問い17 : 矛盾はなくさないとダメですか?
感情 × 論理の相乗効果を起こすことはできるのか?
コーチング、EQという感情のプロフェッショナルの皆さんに、ロジカルシンキング(クリティカルシンキング)の「対立解消図」を活用してもらうチャレンジ講座を行いました。
対立解消図とは、例えばこんなもの。
いろんな会社で、よくありません? これを論理的思考でジレンマ解消を行うのです。
ロジカルに問題を整理すると解決できることも多いのですが… 一方、感情が置き去りになっていて「わかっていてもできない」にも陥りがち。
だからもっと論理 × 感情の相乗効果を出したい。個人的にはずっとアップデートしたいと考えていた分野です。
これが一気に研究開発できるようになったのは、EQの講座で出会ったコーチ、HONDAのコーチングもされている「せかいのはじまり」大月千鶴さんのお陰。
対立解消図をお伝えしたところ「ロジックを突き詰めると感情が解放される!」という彼女の名言から一気に意気投合。
週に2回程度のオンライン研究開発を繰り返し、プロコーチ向けの2時間×3回の講座を行うことができました。
そこでは、私達の想像以上の「論理 × 感情」の相乗効果が生まれました。
写真は3回コースの最終回。いやー、凄い。大月さんが一声かけると、トップレベルのコーチがわっと集まってこられる。
EQ上級ファシリテーターコース(CEQF)の同窓生も、たくさん集まってくれました。さすが8時間 × 5日連続のzoom講座を乗り切った?楽しんだ?仲間たち。今でも全員の得意分野を持ち寄って毎月同窓会的に勉強会を行っている学ぶ意欲旺盛の人たちです。
普段、感情にフォーカスしている人たちにロジックがどこまで受け入れられるか? が注目ポイントでしたが、結論としては。。。
ロジックが感情に集中するための補助線として効果的に働き、多くの感情の矛盾(感情パラドックス)を融合・統合することができました!
受講者のワーク中の言葉が凄い。
「対立、矛盾を手懐けられる。」
「AもBも包含してどっちもできる。」
「何一つあきらめていない。」
「ラスボスに到達した。」
講座のまとめで言おうと思っていたことを全部言われてしまった感がありました。皆さん、到達するの早すぎ〜!
2時間の3回だけでこれをやってしまう皆さんのポテンシャルに、私と大月さんも驚き、大喜びでした。
対立解消図に感情の問いを融合させた実践例
どんなことをやったか?
対立解消図(クラウド)の論理的な思考のお作法に加えて「感情の気付き」をしっかり味わう問いかけを融合させました。私の個人的なクラウド例で、その一部をご紹介します。
1.対立をクラウドを描いてみる
ここはTOC(制約条件の理論)のお作法通りにまず対立を表現して、それぞれの行動の目的を書きます。そして最後に共通する大目的を書きます。
2.目的を考えられるだけ考えてみる
通常はここから大目的から逆算して「〜するためには〜しなければならない」と読んでみて、違和感を発見することから始めますが、
実際には行動の目的が1つの表現ではなく複数出てくることが多いです。それらも全部書いてみるのです。
例えば私の場合は、「料理をしない」のは
「怪我をしない」
「仕事の時間を確保する」
「妻の居場所に立ち入らない」ため。
これらを全部出して、それぞれに起こっている「感情」に着目するのです。
3.どんな感情がありますか?
今回は対立を生んでいる行動→目的を見て「どんな感情がありますか?」「その感情は何を教えてくれますか?」と問いかけを行いました。
すると、私の場合は「料理をしない → 怪我をしないため」のところで、学生の頃に包丁で親指を切って大流血!したトラウマが思い出されます。恐怖!ですね。
これを、全部の行動→目的のところで問いかけてみるのです。
さらに「その感情は何を教えてくれますか?」と問いかけると、「仕事の時間を確保する」のはやはり大事なことで、そもそも料理する食材を買えるのは仕事してるからだよな、と考えます。
でもそこで、あれ?!お金ないと食材は手に入らないのか? なども気がついたりします。
こんな内省で、そもそも当たり前と思っていた「前提」に気づく。それを編集したり壊したりすることができるのが、ここでの醍醐味です。
4.感情の重みを感じる
一番大きな感情は? 気になる感情は? と聞いてみます。
私の場合、包丁のトラウマの感情はかなりでっかいのですが、それは結構表面的なことじゃないかな、いろいろ解決方法はあるかなとも感じます。
ずっと気にかかっているのは「妻の居場所に立ち入らない」。こっちの方が恐らく感情の大きな矛盾が発生していると考えられるので、ここに集中して感情が何を伝えてくれているかチェックするのです。
感情を統合できちゃう効果
上記はワークのほんの一部ですが、大きな効果を整理しておくと下記のようになります。
1.対立から発生している感情を意識に上げるだけで緩和される
ワークで感情をあれこれ言語化しているうちに「もうクラウド描かなくていいかな。すっきりしちゃった!」っていう人が現れました。
そうです、感情を意識化するだけで、ストレスフルな感情が緩和する効果があるのです。
これはやる前は本当?と思うのですが、やってみるとその効果はかなり大きいです。クラウドでなくても、日頃どんな感情が起こっているか?と意識化言語化するだけでもかなり効果がありますのでお試しあれ。
2.長く気にかかっている感情から、本当の問いが立てられる
そしてずっと気にかかっている感情について「その感情は何を伝えてくれているか?」を考えると、本当の問いが浮かび上がります。
「その恐怖は、何が壊されると伝えていますか?」
「その不安は、何が準備できていないと伝えていますか?」
これらに答えていくうちに、感情の矛盾を引き起こしている根っこに近い原因に対処していくことができるのです。
言語化できるとまず緩和効果が起こり、考えるのが楽になります。そしてそこで適切な思考の言葉、問いかけを使うと、ずっとモヤモヤしていたことの解像度が劇的に上がってきます。
3.感情の矛盾、感情パラドックスを統合できる!
これが一番大きな効果です。矛盾が緩和され、問いかけで考えられるようになると、こんな気持ちになることがあります。
「あれ? この矛盾って、解決しなければいけないんだったっけ?」
実際私の料理する・しないのクラウドは、次第にこんなふうに変わっていきました。
「仕事の時間も確保できて、お互いの居場所も大事にして、新しい世界に挑戦し続けることはできないのか? もしかしたらできる?!」
これがどう解決されていったかは別の機会に譲りますが、大きな「欲求の源泉」にたどり着くことができる場合があるということですね。
一人の受講者は、こう表現されました。
「このクラウドに居ることが幸せ。」
そうです! クラウドで描いた対立、考えてみた感情の矛盾は実は大切に持っておくものだったのかも知れません。
長年考え続けることで、ある時はこちら、ある時はあちらといろいろやってみることで多大な創造性が発揮される。
これを起こし続けるための「必要な人生の問い」「必要な組織の問い」であるかも知れないのです。
矛盾はなくさないとダメですか?
確かに矛盾を考え続けるのは大変なスタミナが必要です。
しかしそれが自分の、自分たちの人生を豊かにするものであれば、そしてそれを考えるのを助ける道具があれば、考えて続ける価値がないでしょうか?
今後、対立解消図を「パラドックス解消図」「矛盾統合図」などとしてアップデートし、個人の潜在力を発揮するのに役立てるようにすると共に、
企業集団の創造力を発揮する土壌を耕す「パラドックス経営」を探究していきたいと思います。
矛盾を持つ人間は愛すべき存在。クラウドで矛盾と遊び続けてみませんか。
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