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ウメハラさんに学ぶ『格ゲーの攻略法』

 どうも、何だか前回の話が本当に初心者向けだったのか不安になっているたくさんです。というのも、「無駄に格ゲー歴だけは長いお前に初心者の気持ちが分かるのか?」て話なわけで。私が格ゲー初心者だったのってもう20年以上も前の話ですしね。

私が初心者の頃のゲーセンは「うかつに目を合わせるとカツアゲされる」そんな場所でした

 それでも前回の記事は、一応私がギルティギアストライブをやり始めて苦労したことなんかを思い出しながら書いたんですが「それが今作で初めて格ゲーに触れたような人に寄り添ったものなのか?」と言われると首をかしげざるを得ないような気がします。

 う~ん難しい。

 まあ少しは何かの参考になってくれればいいなあと他人事のように願ってはいますが、それ以上に前回は私が伝えたいことを伝え切れてはいなかったようにも感じていました。

 ギルティギア、ひいては格闘ゲームで強くなるためにはどうすればいいか、どういう視点でものを考えるべきなのか。無駄に長い格ゲー歴だけはありますので、一度そういった内容をまとめたいなあと思っていました。

 ただ、そうして改めて自分の考えを整理した時に気が付いたのは、やはりというか何というか「私はウメハラさんの影響をめっちゃ受けている」ということでした。信者時代は長かったからなあ…

 まあそれはそれで下手に私が偉そうに語るよりも面白い話ができそうなので、今回は私が参考にさせていただいているウメハラさんの考え方を中心にお話しさせていただこうかなと思った次第です。

 冒頭に抱いた疑問に反して、またも初心者向けの内容ではないかもしれませんが、格ゲーに限らず他の分野でも応用できることだと思っていますので、どうかお付き合いいただければ幸いです。

1.「本質」の追求

(1)本質を捉えるということ

 今回最も伝えたいことを先に言ってしまうと、私がウメハラさんの考え方で一番参考にすべきだと思っているのは、何事においても「本質」を捉えようとする姿勢に他なりません。

 よくウメハラさんは配信で出演者の方と何かについて議論されていたり、視聴者からの質問に答えていたりする時、

「〇〇っていう定義が何かにもよるんだけど~」

 というような言い出しから始まることが多いです。定義、すなわち物事の本質でありそのものをそのものたらしめている要素とは一体何なのか。パッと出て来る曖昧な言葉やイメージで話をせず、まずそこを明確にした上で物事を考えようとします。

 これはなぜかというと、そうすることで答えがぼやけず、はっきりとさせることが出来るようになるからだと思います。私の例で言えば、以前投稿したソルの遠Sの記事が近い例でしょうか。

「ソルの遠Sは強い」、では何故強いのか?「強い」ということはこのゲームにおいてどういうことなのか?他と比較して何が違うのか?

 なんとなく「ソルの遠Sって強いよね~」で終わらせず、その本質について私なりに追求したものです。こういった考え方も、私がウメハラさんに影響を受けているから出来たものだと思います。

(2)何故「本質」が重要か

読者の質問に答える雑誌のコーナーが本になったものです

 では、そんな「本質」に関わるウメハラさんのエピソードを一つご紹介いたします。2013年に発売された『ウメハラコラム 拳の巻』という本の中で、

 「どうすれば飛び道具が上手く撃てるようになるか」

 という質問にウメハラさんが答えていました。

 ストリートファイターシリーズでは特に飛び道具は強い技ですが、逆に相手に読まれて飛び込まれると大ダメージを負う危険な技でもあります。

 これについて同コーナーを一緒に担当されていたモリカワさんは、

「ウメハラは波動拳を撃った後、ごく短い瞬間に相手の動きを確認している」

 と言い、そうして相手がジャンプする時だけ波動拳を撃たない「ウメ波動」と呼ばれていた技術について話していましたが、ウメハラさんはそれは本質ではなくて、もっと重要なことは他にある、と返していました。

 それは、

「ゲームにおける飛び道具の役割を知る」

ということです。

 飛び道具のあるキャラに対して、飛び道具の無いキャラクターは攻めざるを得ません。波動拳のような飛び道具があるからこそ対戦の中に動きが生まれ、駆け引きが生まれることになります。

 ギルティギアのように自由度の高いゲームではあまり当てはまらないかもしれませんが、多くの格闘ゲームに共通する本質です。

 木を見て森を見ず、とこの本の中でも言われていましたが、そこを理解せずに波動拳を撃つ技術を磨くのではなく、それを踏まえた上で、もっと広い視点で波動拳を撃つ目的を持つことを先にすべきだと語られていました。

 対戦する上で目指すのは相手に勝利すること、すなわち

 相手の体力ゲージを効率的に減らすための状況とは一体何なのかを考えることが攻略の第一歩となります。

相手の体力をゼロにする、そのためには?

