見守りつつも手は出さない

現職の会社での肩書きは Director of Engineering で、何をしてるかを一言で言えば、会社のエンジニアリング領域で発生する様々な問題を解決しているという感じ。具体的には、Site Reliability Engineering、Customer Support、Product Security といった製品横断的なエンジニアリング領域と、複数ある製品の開発チームの一つのマネジメントを担当している。チームは、日本と米国を跨ぐ十数名の正社員と業務委託メンバーからなり、さらに SaaS 型で提供する製品のプロダクトマネージャー的な役割も担っていて、ビジネス側との議論や開発チームへの情報共有、ユーザー向けのドキュメント作成などもしている。エンジニアリング組織面では人事評価の仕組みとかエンジニア採用のチャンネル開拓とかをやったり、セキュリティ面では、このテイラーさんの記事とまさに同じような形で SOC2 Type 2 を取得するプロマネもしていた。

このように自分が色々な領域を気にする必要が出てきて、毎クォーターその領域が増えていく中で、この 1 年間は、仕事のデリゲーションが重要なテーマであり、その中で「見守りつつも手は出さない」ということを、一つ大切にしながらやっている。あるメンバーに初めてお願いするタスクなど、今までにやったことないことが最初はうまくいかないことはよくあるが、そういう時に何でも自分が先回りして細かく指示をすると、その人が新しいことを学んで適応する機会を奪ってるような気がする。多少の失敗や手戻りは許容して、その人が失敗から学べることを優先するようにしている。ただし、お客様や他のチームに迷惑がかかるような致命的な問題は避ける必要があり。このバランスは難しく、自分自身もまだ改善の余地があると感じているが。

この「見守りつつも手は出さない」の方針は、「TEAM OF TEAMS」という本で学んだもの。マネージャーをやっていると、チェス名人がチェスを指すように 1 人 1 人の動きを細かくコントロールするような欲求が生まれることがあるが、今日の世界はより相互依存的でスピーディーで予測不可能で、そのようなマネジメントはワークしないケースが多く、菜園主が継続的な庭の手入れをするように、マネージャーはメンバー自らが育つ環境を作ることしかできないので、そのような生態系をつくって維持することに注力すべきといったことが書かれていて、自分の一つのマネジメント指針になっているオススメの書籍である。

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