ロストして!

「今あることが確実に無くなる」

救いのない話になるけれど、紛れも無い真実だ。しかし悪いことばかりじゃない。ロストにはロストの良きところがある。

たとえば、あなたは一年前の悩みを言えるだろうか。二年前の悩みを言えるだろうか。三年前の悩みを言えるだろうか。

すべて言えるひとは、いないだろう。

今現在、身を焼かれるほどの苦悩があなたの身に降り掛かっていたとする。だが一年もしたらそれは消え失せるのだ。これは救いしかない話だ。

もちろん綺麗事だけじゃない。

「今あることが確実に無くなる」は大好きなものにも訪れるからだ。

恋人も家庭もバンドも仕事も、いつかは消え失せる。少なくともカタチや関わり方が変形する。

忘れがちだが、すべての物事は自分の所有物ではない。

自分が持っているものなんて、「自分」しかいない。絶対的事実だ。寂しくもあるが、この事実を直視すると、気が楽にならないだろうか。

僕も三十年間、たくさんのひとと別れてきたし、たくさんのひとを亡くしてきた。辞めなきゃいけなかったことや、離れなきゃいけなかった場所ばかりだ。

改めて何一つ自分で所有できないなぁと思うのだ。借りているだけなのだ。

持っている会社も、作ったバンドも、つるんでるダチも、書いた歌でさえも、何だかんだ借り物でしかない。

「人生は長距離走だ!大器晩成を狙え!」という言葉があるが、僕は借り物競争だと思う。借り物を乗り継いで、次のステージへ進んでいくのだ。

されど手にしているものもある。
自分の身体に刻みこんだものだ。自分の身体に刻みこんだものだけが唯一の所有物だ。

女もダチも金も地位も車も家も「自分のもの」なんかじゃない。

そんなものは、かさぶたみたいに時が来ると自然と剥がれていく。

失くす痛みは胸を締め付けるけれど、寂しくて仕方ない夜はあるけど、じつは取るに足らないことなのかもしれない。何故なら元々自分のものではなかったのだから。

何よりも寂しさでしゃがみこんで、動きを止めることこそ、何よりのマイナスではないか。

もちろんネガティブ思考はなかなか止まらない。でもネガティブな行動は、わりとすぐに止められる。

人間をやるならキツイ時期は避けられない。ただ情勢は打開できる。「アクション」さえあれば打ち破れる。

頭の中が腐ってしまう日がある。人間だもの。

だけど、行動だけでも前向きにしてみたら何か変わったりするなぁと、この低気圧に心を踏み潰されながらも思うのだ。

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