問い5 : TOCと言わずにTOCをやることはできますか?
ここに来てなぜ「問い」を心血注いで探求しているのか。その理由を書いてみました。
TOCはなぜ広まらないのか?
もう10年以上前になるでしょうか。私が経営理論や価値観のベースとしているTOC(制約条件の理論)のシンポジウムで、面白いディスカッションがありました。
「TOCはリスクが少なく実践した人のほとんどが成果が出るのに、なぜ広まらないのか?」
TOCの考える道具(クリティカルシンキング)を用いて皆さんで出した結論は、驚くべきものでした。
「TOCが広まらないのは、TOCを広めようとするからだ。」
その本質は何か? できていることは何か?
この時の体験はその後もずっと、冒頭の問いの言葉として頭にこびりついていました。
TOCという専門用語のハードルは高い。
「TOCと言わずにTOCをやることはできますか?」
そこに迷わず「はい!」と言えるためには、TOCの本質から考え、平易な言葉で表現できなければなりません。
TOCの本質は何か? と問われると、
「流れ Flow」
「集中 Focus」
この2つのFと表現されます。
そして私自身は「流れ Flow」の方に敏感です。
流れてない、淀んでいる、詰まっている、溜まっている、抑圧されている、蓋をされている、腐っている。
こんなところを感知するのが、自分の得意技と考えています。
ですからいろんな企業に行って専門的なことがわからなくても
「モノが流れていない」
「お金が流れていない」
「人(労働力・才能・技術)が流れていない」
これらが敏感に察知できるので、そこに理論を適用しながら考えることができます。
「自分には流れを創る役割がある」と考えています。
受け取るのは相手である
しかしその表現だけでは「やる」に繋がらない。主役は相手。
「TOCと言わずにTOCをやることはできますか?」
この問いにYESと答えるには、まだ不十分なのです。
相手に実践してもらうには、TOCの理論を学んでもらって、その用語を企業の共通言語として使ってもらって、というプロセスが発生します。
理論を学んだあとのハードルは「そうは言っても」。
話はわかるけどできないよ、という抵抗感です。
そこには「集団の固定観念」「集団の人間関係の凝り固まり」があり、これを崩していくのが大きなハードルです。
やってきたことは「問い」だった
実はその2つのハードルに対して、経験的にやってきたことがありました。
「業務の流れの中で、一番流れにくいところはどこですか?」
「その仕事は何故やってますか?」
そう「問い」なのです。
「流れにくい業務はここなので、ここに集中して改善します。」
「上司に言われたからやってますけど。。。あれ、今は必要なんだっけ?」
自分で自分たちの正解を導き出し、それを成功パターン化して、自分たちで実践できる理論にしていく。
しかも、TOCとほぼ同じような形の理論にしていける。
それができるのが「問い」なのです。
安斎勇樹さんの問いの定義
「人々が創造的対話を通して認識と関係性を編み直すための媒体(メディア)」
これをを見た時に、
媒体? 流すもの?
それなら、問いで全ての流れを創れるのでは?
今までやってきたことは、問いで全てできるのでは?
問いなら皆にわかりやすい!
そう気づいたことが、今、問いを探究テーマにしている強烈な理由です。
「TOCと言わずにTOCをやることはできますか?」
はい、できます。問いを突き詰めることで、大きな流れを創ることができます!
ようやく、ここにたどりつきました。皆さんと共に問いを探求しつづけます。
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