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問い3 : 質問と問いの違いって何ですか?



質問の悪循環で人が辞めていく


「社長が答えをガッチリ背後に持って、どうすればいい? どうしたい?って聞いてくるんですよ。もう辞めようと思いました!」

あるマネージャーさんが言っていた言葉、忘れられません。 あるある!よくある!

「どうしたい?」は、一見相手を尊重しているように見えますが、問う方が完全に揺るぎない答えを持っているとわかってしまっている場合はどうでしょうか。

特にそれが上司部下の関係だったらどうなるでしょうか?

問われた方はその答えを「当てに行く」ようになってしまいます。

そして多くの場合は当たらなかったら機嫌が悪くなる、怒られる。ますます嫌になって言わなくなる。

挙げ句の果てに「大人なんだから意見くらい言えよ!」って怒られる。

こんな悪循環になっていると、退職者が増えたとしても全く不思議ではないですね。


Questionには3種類ある


安斎勇樹さんの問いの分類で学ばせていただきましたが、Questionには「質問・発問・問い」の3種類があります。

質問:問う側は答えを知らない、問われる側は答えを知っている
発問:問う側は答えを知っている、問われる側は答えを知らない
問い:問う側も問われる側も、答えを知らない

その違いを書いた安斎さんの図では「機能」と書いていた列を、私が実際に使っている「目的」に置き換えて表現してみました。

質問の目的:
素朴な好奇心・関心で思い込みを突き崩す
こだわりストーリーの
解像度を上げる

発問の目的:
考える力をつける
調べる機会を作る
知識スキルを身につける

問いの目的:
創造力をかきたてる
共に新しいことを創る
プロセスを共有する

こうして見ると、上述の社長の「どうしたい?」は、実は質問ではなく、ほとんど発問であるということになるでしょう。

新人さんならまだしも、考える力もスキルもあるマネージャーさんには「どうせ私の意見は採り入れずに自分が決めるんでしょ。」と取られる可能性大ですね。まあ、大抵それは当たっているのですが。

そこでは「お互いが答えを知らない問いを、一緒に考えよう」という姿勢、というか、本心から考えていることが大事になってきます。

(もしかしたら、質問・発問・問いの比率で、組織の成熟度が測れるかも知れませんね。ちょっと密かに持っているテーマです。)

では「問いを発する姿勢」は、どうしたら培われるのでしょうか?


相手の潜在力に素直に驚く


うどん県TOCセミナーでコラボ講師をした小島仁さんは、発問と問いを絶妙のバランスで発しています。

講師としては「◯◯とは、何だと思いますか?」という、発問に分類される問いをします。

初めての知識を身につける受講者に考え、調べる場面を作ります。

そして答えを言った人には、それ自体に「そうですね!」「いいですね!」としっかり肯定して受け取ります。

そう言われると、これも言ってみようかな。。。という気になってきます。

そして、小島さんの態度は決まった答えだけを期待しているのではなさそうです。

自分が想定しない答えやよい表現が出てきたら「素晴らしい!」と素直な驚きと共に受け取ります。

これは実は「共に答えを知らない」という余地を持って問うている、そして想像以上の答えが出てくることを期待しながら問うているということではないでしょうか。

だから小島さんの講義には、知識を学びながらも新しいことを共に創造しているワクワク感があるのです。

その根底には何があるのか?

小島さんとも話したのですが、それは「相手の潜在力を、相手以上に信じている。」

自分が持っていない素晴らしい力に、素直に、心からリスペクトできているかが、よい問いを発する基本姿勢になりそうです。

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