ヒューズorカタリスト SP2プロリーグスクリムDZ構成と特徴 Apex競技机上の卓論#2
コースティック弱体化後のSP2メタゲーム
Apex界のCEO、imperialHal(Wiggのいんぺりあるはれるーや!好き)を加え名実ともに最強ロースターとなったDZ。結局DZのままなの?Redbullじゃなかったの?みたいな疑問はさておき、Zer0が待ち望んだ”二つ目の脳みそ”はチームに劇的な変化をもたらした。チームだけではなく、競技メタゲーム全体かもしれない……それはヒューズピックの可能性。今回のUPDによりLv2よりコンソールビーコンが読めるようになった愛おしき兄弟。UPD当初は偉大なる尊師Shomaru7が「これで競技でもいけるよナァ!」と叫んでいたくらいで、実際のところ競技に持ち込めると思っていたコーチアナリストプレイヤー……いや、いたのか?(勉強不足で申し訳ない)少なくともZer0とZZは、それを真剣に検討していたようだ。
現在のDZは、WEにてヒューズを採用している。SPではカタリストだ。ブラッドハウンド、バンガロール、ヒューズorカタリスト。文字列だけを見ると、それは素晴らしいいいところどりな解決方法のように思える。ぜひとも各チーム真似をするべきだ。NAスクリムでうまくいっているんだし。
それが、簡単にトレースなんてできないことをやっているのが現在のDZであり、ヒューズとカタリストには共存できないジレンマが存在する。
そして、そもそもファイトのコンセプトが違うレジェンドであることも。
イーブン状況を有利に変えるカタリスト
まずはカタリスト、Y3ではほぼ必須レジェンドでありメタゲームの一角を成していたレジェンドも上方修正によりY3当時の性能を取り戻した。カタリストを採用する狙いとしては、フェアなイーブンファイトを有利な状況へ変え勝率を上げることができることだろう。当然移動時のリスクを減らしたり、ドアを強化して順位ポイントを最大化するためにも役に立つが、このフェアな3on3ファイトで勝てなければ結果を残せない現状においてそれはあくまでもうれしいおまけでしかない。仮にそれだけを目的として採用するならば、ワットソンはカタリストより遥かに優れている。
以下は、カタリストを採用しているチームの理想的なファイト推移だ。
DZはスクリムにおいて、このファイトを見事に繰り返し敵を殲滅し続けている。
フェアな3on3では相当上手くことを運ばなければこちらも数人ダウンがでてもおかしくはない猛者揃いのNAリージョン。それを誰もダウンすることのない有利ファイトへとUltで変えてしまえることがカタリストの強みであり、これにより他チームの介入が想定される場所においてもZer0はファイトを選択できる。この後襲い掛かられたとしても、まだバンガロールのUltが(もしかしたらブラッドハウンドも)残っているのだ。別にUltがなくても各々でなんとかしてしまう場面も多いんだけれど。Genの上がり判断やポジション調整がすさまじく早く、HalZer0のAIM能力が優れているという点は当たり前として……本当に参考例として向かないチームだ。しかしそのファイト展開はまさに教科書的である。
ここで書き連ねたいのは、カタリストはアンカーへ配置せざるを得ないレジェンドでありながら前へ出る動きが求められるレジェンドであるということ。
バンガロールのようにアビリティで身を守る手段がなく、ブラッドハウンドのように索敵のため前に出す理由もない。つまりは前に出す意味が薄い。チーム状況して2-1を選択したいならば、ブラッドハウンドとバンガロールをペアにして前に配置したい。
なぜソロアンカーとしてカタリストを採用できないのかというと、敵を分断する一番の目的のために前へ出る必要があるからだ。カタリストが前にかけあがり3人が一気に1人か2人へ襲い掛かる……安置の狭まった終盤ではそれでもいいだろう。オープンなスペースで行った場合、浮いている相手はカーテンを回り込み味方へ容赦なくハボックを浴びせる。味方がダウンしてしまえば、そのファイトには勝ててもそこから漁夫は返しきれない。
あくまでカタリストはオープンなスペースでフェアな3on3をクリーンに勝ち漁夫を返すためにピックされるレジェンドだということだ。そのためにバンガロールはアンカーの位置に残り、相手を抑える役割や動きの情報を持つ。前方ファイトのIGLをHalが担当し、全体的なIGLをZer0が受け持つことでDZはすべてを上手く回している。
