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Photo story

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猿払村に纏わる写真から綴る物語。
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Photo story No.024 日曜日に撮影した36枚の写真

今朝、思いがけず早く目が覚めた。時計を見ると3時過ぎ。今出発したら、朝陽が昇るまでに間に合う。ただ、天気予報を見ると曇り。行ったとしても、朝陽が全く見えない可能性もある。 でも、行かないで後悔はしたくないという想い。まずは、向かうことに。オホーツク海に昇る朝陽を撮影するいつものポイントにつくと案の定空の大部分を雲が覆っていた。 ただ、少し空が見えるので、一縷の望みを持ってその時を待つ。段々と赤と青のグラデーションが色づいてきた。 いよいよ、眩い陽射しが海面を一直線に

Photo story No.023 猿払を支える酪農

猿払の基幹産業の酪農。さるふつ公園に隣接する猿払村営牧場では、放牧している乳牛を見ることができる。国道沿いに面していることもあって、南下していると左にオホーツク海、右に牧場というロケーションだ。 この日は、仲良さそうにじゃれ合う乳牛が印象的だった。眺めていると、とにかくよく草を食べる。ずーっと食べている。広大な敷地でさぞかし、ストレスなく暮らしているんだろう。 猿払の冷涼な気候も乳牛にとっては好都合のようだ。 猿払を支える酪農は、安定した生乳の生産を誇る。手元にある

Photo story No.022 地球は丸い、私は恵まれている

地球が丸いということは、小学校の授業で習ったような気がする。ただ、日々の暮らしの中でそんなことを意識することはあるだろうか。 猿払には、そんなことを意識させてくれる場所がある。 遮るものなく広がる水平線 高い建物や、遮るものがないが故の至極の風景。ただ、こればかりはレンズを通してお伝えすることができない。 なんとかお伝えできないものかと、スマートフォンのパノラマの機能で何度か撮影したがうまくいかない。 360℃カメラなどではどうなのだろうか。いや、やはり所詮目で

Photo story No.021 最北にも春が

ようやく気温が二桁を上回る時期になった。5月中旬にして春がきて、明日にも桜は満開となりそうだ。植物だけでなく、昆虫の活動も活発に。あちこちで、命の鼓動が伝わってきて。人間も必死だが、植物も昆虫も必死に生きているんだなと強く感じる。まさみつ公園では、鳥たちの囀りも何種類も聞こえていた。私には数種類しか目に留まらなかったが、先にいた熟練カメラマンの方に話を聞くと今日だけで、10数種の鳥を確認できたとのこと。自分の目の節穴さに辟易しながらも、いつか自分でも確認できるようになりた

Photo story No.020 日本で最も遅くても悪くはない

ゴールデンウィーク明けの報せといえば。そう、桜の開花。猿払の桜の開花は、例年日本で最遅となる。毎年の私の行動としては、開花が予想される時期になると様子を確認するのが日課だ。各地の開花状況と猿払の気温の状況で、初めていくべき日を予想する。今回は気温が一気に上がった5月7日に足を運んだ。その時に蕾が膨らんだ様子が確認でき、次の日も天気が良かったので翌日には開花すると予想。翌日行くと少ないながらも一部で開花。今年は予想が当たったが、残念ながらの雨桜。ひどい雨で、写真撮影もままな

Photo story No.019 人間も鹿も必死に生きている

どこを走っても、鹿に会える猿払。一日で鹿を見ない日はない。鹿との衝突事故がよく聞かれるが、鹿は敵ではない。この日も夕方に車を走らせていると目の前に。空の感じと鹿のシルエットが撮影してほしいと言わんばかり。写真の右側には30頭ほどの群れが潜んでいた。どう切り撮ろうか迷いに迷って生まれた一枚。人間も鹿も必死に生きているのだ。 ・ 機材:SONY α7III × TAMRON 28-200mm F/2.8-5.6 場所:猿払村浜猿払 ・

Photo story No.018 夕陽はまるで宝石のように

春といっても風が冷たくて、北海道はなるべく外に出たくない時期。あの日もそんな日だった。外に出たくなくても出なければならないことはあるわけで、夕刻に重い足を引きずるように出かけた。やはり寒く手が悴むほど。足早に車に乗り込むと、風があたらなければまだマシということがわかる。尋常じゃなく風が冷たいのだ。でも、この瞬間、眩しい陽射しが目に刺さってきた。もしかしたら綺麗な夕陽が撮れるかもという予感。当然にいつものようにカメラは手の届く範囲にあるわけで。陽は落ちかけているのでいつもの

