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叱られ続けていたやんちゃな男の子を変えた指導

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1 叱られ続けていたやんちゃな男の子
3年生のやんちゃな男の子だった。担任の私へ女の子からその男の子への批判が毎日のように行われていた。「A君が靴を隠しました。」「A君をしかってください。」などとの言葉だった。
私は、それらの告げ口を一切A君へは伝えなかった。クラスで辛い状況にあるのは、分かっていたからだった。そのような状態の4月。すぐに手を打った。

2 断定的にほめる
A君を職員室に呼ぶ。何かしかられるのではないかとの顔でA君が入ってくる。ドキドキしている様子だった。
私は、A君を膝の上にのせて話をした。職員室は、緊張するところだ。誰でも嫌だ。特にやんちゃなこの場合は特に。
最初は、嫌がっていたA君も耳元で話されると安心したようだった。「A君は、とっても優しいことを先生は知っている。A君は、虫が好きでしょ。先生は、虫を捕ってきちんと飼おうとしていた所を見たんです。その優しいところをみんなにも見せてください。期待しているよ。」しかられると思っていたA君が断定的にほめられた。
この事が私とA君の距離を近くした。
その後は、授業を中心に意識を変えていった。そのときのクラスは、単学級。子どもの中の秩序は歴然としている。保育園から同じ顔ぶれである。誰ができて誰ができていないかが秩序立てられていた。
私が行った授業は、「討論」。何かにつけては討論を行った。社会科でも国語でも道徳でも。丁度3年生という時期は、あふれるパワーがある。A君は、やんちゃな発言だったが一人でも最後まで自分の意見を述べる子どもだった。討論では、大活躍である。
その事実で告げ口は6月には聞かれなくなった。
しかし、その後、新たな問題が起こったのである。今までの価値観が逆転してしまった現状に女の子の一人が体調不良を訴えだしたのである。今までいい子で育ってきたその子は、自分よりも認められるやんちゃなA君を認められない。保健室に何度か行くようになった。
しかし、一時的なことだった。養護の先生との会話で気持ちもほぐれ、今まで言っていた優等生的な発言も少なくなった。自分を主張するようになった。負けたことを認め、勝ったことを素直に喜ぶことができるようになった。今までは、負けた人の気持ちを考えて勝ったことで喜ぶのでさえ遠慮していたのだった

3 叱って育てていたら
出会いの日、叱っていたらどうなっていたか。今までの教師と同じ。やんちゃなA君も心を開いていたかどうか分からない。女の子の見方も変わらない。A君との信頼関係を結べるかどうかがポイントである。信頼関係を結んだから、「この大人の言うことは聞こう。」という姿勢が生まれるのである。叱ることでは、信頼関係は結べない。

ほめて信頼を育て、楽しい授業で意識を変えることが重要である。

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