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web3プロジェクトChingari,MoveWorld等がバンガロールのトレンドに?



OYOの日本創業メンバーであり、現在funverthというweb3×インドでチャレンジされている川本さんにお話を伺いました。

改めて川本さんのご紹介ですが、川本さんはOYO Japanの立ち上げメンバーとして採用や事業開発を行い、その後独立系VCでのご経験を経て、現在、funverthという会社を設立しweb3×インドバンガロールでチャレンジされている起業家です。

今回は、次回はバンガロール現地におけるweb3のトレンド、現地の面白いweb3プロジェクトなどお聞きしています。

なぜバンガロールにテック企業が集まっているのか

Q:バンガロールはインドのシリコンバレーと言われることもあると思います。そんな地理的な背景からweb3の会社が集まっているエリアだったりするんですか?

おっしゃるとおりで、もともとバンガロールはインドのシリコンバレーと言われるぐらいで、テック都市として認識されています。都市自体が対外的にブランディングできてる街です。

ビッグテックと呼ばれるようなGAFAやOracle、Dellなどがバンガロールに大きなデータセンターや拠点を構えています。スタートアップにおいてもテック系に強い理系の学校がたくさんあり、エンジニアの調達もしやすかったりします。気候の面では、サンフランシスコとまではいかないですが、年中気温が25度から30度ぐらいで、冬はない状態。気候もカラッとしてて丘陵地の気候なので過ごしやすいっていうのもあります。

加えて食事面はマルチナショナルカンパニーがたくさん拠点を設けているため、よくイメージされるインド料理に限らず、西洋料理やアジア料理などいろんな料理が楽しめます。エンジニア調達の面、気候の面、食の面でスタートアップが集積しやすい環境です。

Q:バンガロールにおけるWeb3のトレンドで、どのような領域やプロジェクトが注目されているんでしょうか?

Polygonという世界で大体20番以内に入っている、イーサリアムのセカンドレイヤーで注目されているブロックチェーンがあります。そこのファウンダー陣がほぼインド人です、

Polygonのファウンダー陣の影響もあってバンガロールのミートアップは結構Polygonデベロッパーとして参画しているエンジニアが多くいます。もちろんPolygonに限らずNearであったりとかAvalanche、Polkadotだったりと、そのほかのレイヤー1のチェーンのエンジニアもおります。

これらの会社もインドのデベロッパーを巻き込みながらエコシステムを形成しているというのもあり、様々なチェーンに参加しているデベロッパーが有象無象いるのがインドの基本的な部分です。

なのでインフラレイヤーで戦っているデベロッパーがたくさんおり、その上にいろんなDAppsのプレイヤーがポコポコ出てきているのが現状かなと思います。同時多発的に各領域で上がってきてるというイメージです。

例えばですがDeFi領域でいうと、DeFiのマスアダプションを志向する形で、より多くの方々に使ってもらうためにDeFiの自分の投資ポートフォリオを2クリックぐらいで簡単に生成できるようなプロトコルが出てきたりとかしています。

いわゆるヤーンファイナンス(yearn.finance/YFI)のような、最適なレンディングプロトコルを発見してくれるみたいなところに対して、今のWeb2で使っているようなアプリケーションと同じようなUXでオンボーディングできるっていうプロダクトが出てきたりしています。

あとは細かいDeFiの話になりますが、チェーンをまたいだ上でのトークンの移動やスワッピングをほかよりも早く、より取引手数料がかからないようなかたちで、マルチチェーンでトランザクションが起こせるマルチチェーンDeFiのプレイヤーも出てきています。

Dappsレイヤーでのトレンドが沸々と

一方でGameFiでいうとメタバースゲームがたくさん今これから出てきていて今後も増えていくと思うんです。そのメタバースゲームが沢山増えてきたときに1個1個のメタバースゲームにログアウトしてログインするというゲームごとのスイッチングが面倒だよねっていうふうな課題に対して出てきているソリューションもあります。

具体的には、メタポートというものです。彼ら自身もメタバース空間を作っており、自分の部屋のようなリラックスできる空間をメタバースで作っています。そのリラックスできる部屋の壁にたくさんのメタバースゲームに移動できるような入り口がたくさん用意されており、部屋を通じていろんなメタバースゲームに移動できます。