Photo story No.017 何を想う

4月といってもまだまだ寒い北海道の中でもとりわけ北部の猿払。北に位置する自治体としては稚内市があるのみ。そんな猿払の春は遠い。春といえば桜が代名詞となる存在で、多くは3月から4月に見頃を迎えるのが全国的には標準だろう。先ほど桜前線の状況を確認すると残るのは青森以北のようだ。猿払はというと例年ゴールでウィーク明けに見頃を迎える。まだ、1ヶ月以上先なのだ。楽しみはあとにとっておくタイプの方にはおすすめかもしれない。 さて、そんな寒い4月のある日、某所で写真を撮影し車に戻ろう

Photo story No.016 さるふつの3月はまだ冬

猿払の3月はまだ冬。 桜の便りが続々と届くが、まだ冬。 この日も夜が明けた時には、氷点下3℃。 そう、真冬といっても過言ではない寒さだった。 外に出るのも嫌気が差す凍てつく寒さ。 ただ、私には撮影しなければならない理由がある。 それは毎月、広報猿払の表紙写真を担当しているから。 一月に一枚と考えるとそう難しく感じないかもしれないが、私にとっては必死。 足を運んでも、撮影できるとは限らないプレッシャー。 けど、良い作品を作りたいという気持ち。 そう、だから。寒い朝

Photo story No.015 空からのプレゼント

朝から、綺麗な青空が広がった猿払。せわしなく動き回っていたこともあって、朝は写真を撮れなかった。いや、正確にいうと撮らなかったという表現が正しいのかも。 時間がなかったわけではない、あくまでもせわしなかっただけだ。いつもだと、時間がない中でもTwitterに投稿するための写真をだいたい撮影する。 それが今日は、なんとなく午後でいいかなと思ってしまった。 なんとなく、Twitterは夕方の投稿ででいいかなと思ったことから生まれたこの一枚。空と雲のバランスだったり、白と

Photo story No.014 朝陽が昇る前に

今年もこの時期が来た。そう、ホタテ漁が始まったのだ。 3月とはいえ、まだまだ春が遠い猿払の朝は寒い。 今朝は、5時30分ころ浜鬼志別漁港に到着した際には氷点下3度。カメラを構える手も悴む寒さ。 夜明け前の、空のグラデーションがとても綺麗で見惚れてしまう。朝陽が昇ってからは当然綺麗だが、この時間も負けていない。 エンジンを止め車を降りると聞き慣れている音ではあるが、漁船のエンジン音の迫力はすごく、お腹にズシっと響くような音だ。 この寒い中、船員は外で出港に向けた準備

Photo story No.013 ばったり出会った君

ばったり出会った君 日曜の朝の用事もひと段落、カメラを助手席に置いてドライブした。 冷たく強い風が、身体に吹き付ける。 気温はマイナス5度。でも、もっと寒く感じる。 車を走らせていると、おなじみの顔が左側に。 飛び出してきそうだったので、車を停めると向こうも動きを止める。 視線の先の道路向かいには、もう一頭。 渡ってくるのを待っているようだ。 先に渡ってもらおうとして、10秒くらい待ってもコチラの意図は通じず。 動かないので、コチラが動き出そうとするとピクッと動

Photo story No.012 染みる夕陽

猿払に住んでいると染みる夕陽は珍しいことではない。 ただ、この日は特別。 4年かけて準備してきたイチゴ栽培の調査研究事業の扉が開かれる時が来た。 村民の皆さんが食べ、笑顔になっている姿を今から想像してしまう。 IoT技術を活用し、省労力化をいかに図るかという挑戦。 猿払の未来のために、できる限りのことをやるのみ。 この日は朝から晩まで、新しい取組みに向けてチーム一丸となっての準備。 気温は低いものの、動いて動いて身体は熱い。 そこで、浴びた夕陽は沁みた。 ・ 機材

Photo story No.011 雪を駆ける

雪を駆ける鹿を見つけた。そうこれは日常。 皆様は、鹿が身近にいる日常を想像できるだろうか。 猿払では鹿が目の前に現れるのは日常だ。この日も私の視界に入る40頭ほどの鹿。 ただ、ここは山奥ではなく、北海道道138号豊富猿払線沿いで役場庁舎から100メートルと離れていない場所なのだ。 日常的に何気なくこのような写真を撮影しているが、これは魅力なのか。 都会から来られる方は、とても喜んでくれる。それは、日常ではないからだろう。 一方で、地元の人にとっては、交通事故の原因にも