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特別支援学級担任をする前のマインドセット

フラッシュバックが起こっていた男の子

通常学級から特別支援学級に転籍した子を担任した。1・2年生までは、話をしない子として、当時の担任の先生から話をする取り組みを聞かされていた。やっと話せるようになってきてよかったねぇなんて声が聞かれていた。
3年生になって、様子が変わった。校長先生が集会で話をしていると、その後ろで大声で叫ぶ。教室には、入りたがらない。体育館も嫌だった。体育館は、卒業式で泣いていた子をみたからだった。ここで、どのようなことがあったかは、知らない。しかし、3年生では、二次障害が起こっていた。フラッシュバックを起こしてしまうのだった。

担任が決まってすぐにしたこと

決まってすぐしたことは、専門家とつながることだった。
最初に、養護学校の先生に助けを求めた。その中で1番のメッセージは、「学校に来てくれるだけで喜べますか」だった。学校に来るのは当たり前ではない。「今いるだけで」「顔を見せてくれるだけで」どんなことでも喜べるかを問われた。今までは、学校に来たくることは当然だと思っていた。
しかし、改めて問われることで、特別支援学級を担任することのマインドセットができたのだった。
なんでも初めてのことだったので、医者ともメールでつながり、実践をすべて送っていた。メーリングリストで発表するたびにコメントをもらい、次の日の実践の改善を行なっていった。

転籍してしたこと

その子には、教えて、ほめる方法しかなかった。行動を安定させたのは、ソーシャルスキルトレーニングだった。
私が使っていたのは、ソーシャルスキルトレーニング(SST)絵カードである。http://www.escor.co.jp/sst.html
何が正しいのかをトレーニングするには、最適である。絵を道具にして、お話をしながら楽しんでいく。楽しく、その場になって、できたらほめる。ほめることで良い行動が強化される。

例えば、A.場面の認知と予測と対処のカードには、次の場面がある。

1 つぎは、体育の時間なのに着替えていない。
2 机の上の教科書、ノート、鉛筆等が置きっぱなしになっている。
3 掃除の時間、ほうきを振りまわして遊んでいる。
4 掃除の時間、雑巾をしっかり絞らずに机をふいてしまう。
(略)

これらの状況の情報を整理し、焦点化するから身につくのである。

ライフスキルの先駆者である武田敏氏は、次のように述べている。


○共生スキル:他者、多民族、他生物、社会環境、自然環境に対して
(A)対象理解:その特性、存在条件を知り理解を深める。
(B)自己と異なる生き方の他者及び少数派の生き方を尊重する。自己と利益が一致しない他者にも寛容に対処し、その存在を認める。自然環境の保安、他生物の地球上存続を保障する。
(C) 生命を尊重し、ヒューマニティーの精神に基づき、互いに助け合って生きる。個性の異なる一人一人が互恵、共栄を志向して生きる。(略)『教育ツーウェイ』1997年10月号

行動を変えるには、まず、共生のスキルに見られる良いことのイメージを「ほめながら」教えることが重要である。

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