あとはメタバースの部屋になっているため友達を招待し「じゃあロブロックス一緒にやってみよう」みたいなかたちで友達と一緒にメタバースにそのまま移動する体験もできます。

SocialFiの領域もインドでは非常に盛り上がっています。で有名なところでいうとChingariというプレイヤーがいるんですが、ChingariはもともとWeb2企業でした。今年2022年の年始でもMonthlyActiveUsers2,000万人ぐらいいたんですが、そこからWeb3の機能を内包してweb3に参入しました。

もともとはTikTokのクローンサービスで、動画を作るクリエーターと動画を視聴するビューワーという二つの登場人物でしたが、web3参入をきっかけにビューワーとクリエイターの一つ一つのアクションにChingariの独自トークン「Gariトークン」を付与しはじめました。例えば、ビューワーが視聴するやログインをする、コンテンツ面白かったと友人にシェアするなど、一つ一つのアクションに対してリワードトークンが発行されるような設計になっています。

このインセンティブ設計をソーシャルのプロダクトに内包したことによって5カ月ぐらいで2,000万人だったユーザーが、いま2022年9月時点でグローバルにユーザーが広がりMonthlyActiveUsersが4,000万人に広がっています。デイリーでも500~600万人ぐらいがそのコンテンツを楽しんでいるという状況ができてたりします。

web2とweb3の事業における線引きはほとんどない。むしろシナジーが多い

Q:面白い。途中ありましたけど、メタポートはメタバース×1Password的な感じで一つのアカウントを持っていればほかのところ出入りができるとか、Gameの行動インセンティブをトークン付与して活性化するなど、Web2の要素もありながらWeb3の要素をちゃんとしっかり入れ込むというのが出てきてるみたいなそんな感じなんですね。

おっしゃるとおりメタポートに関しては、国内企業ではHENNGEだったりiPaaSを促すプレイヤーが出てきていると思いますが、要はオンプレミスからSaaS、ソフトウェアに移行するうえで、SaaSが乱立しました。その過程でシングルサインオンで入れたほうがユーザーのとってはいいよねというのと同じような発想です。

メタポートは、発想としてはweb2ですが、アプリケーションレイヤーがweb3であるっていうところですね。Chingariに関してもweb2ど真ん中でやってたんですが、彼らがやっぱり強かったのはプロダクトをしっかりと作れるような体制ができていたっていうところ。そのChingariブランドがあったので、web3のデベロッパーを採用していく上での難易度が、ほかのできたてのweb3プロダクトと比べても採用しやすかったっていうのも彼らが早くweb2からweb3に移行できたっていう理由かもしれないです。

Q:国内もそうですが、ゼロからX2EやSocialFiやろうと思っても、そもそもユーザーってどうやって集めるんだっけ?という点でつまずくケースがあります。そんな中で、既存のアセットを持っていることや自社プロダクトがあるというとスイッチングしやすいっていうのはまさにおっしゃるとおりだなと聞いてて思いました。なにかほかに気になるプロジェクトや川本さんが最近よく触っているとかっていうのがあったりしますか?

Emooteも投資している会社なんですが、MoveToEarnプロジェクトでムーブワールドという会社があります。

いわゆる馴染みのあるDanceDanceRevolution(DDR)という踊って楽しむっていうゲームがありますが、これはDDRのWeb3版みたいなプレイヤーです。

ゲーム開発とかVR・ARのエキスパートのインド人が立ち上げたプロジェクトなんですが、点群データを用いて画像認識技術をし、ユーザーのダンスの動きを、点群データでキャプチャリング、そこに教師データを重ねてシンクロを図って評価していくというものです。教師データはダンスのお手本になるような先生のデータがアプリケーション上に出てくるんですが、そのダンスが先生の踊りと自分がどのぐらいシンクロしてたのかっていうシンクロ度合いを測ってスコアリングします。シンクロ度合いによってインセンティブを付与するモデルです。

発想自体も非常に面白いなと思いつつもプラスαで行っているのが、差異化要素として面白いなと思っています。単純に踊って稼げるっていうふうな要素だけではなく、自分もダンスの基となるようなダンスフォーマットも提供できる仕様になっています。

ダンスがだんだんうまくなったら、ダンスを提供しますと。いわゆるユーザージェネレイテッドコンテンツ(UGC)が生成され、生成したUGCを使ってくれるユーザーがいたらその使ってくれた使用料をベースにその人がまた稼げるというマネタイズのポイントを複層的に用意しています。

