見出し画像

取手藝祭2023「犬みたいに吠える」

東京藝術大学のもう一つの文化祭「取手藝祭」

藝大取手キャンパスに通う専攻生たちが、年に一度作品を発表する取手藝祭。上野の藝祭とは違い2日間だけ開催されるこのイベントに、今年グローバルアートプラクティス(GAP)に入学したということもあり、初めて出品者として参加。

上野での藝祭と違って、取手で行われるという場所柄「あまり多くの人が来ないのではないか?」というイメージがありましたが、それとは裏腹に多くの人で賑わっていました。

展示を行ったのは、入ってすぐの玄関ギャラリー。

専門教育棟の入り口に位置する場所です。中に入ってみると…。

入ってすぐにギャラリースペースがあります。
この奥側の壁で展示してあるのが新作「犬みたいに吠える」です

犬みたいに吠える

ヘッドホンを使った音楽作品の展示です。右下の箱に機材が入っていて、自動で曲がループするようになっていいます。この展示は、GAP修士一年の学生の成果発表として行われました。テーマはタイトルの通り「犬みたいに吠える」こと。作品制作をする人間として、素直に好きなものを作り続ける大切さを歌った作品です。

この作品の制作の経緯は、一言でいうと自分の殻を破るため、何か一歩踏み出すためでした。

というのも、今年の4月に大学院に入学し、現代アート、演劇や、時にはアクティビストについてなど、色々なことを雑多に学んでいく日々の中で、今までの価値観がどんどん揺り動かされていき、何を作ればいいのかわからなくなっていく自分の姿がありました。

どんな作品を作ればいいのか、何が意味のある創作なのか、そんなことを考えているうちに、まったく作品が作れなくなっていきました。意欲だけはあっても、形にすることができないような状態です。その中でも数回は拙い創作を試みて、発表も行ってきましたが、あまり満足できるようなものは作れず、鬱屈した気分で日々を過ごしていました。そんな生活のなかで、ある日ふと犬に関する話を耳にします。

「犬はただ素直に生きていて、何かしたい時はワン!と吠えるだけなんだよ。だから人間も、素直に吠えたらいい。」

何気ない会話の中で交わされた、この話を聞いて、今までの悩みがすっ飛ぶような気持ちになりました。自分は犬みたいに素直に吠える気持ちを忘れていた、と感じたのです。

そこで、この鬱屈とした生活を打破するためにも、一度犬みたいに吠える曲を作って発表しよう。その衝動で歌詞を書き始めました。また、一人ではこの曲を作り切ることができないと感じていたので、機会があればどこかで作品制作を一緒にしたいと思っていた友人たちに声を掛け、ピアノ・録音・イラスト・動画など自分ではとてもできなかった工程を担当していただきました。

結果出来上がった曲は、すごくストレートで、素直すぎるぐらいの作品となりましたが、自分としても久しぶりにやり切った感じのある、思い入れ深いものとなりました。(もちろん講評では、ガッツリと愛のある批評を頂いたのですが、それはまた別の話…笑。)

そんな「犬みたいに吠える」ですが、取手藝祭2023で展示をした後、現在はYouTubeで公開しています。

https://youtu.be/jvNhvykSWqA?si=sNoypfv69MbFPinw

自分のように悩めるクリエイターの方がいたら、ぜひ聴いてみてください。

コンサートのお知らせ

第一回内田拓海作曲個展「詩と歌」
12月2日、開催決定!

「詩と歌」と題した本個展では、詩の朗読、そして歌曲、この二つの表現方法で言葉と音楽の結びつきを探究します。演奏曲目は、ハンナ作曲賞で優秀賞となった「Intermezzo for Piano」や、今年奏楽堂日本歌曲コンクールで第三位に輝いた「竹内浩三の詩による歌曲集『うたうたいが……』」まで幅広く取り上げ、今回のための新作の発表も行います。一夜限りの特別な演奏会。ぜひ会場でお会いできることを楽しみにしております。

チケット・詳細はこちらからご覧いただけます。
https://takumiuchida-1stconcert.peatix.com


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?