つまり、数的有利状況でなら確実に相手を落としきれる優秀な火力とファイトIGL適性のあるフラッガー、ポジショニング能力と状況判断に優れフラッガーとしての火力も持ち合わせたアンカーがいてこそピックされるべきなのがカタリストだ。
3人でピークしなければファイトを有利に運べないというチーム状況であるなら、コースティック等の選択肢を選ぶべきかもしれない。
有利な条件を更に有利へとするためのヒューズ
では、ヒューズはどうか。カタリストとは違い、この愛すべき兄弟はファイトに劇的な変化をもたらすことはできない。このメタゲームを数年前から読み切り、誰よりもその性能を極めた偉大なるShomaru7ならば下記のようなワザを発揮することができる。しかしそれでも、カタリストの壁は出せない。
ならばなぜヒューズが採用されているのか。同じリングコンソールを担当できるコントロール枠として比較するならば、DZがヒューズを採用する理由はないように感じる。ヒューズ採用時のDZを見てみたい。
ここで書き連ねたいのは、ファイト状況の違いだ。図に入れておくべきことだった。カタリストと違い、ヒューズはフェアな状況での3on3を積極的に選択できない。終盤盤面でのUltは莫大な制圧力を誇る(チートスキャァンオォオン!もある)が、オープンな状態で相手が広いスペースを保持している盤面での影響力は低い。漁夫がアンカーの位置する後方から来る可能性があるならば更に慎重になるべきだ。的の大きい身を守る手段のないおじさんは一瞬にしてデスボックスになってしまうだろう。物資やポジション等有利である状況を作り出したうえで、その有利を更に有利へと持ち上げることができるのがヒューズといえる。輝くのは、相手チームが限られた遮蔽に頼っているという限定的な状況だ。ヒューズのナックルクラスターは圧倒的なハラスメント力を持つ。近い距離で圧力をかけるフラッガーを前方に二人配置し、エリアを広く制圧することでその状況を作り出せなければ輝けない。アンカーを二人で担当してしまうと、スペースを広く相手に使われてしまいヒューズの強みを生かせなくなる。後方から相手をどう押し込めるかをフラッガーに伝え、自らの有利を拡張していくレジェンドであり盤面をひっくり返すジョーカーではない。
的確な安置判断からくるポジショニングに優れ満ち足りた物資を持っているチーム(グレネードスタックも拾えないなら意味がない)であり、ソロアンカーのタスクをこなせる優れたアンカープレイヤーが必要だ。
DZは優れたランドマーク、優秀なポジションによる有利を作り上げられる前提を持っている。物資差が大きいワールズエッジでその有利を相手に押し付けるのだ。”俺たちは攻められる側ではない”という自信と能力、プレイスタイルがあってこそだと言える。
結局どのレジェンドが優れているのあとがき
純粋にイーブンな状況で考えるならば、バンガロールとブラッドハウンドは固定として優れているのは間違いなくカタリストであるし、弱体化の上でもコースティック。判断次第で攻めにも守りにも有効に使えるこのレジェンドは、やはり優れている。ACAPNスクリムでヒューズがマッチごとに増減を繰り返しているのがその証左だろう。使い続けられるほどのチームは限られていると考える。何かが足りないチームでは使えない。ワットソンという強烈なアンチピックが存在していることも向かい風だ。
DZ、FNCヒューズピックの輝きは”レジェンドのスキルを使わなくともファイトで圧倒できる”という前提のレベル差があってこそのように感じる。ワットソンでファイトに強いRCWも同じであるし、Auroraのライフラインも同じかもしれない。
様々なチームがDZやFNC、Zer0やLykqを参考にという声が聞こえるが……参考にする部分として、そこを間違えてしまうと取り返しがつかないミスに繋がっていきそうだ。ヒューズ環境とは本当に存在しているのだろうか。
それは強者故の押し付けであり、メタゲームとは言えないのではないか?ロール配置に注目してスクリムを見ている身として、そう考えてしまう。
コースティックやカタリストを採用し続けるシュアなチーム、挑戦を続けるチーム、もしくはそれが当たり前だと思い込み挑戦を強いられていることに気づいていないチーム……。出場チームは三者三様だ。
少ないスクリム期間、そしてプロリーグの開幕が楽しみである。
格下のままということはプロの世界に存在しない。カープですら連覇できたのだ。ファンとして当時を見届けたおじさんは、そう信じている。
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