 ウメハラさんは、

  ①相手の体力ゲージを効率的に減らすという目的のため
  
②相手を画面端に追い詰めるという戦略を立て
  
③その手段として波動拳を使う

 という流れの考え方をしています。

 戦略上必要なことだからブレない。相手に飛び込まれる危険があっても波動拳を撃ち続けることが出来る。そうして「ウメ波動」という技術を身に付けるに至ったがそれは結果でしかない、ということでしょう。

 場当たり的にやっている私のようなプレイヤーとの差は、こういうところに出るのではないでしょうか。

 このように、本質を追求するということは、結論や結果を出すために必要な第一歩目だと言えるんじゃないでしょうか。もちろん、格闘ゲーム以外でも、こうした本質を追求する考え方は非常に役に立つと思います。

 皆さんも普段何となくでしか捉えていない物事について、その本質が何なのか一度考えてみてはどうでしょうか。そこには新たな発見があるかもしれません。

2.分解して考える

 次に、物事の本質に迫る際にも役に立つ「分解して考える」という考え方についてご紹介いたします。

 ウメハラさんは、よく他の方にコンボを教えるときなどに、「パーツごとに分解する」ことをよく勧めており、そこから参考にさせていただいている考え方です。

ギルティギアストライブのソルのコンボを例にするなら、

 近S>遠S>立ちHS>バンディットリヴォルヴァー>追加>赤RC>ダッシュ近S>しゃがみHS>バンディットブリンガー

↑という初心者の方が見たら一見長く複雑そうなコンボですが、

 ①近S>遠S>立ちHS
 ②バンディットリヴォルヴァー>追加>赤RC
 ③ダッシュ近S>しゃがみHS>バンディットブリンガー

 このように一つのコンボを3つに分け、それぞれを出来るようにしてから組み立てなおす、というやり方にすると覚えやすくなります。分けて整理することで、分かりやすく順序立てて練習することが出来るようになるからです。

 余談ですが、そもそも「分かる」という言葉は「分けられている」というところからきている言葉だそうです。「分かりやすい」ということは、物事を構成している要素が分けられて整理され、理解しやすい状態になっていることを指しています。

持ち物の管理と同じようなものですね

 格闘ゲームに限らず自分にとっての課題を解決する際にも、まずはそのものを分けて整理し、シンプルな状態にしてからその本質を捉えて考える、こういう考え方は日常にも活かせるものだと思います。

3.自分で自分を縛らない

 最後に、お礼と振り返りの記事でも触れた内容にもつながる考えについて説明いたします。よく分からないけど強いのが最強というウメハラさんの考えをさらっと紹介させていただいたわけですが、これについての補足になります。

 何をされているかよく分からないから対策も立てられない、というのが究極の強さだという話なんですが、それにはウメハラさんのように自らのスタイルを確立させない型にはまらない強さが必要になってきます。

 例えば、攻めるのが好きな人はKOで勝ちたがるとか、守るのが得意な人はとことん引いてタイムオーバーになってでも勝とうとするとか、自分の得意な技ばかりを使う人が 多い。するとその形に縛られてプレイの幅が狭まり、結局は壁にぶつかってしまう。

 さらに危険なのが、自己分析して自分のスタイルを決めるのではなく、他人の評価を鵜呑みにしてしまうことだ。自分の持ち味はこれなのだと勘違いして、それを生かして勝とうとする。当然、結果は出ないし長続きもしない。

 その点僕の勝ち方にはスタイルがない。スタイルに陥らないようにしていると言ってもいい。

 他人から「ウメハラの良さはここ」と言われると、それをことごとく否定し、指摘されたプレイは極力捨てるようにしてきた。

 そもそも勝負の本質は、その人の好みやスタイルとは関係のないところにある。勝つために最善の行動を探ること。それこそが重要なのであって、趣味嗜好は瑣末で個人的な願望に過ぎない。

梅原大吾. 勝ち続ける意志力 世界一プロ・ゲーマーの「仕事術」 (小学館101新書) (p.38)

 私にとっても中々に耳の痛い話でした。自分が得意とする必殺連係や技みたいなものは、どうしてもプレイしていく内に身についていくものです。そして、気がつかない内にそれに頼りきりになってしまうことも多いのではないでしょうか。

閃きから有効な戦術や技が生まれることがありますが…

 ウメハラさんは、それで勝率が一時上がったとしても、それに固執してしまうとプレイの幅が狭まり自身の成長が止まってしまう、と言っています。

 そんな趣味嗜好レベルのこだわりに囚われず、対戦の、勝負の本質はどこまでも勝つために最善の手段を探ることであることを忘れず、ただひたすらそれを突き詰めた先に、一目見ただけでは分からない究極の強さがあるのでしょう。

 まあ、私はそんな強さを手にしたことは無いんですが、幸運にもそういう強さを持った人と対戦していただいたこともありますので、ウメハラさんが言っていることが何となく分かる気がします。

 「オレの得意技はこれだ!!」なんて思いこんで自分で自分を縛るような真似はせず、どんどん次の新しい何かを身に付けていくようにしていきたいですね。

4.おわりに

 さて、いかがだったでしょうか。何かしら読んでいただいた方の琴線に触れるものがあればと思います。

 そして、今回ウメハラさんが著書の中で最も伝えたいであろうことなんかは避けて、あまりウメハラさんが明言はしていない事項を中心にお話ししましたので、興味のある方は是非書籍の方も読んでみてください。格闘ゲームをする上で、他人と勝負事で争う上で参考になる事柄がいくつもあると思います。

どの本も面白いですよ

 他に紹介したいことが浮かんだら、第二回なんかもあるかもしれません。それではまた。


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