さらに、彼らが発想として持っているのはコンポーザビリティのような自分の作っているプロジェクトみたいな今後出てくる◯◯toEarn系のところのプロトコルのところの基礎基盤を作って、コンポーネントを使ってくださいというかたちで、受け渡し可能な状況でデザインしています。プロダクトとしての拡張性やスケーラビリティを担保する上で非常に非常に優れたチームだと注目しています。

web3領域でチャレンジしているJobプラットフォーム構想

Q:TikTokとかにM&Aされそうな感じありますね笑。いま川本さんはバンガロールでfunverthという会社を設立されたと思いますが、今後の展望など教えてください。

ちょうど水面下でWeb3のデベロッパーコミュニティ立ち上げようと動いております。

いろんな中でデベロッパーコミュニティに行ったんですが、各チェーンごとに情報が閉じてしまっています。AvalancheだったらAvalanche、NearだったらNearの情報が内に閉じています。デベロッパーのインサイトの1つとしと「いろんなチェーンでなにが起きているのか、スマートコントラクトでどういう実装がされているのか/検証がされているのか、ある課題に対してどのようなソリューションを提供しているのか」という、いわゆるマルチチェーンの情報がワンストップで取れたら面白いという話を聞くことがあります。

そのインサイトに対して、PolygonだろうがNearだろうがPolkadotだろうが、いろんなチェーンの人たちが集まって今の現状の今の技術の課題をディスカッションできるような場づくりをしようかなと考えています。

その次のフェーズとしては彼らに対してのラーニングのコンテンツ、いわゆるアルケミーみたいな世界観で、彼らが新たに言語を学んでいくことや、スマートコントラクトをデプロイ、脆弱性診断などを学んでいくとなった際の教育コンテンツを提供していくことも考えています。そこで学んだ事実をDIDやSoulboundTokens(SBT)などで保管し、最終的にはJobのプラットフォームに近いものを作り上げられればと考えています。

日本人のweb3の事業展開を検討している人と話をしてるとエンジニアが本当にいないんですという話を聞きます。なのでそこに対していろいろ学んでいて経験があるようなweb3エンジニアとの出会いを創出するような、Jobのマッチングのプラットフォームを将来的な構想としては考えています。

Q:もともとHR系にもいらっしゃったり、そういう方向性はすごいイメージ湧きます

HR周辺領域は解像度が高いのでチャレンジしています。自分が持っている能力でweb3で貢献できるイメージが湧きやすかったっていうのはあります。

加えて、大事なポイントしてweb3で何かをするという目的化してしまってもっていうところはありました。

やはりweb2・web1どこも同じだと思いますが、課題ファーストってなったときに、少なくとも僕がコミュニティやデベロッパーのミートアップとかでお会いさせていただいているエンジニアの今の現存する課題を事業化しようと。

そこに課題があり、今ソリューションが存在しないのであれば自分が提供できる可能性があるのならチャレンジしてみようみたいなそんな感じです。

結局は一次情報を得ることがweb3トレンドに追いつく最短距離

Q:最後に日本国内の起業家や、これからweb3でなにかをしたいと思っているような人に向けて一言あればぜひいただきたいんですけど?

僕がなにか言えるような立場ではないんですが、ただやっぱりweb3でこれからなにかやりたいと思っている人はファンダメンタルのところなんですけが英語がめっちゃくちゃ大事だなと思っています。

理由は明確で、日本で流れてる情報は二次情報・三次情報が多く、一次情報が取れてない部分があると思います。一方でインド人を観察しててすごいなと思うのは、これだけデベロッパーの数が増えている、これだけDeFiとかいろんなプロダクトが増えている裏側には、常にweb3のモメンタムの震源地のところから情報を英語で取得できているというところです。

なので、まずは結構地味かもしれないでが、情報収集を英語で触れてみる。これはツールを使えば簡単にできることだと思います。

そしていろんなハッカソンなどに参加してみたりと、日本人とは一切群れずに各国で起きているプロダクトの人たちと対話を重ねるみたいなところができたら、ある程度web3の中での立ち回りの基本的な所作みたいなところが身につくのかななんて、これは自戒も込めて思ってます。

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