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問い12 : 本が読めないってダメなことですか?

私の3冊目の「人生の課題図書」とした、「問いのデザイン」を1回目読了しました。

私は公言しているように本が読めません。本を読むのは私にとって大変苦しい作業です。

Kindleで買ったのが4月28日ということなんで、304ページ読むのに49日かかったことになります。

今、絶対に読まないとこの後の人生はないと考えたほどの「人生の課題図書」であってもこのペース。

本を読むのが大好きな人には、考えられない遅いペースだと思います。

それでもまず1冊読み終えたのは、自分が普段あまり持たない「達成感」もあります。

しかも、後半の半分は180分で読み終えるという面白い体験もしました。

1冊読むために、結構いろんな対策をしたので、備忘録的に整理しておこうと思います。


道具に対処する:遠視?! 自分の眼を知る


「問いのデザイン」をポチッとしてページをめくると、図解は目に入るのですが、なかなか文章が読み進められません。

まず私はどんなに読む意志のある本でも、なぜか文章を読み始めると睡魔が襲ってきます。

小学校の頃から、眠いのは集中してないからだ!ってよく言わてきましたが、とんでもない。

こんなに集中したいのに、できないんだよ!」っていつも心の中で反発していました。

しかし大人になってから、今までの謎が氷解する説明を受けました。

千里堂の古川さん

「眼鏡っ子をなくしたいと考えている眼鏡屋さん」千里堂さんの評判を聞いて、網走まで眼鏡を作りに行った時。


「これだけ眼を酷使しているのに、1.2も視力があるのは逆におかしい。」
「眼を力ませないとピントが合いづらい遠視傾向ですね。眼が頑張ってくれてます。」
「なおかつ画面など近くを見る機会が多くて、かなり緊張が多かったと思います。」

「片目を隠してペンをお見せしたらヒュッと外にペンの見え方が移動しましたよね?」
「楽な方に行くんです。眼をぐっと内側に寄せる筋肉が得意でないんですよ。」

おお?! なるほど! それが原因ですぐ眼が疲れるんだ。それを避けようとして本から眼をそらすようになるんだ。

千里堂さんはその時見える眼鏡を作るのではなく、今は違和感あるけど眼が良くなっていく眼鏡を作ってくれます。

作ってもらった眼鏡をかけると、最初スマホが反って見えました!

しかし何週間かかけていると違和感がなくなってきます。そして疲れが減ってきます。

数カ月後に測定すると、明らかに視力も0.2向上しているし、疲れも減っています。

千里堂さんと出会えたことで、本を読むために集中する大きな第一歩を踏み出すことができました。


意味に対処する:本を気づきの発散の起点ではなく、体系化の収束点にする


しかし本が読めない理由はそれだけではありません。

私は本を2〜3行読むと、言葉の意味や定義を考えたり、具体的な場面が思い浮かんだり、何かに気づいてしまったりで、すぐにそちらに方に思考が飛んでいってしまいます。

結局1ページも読まないうちに本を放りだして、ネットで調べたりとか、書き物しだしたりとか、調べたい現場に移動したりとか。

これでは読了するわけがありません。


そこで本を起点にして学ぶという方向をあきらめて、逆にしてみました。

その本に関連する周辺の情報から収集しはじめて、それを体系立ててまとめ、収束するターゲットとして本を捉えてみました。

幸い、今はYoutubeの動画や音声コンテンツ、noteの記事などたくさんの周辺コンテンツがあります。

一番最初の入口となったのは、著者・安斎勇樹さんのVoicy。

私が最も入りやすい音声からの情報収集。車の移動中に2〜3日分聞けるので、俄然興味関心が増幅しました。

そこからつなげてnoteの記事を読む。最初に読んだ記事はこれ。

"心理的安全性の誤解"の誤解/キャリア目標を捨てよう。探究テーマの重要性/暗黙知を引き出すインタビューのコツなど【Voicy4月総集編BEST5】

さらにYoutubeで短時間で見れるまとめ動画とか、

これまで会員制だったコンテンツを6月4日に驚きの無料解放をした「CULTIBASE」の動画講座を順番に見てみるとか、

一見、本のテーマとは関係なさそうなものも広く見るようにして、まとまらなくても拡散された情報をみようって感じです。

そして拡散されたままだったら気持ち悪くて「収め」たくなるので、それを体系立てられる書籍でやってみようということです。

読むことへの内発的動機が強まるので、なかなか有効だったように思います。しかしまだ十分ではありません。他に潰しておく阻害要因はないでしょうか?

