情報公開請求等の受付窓口担当だったときに考えていたこと その2

受付段階のこと その2

 開示請求書を受け付けた段階で、開示請求書の記載内容で対象となる行政文書が特定できているかを検討していることは、前の記事で書きました。
 対象となる行政文書が特定できているかというのは、当該行政文書を実際に管理している担当部署にとって、どの行政文書が開示請求の対象となっているかを判別できるか、ということと同義です。
 したがって、受付前の段階でも書いていますが、開示請求書が届いた段階でも、どこの部署が持っている行政文書であるかの当たりをつけて、担当部署にとって、開示請求書の記載で対象となっている行政文書が特定できるかについて相談を持ち掛けます。
 当該部署が管理している行政文書を開示請求の対象としている、ということが分かる状態であったならば、そのほかの補正の点は措くとして、おおよそ次の段階へ進む状態になります。
 念のために付言しますと、情報公開請求の対象となる文書は、行政機関情報公開法であれば「行政文書」であり、情報公開条例であれば条例で定めた文書です。
 実際にどんな文書が請求可能かというところは、行政文書あるいは条例で対象としている文書に該当する限りは、どんなものでも請求することは可能です。ただし、実際に開示されるか否かは、文書に不開示情報が含まれているか否かで変わってくるので、こういうのはどうですかと質問されても、実際の文書を見ないと何とも言えないです、という回答になってしまいます。

開示請求書の記載から対象となる行政文書は特定できたけれど

 開示請求書の記載から対象となる行政文書は明確で、特定できているけれども、どこの部署が管理している行政文書なのかわからない、というケースであれば、全部署の総務を担当している人に向けて、対象文書がこれこれの情報公開請求が届いたけれど、対象文書を管理している部署はありませんか、との連絡を投げます。
 「管理しています」との反応、あるいは、「対象文書そのものは保有していないけれども、仮に存在するとなった場合には、うちの部署です」というような反応があれば、そこの部署を担当部署として手続をすすめれば良いのですが、どこからもこれらの反応が無いという場合、行政庁内部の事務の割振りにしたがって、担当部署を決めることになります。
 このようにして、担当部署が決まれば、次は当該担当部署で不開示情報に該当する情報が記録されているか否かを検討する、という段階に移ります。

消費者庁の受付窓口担当としての役割

 消費者庁の受付窓口担当の役割の一つに、法令に定められた開示決定期限を遵守するようスケジュールを管理することがあります。
 行政機関情報公開法第10条第1項で、開示又は不開示の決定は、請求があった日から30日以内(ただし、補正に要した日数は除く)となっており、請求書の記載から対象となる行政文書が特定でき、後にご説明する開示・不開示部分の判断などが速やかにできる場合であれば、この原則通りに進めることになります。
 もっとも、同条第2項で正当な理由がある場合には30日間の延長が、対象文書が著しく大量で同項に基づく30日間の延長をしても、その期間内に全ての行政文書について開示・不開示の判断(とマスキングと不開示等の場合の理由の準備)をするとなると、通常の事務の遂行に著しい支障が出るという場合には、同法第11条で60日以内に相当部分についての決定を、残りについて相当期間内に決定をすれば良いとの延長(「特例延長」と呼ばれます。)が決められていますので、これらの延長の手続が必要になるかどうかを、担当部署と打ち合わせ、手続が必要であるとなれば、請求者にその旨の連絡をする文書を準備することになります。
 このときに、担当部署に、記載内容や日程(スケジュール)について、具体的なアドバイスをするのが、当時の消費者庁の受付窓口担当としての私の仕事の一つでした。
 まとめますと、請求書に対する応答としての決定までのスケジュールについて、担当部署と打ち合わせて認識を共有し、必要であれば請求者に出す通知のひな形を担当部署に提供しつつ、弁護士として培ってきた経験を活かして、通知の内容についてアドバイスをする、ということをしていたのです。

 なお、担当部署が、情報公開受付窓口であるというケースもありましたから、その場合は、担当部署にお願いしていた行政文書の探索などを全部自分のところで行い、それについて上司に説明して了承を得て、業務を進めていました。