に生える野草で、全体の姿や臭いはニラに似ている。花にムカゴをつけて繁殖し、葉と地下の球根は食用になる。

【葱(そう、ねぎ)】
原産地を中国西部・中央アジアとする植物である。東アジアでは食用に栽培されており、日本では野菜の一つとして扱われている。


五色
黃色宜甘
青色宜酸
黑色宜咸
赤色宜苦
白色宜辛

凡此五者 各有所宜
五宜所言五色者
脾病者 宜食糠米飯 牛肉棗葵
心病者 宜食麥羊肉杏薤
腎病者 宜食大豆黃卷豬肉栗藿
肝病者 宜食麻犬肉李韭
肺病者 宜食黃黍雞肉桃蔥

※五臓が病んだときは、自系統に属する食べ物を食べるのが良いとしています。

五禁
肝病禁辛
心病禁咸
脾病禁酸
腎病禁甘
肺病禁苦

※五臓の病には、相剋関係にある系統の食べ物は禁ずるとしています

肝色青 宜食甘 糠米飯 牛肉 棗 葵皆甘
心色赤 宜食酸 犬肉  麻  李 韭皆酸
脾黃色 宜食咸 大豆  豬肉 栗 藿皆咸
肺白色 宜食苦 麥   羊肉 杏 薤皆苦
腎色黑 宜食辛 黃黍  雞肉 桃 蔥皆辛

※五臓を養うのに、心と腎の系統は母子関係で母にあたる系統、肝、脾、肺は相剋にあたる系統の食材が良いとしています。
これを五臓のバランス(中庸、過、不及)を取るのに良い食材、と仮に考えると、心・腎は消耗しがち(不及)なので、母系統で補ってあげる、肝、脾、肺系統は亢進しがち(過)なので、相剋系統で抑えてあげる、と考えているのかもしれません。

※五穀、五果などの説明の順番が「土→木→水→火→金」なのが気になりました。九宮や気学九星の並び(中央の五黄土(二黒土と八白土)→四緑木と三碧木→一白水→九紫火→七赤金と六白金)と共通するかもしれません。

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