おじさんの平日と休日 ~50代からのプログラマー~

公務員の看板 ON/OFF

平日は、建築職の公務員をしている。
休日は、趣味で建築家をしている。
平日は、違反建築や危険な建築物の行政指導をしている。
休日は、建築で困っている人の支援を無料でしている。
平日は、指導対象者から、罵声を浴びせられたり、逆切れされることもある。
休日は、相談者から「あなたは本当に親切な人ね」と感謝されることもある。
平日と休日が同じ人のこともある。よくある。
数日前、ボコボコにされ人にめちゃくちゃ絶賛される。
「ほんとはあんたのこといい人だとおもっていたんだよ」
「(嘘つけ!)」とおじさんの心の中の声。
この状況をなんと説明していいかわからない。
だがとても楽しい。やめられない。

公務員の看板をついているからできることがある。
公務員の看板を下ろしているからできることもある。
看板をつけて、問題ごとを収集する。
看板をおろして、所有者と一緒に問題を解決する。

長く生きてりゃいろいろあるよ。人も建築も。

昨日の日曜日は、久々にクリーンな人の相談に乗っていた。
クリーンとは、平日に行政指導で会っていない人のことだ。
だから初対面だ。
奥さんやご兄弟も一緒だ。
家の裏にある築60年の木造アパートの利活用の相談だった。
当時の話が弾む。

60年前の高所得者用の賃貸住宅。
古いがセンスのいい建築だ。
家賃も高く設定できただろう。
デザインもプランニングもおしゃれだ。
映画やドラマのセットになるレベルだ。
ここに写真をアップできないのが残念。
雨漏りもなし。
内壁のひび割れもない。奇跡!
軸組みのひずみもない。
建具もスムーズに開閉する。
3.11の東日本地震も耐え抜いた。

だが、ちょくちょく気になるところが見えてくる。
ただの建築ファンにとどまらず、違反探しの専門家の嗅覚がでてしまう。
んっ?ここって、もしかして。。。
具体的には書けない。
明らかな違反かどうかは、ちゃんと調査しないとわからない。
60年も生きていれば、いろいろある。
家も人も。
私より長く生きている建築だ。
私もいろいろあった。
これからまだまだあるだろう。
そんな気持ちにさせられる建築だ。

平日の公務員には、守秘義務がある。
休日の建築家にも、守秘義務がある。
おじさんは、公務員である前に建築家だ。
公務員の看板は下ろしても、建築家の看板は下ろさない。
無料、有料は関係なく、建築家は楽しい。

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