論理的に対処する:読めない原因は何か?と問い直す


「本が読めない」という言葉は、断定的で100%そうだと捉えられてしまう言葉です。

でも一生のうち一冊も本を読まなかったと言うと、もちろんそんなことはありません。

クリティカルシンキングの基本中の基本「CLR」で「ちゃんと表現」してみることにします。

「本が読めない時もある」。。。いや、この表現よりもっと読めないな。

「1年に1冊くらい、本が読めることがある」このくらいが正確かな。

そうすると「本が読めたのは、どんな時ですか?」という問いが出てきます。

・座禅断食に3日間参加していて、何も食べずに座禅だけしていた時の休憩時間。
・入試や資格試験があって、どうしても読まなければならない状況があった時。

本当にこのくらいかなぁ、っていう感じです。

後者はプレッシャーがかかっている場面なので、休み休み読んで、夜中も睡眠時間削って読んで、という力技で乗り切っている感じです。これは続かない。

前者は何か手がかりがありそうです。「食べない?」「非日常の場所?」「ネットが使えない?」などの要素をいろいろ考えていると、日常でもできそうなこんな要素にたどり着きました。

「情報を遮断している」
「力を抜いている」
「呼吸を整えている」

この3つから想起した場面がありました。読んでない人には申し訳ないですが、漫画「鬼滅の刃」の一場面です。


心身に対処する:呼吸と合氣道のコツで力を抜く


鬼滅の刃で一番好きなシーンは、竈門炭治郎が「闘気を完全に消し去った状態」で上弦の参の鬼・猗窩座の首を刎ねる場面。

闘気に反応して攻撃していた猗窩座は、全く闘気のない炭治郎に対して、完全に自分を見失なって斬られてしまうのです。

これは炭治郎が「余計な感覚を閉じた」、つまり「情報を遮断した」ことから始まっています。

全集中する時は、情報を遮断する。

私は自分を「鳥類」と表現するくらい、あらゆる感覚を使って鳥瞰図的な広い視野で全体を見ることが得意です。

しかし逆に「感覚を閉じる」ことは努力しないとできません。

努力の方法はあるようです。過去に合氣道で学んだ「臍下(せいか)の一点」という方法です。

合氣道では全身の力を抜いた状態が一番強いと考えます。それにはおへその下にどうしても力が入らない「臍下の一点」に力を全部流し込みます。

すると力が抜けて、余計な考えもあまり思い浮かばなくなります。

最後に1分に3回くらいのゆっくりした呼吸に整える。そうすると自律神経が働くようになってきます。これは「全集中の呼吸」に似ていますね。

鬼滅の刃の一番の学びは、自らがいかに普段集中していないか? ということですね。

最後の3時間で全体の半分も読めたのは?


「問いのデザイン」を読むことに戻ります。

まず、一人になれる書斎で、手の届くところには余計なものをおかないようにしました。

読む前にまず「呼吸を整え」ました。「一点」と頭の中で言い、臍下の一点と地球の中心がつながったイメージをして、息を吐き切り、数回呼吸しました。これが「力を抜く」。

そして座禅でたまにやる「半眼」、つまり眼を半分だけ開けた状態で、本だけが目に入るようにして読み始めました。これが「感覚を閉じる」。

さてどうなったでしょう。

・視力を調整する
・体系化の収束点として本を見る
・呼吸を整える
・力を抜く
・感覚を閉じる

6月15日の21時の時点で、読み進めていたページは50%ちょっとでした。

21時以降に、これら5つを完全に実行しました。するとどうでしょう。

0時までに、残りの全て、150ページ程度を読み切ることができました。

48日かかって読んだ半分と同じくらいの量を、3時間で読み切ることができたのです。

内容もよく覚えています。あのフォーマットは次からのプロジェクトでしっかり使おうとか、ムハマド・ユヌスと高校生の対話の事例は感動的だったとか。

5つの条件が全部揃うまではあまり読書のスピードが上がりませんでしたが、5つ揃ったら相乗効果がでたのでしょう、一気にスピードが上がり自分史上最高記録を出すことができました。

58年間本をほとんど読んでこなかったけど、これから読めるかも?と思うこともできました。

全集中!は大変なので、またこれを完全にやるのは稀でしょうが、呼吸や情報遮断は普段から心がければできます。

すると、もう少し読書が出来る自分になるかも知れませんね。

「本を読まないなんて論外だね」って軽く言われることもあります。でもこのくらいの準備が必要な人も居るって知ってもらうのもいいかなと思っています。

本を読まないからって「読みたくない」「読むのが無駄だ」と思っているわけではないですからね。

でもどうしても眼から入ってこないから、人から対話で学ぶとか、オーディオから聴くとか、いろいろ頑張ってみようとしている人もいるのです。

本を読まないからって、バカにするんじゃねーよ (^_^)

そして、読まない人が少しでも読めるようになる成長は、やっぱり楽しいもんですね。

まだまだ「思わぬ自分」がいるなぁ。もっと思わぬ自分を発見したい、そんな好奇心を大事にしたいです。


6/20、大阪のこちらに行きま〜す。


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