とらつぐみ(鵺)

春から社会人になりました。野鳥観察と漫画・アニメが好き。週末に駄文や小説を更新します。…

とらつぐみ(鵺)

春から社会人になりました。野鳥観察と漫画・アニメが好き。週末に駄文や小説を更新します。 連載→ 本の感想「今月の本」、連作小説「微と怪異」(不定期更新 )、エッセイ「鳥好きの無駄話」

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  • 本・映画の感想

    これまでに書いた本の感想文をまとめてあります。

  • 虚無まとめ本(ジャンル色々)

    存在しない街を散歩したブログや存在しない本を読んだ感想文など、虚無の創作をまとめました。ここに書かれていることは何一つ信用してはいけない......

  • 鳥を愛でる(短編小説・エッセイ)

    野鳥観察のエッセイや鳥が登場する小説をまとめました。

  • 連作小説まとめ

    妖怪や怪異話が好きな女性が主人公の連作小説です。そこまで怖くはないですがホラー要素あります。人外が好きな人におすすめ。不定期に更新します。

  • とらつぐみお気に入り

    こんにちは、とらつぐみです。自己紹介とお気に入りの小説・エッセイをまとめてあります。

最近の記事

まだまだ語り足りない〜映画『ラストマイル』感想〜

こんにちは。とらつぐみです。 今週は、現在公開中の映画『ラストマイル』の感想です。 ラストマイルは、わたしの大好きなドラマ「アンナチュラル」「MIU404」と同じ監督・脚本によるシェアードユニバース映画(要はキャラクター大集合お祭り騒ぎ的な)と聞き、それに釣られて観に行った節があるのですが(正直)、 実際観てみるとストーリーがめちゃくちゃ面白い。面白すぎて2回目、3回目も観に行きました(軽率に映画館に行くオタク)。 ・ラストマイルだいたいのあらすじ 大手通販サイトDA

    • 白鳥のいない湖(小説)

      湖の南岸の水田に囲まれた小さな町、灰川町には冬になると白鳥がやってくる。 米山藍子がそれを知ったのは、昨年11月末のドライブデートの帰り、灰川町のサービスエリアに寄った時だ。 地元の名産品が並び、観光客で賑わう中、一枚のポスターが貼られているのを目にした。白鳥の群れが湖の上を飛んでいる写真に、ゴシック体で書かれたキャッチコピーは「三宝湖のほとり、知る人ぞ知る”白鳥の里“」。 優雅な白鳥たちの姿と大仰な言葉は若干合っていないが、やはり白鳥は湖が似合うなあ、と藍子は思った。

      • 目白にメジロはいるのか(小説)

        🕊️北条李の鳥の談話室🕊️ 第46回(2024年8月号):目白にメジロはいるのか この原稿を書いているのは暦でいえば夏至(6月22日)、このコラムを載せた雑誌が書店に並ぶのは立秋(8月7日)とのことだ。 8月の上旬、立秋といえども秋とは程遠い酷暑で、野鳥好きの読者のみなさんも辟易しているだろう。なにせ暑い。外で鳥を探すには適さない気候だ。 長野市某所、林の中にある自宅の窓を開けると、渡ってきたばかりの夏鳥がリサイタルを開いている。特に早朝はホトトギスをはじめ賑やかだ。

        • わたしと「推し」とオオルリ(小説)

          山登りが好きな人は「そこに山があるから」登るというが、鳥はどこにいるのか探すところから始まる。 でも探せば意外と色んなところにいるのが、鳥という生き物だ。 露村果鈴にとって、鳥を観る、といえばどちらかといえば河だった。 河はいい。シギやチドリが干潟で遊びミサゴが悠々と飛ぶ。一日中いても飽きない。 だが2020年の7月、大学院1年の彼女が母親の車に姪っ子を乗せ、朝から向かっていたのは、実家のすぐ近くにある史跡公園だった。 公園、と言っても田舎の史跡公園は石垣がちょっと

        まだまだ語り足りない〜映画『ラストマイル』感想〜

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          オオルリ?

          たぶんオオルリの鳴き声(短いです)

          あしゆびの黒い「シラサギ」(小説)

          ここ数年、6月の初め頃、梅雨が始まるか始まらないかの時期の気候が一番鬱陶しい。 湿度が高く、蒸し暑いかと思えば、大雨。たまの晴れ間は猛暑日。どちらにしても不快な気候だ。 私が勤める天河市役所では6月上旬から既にエアコンが稼働しているが、それは来庁者のためのもので、定時を過ぎれば止まってしまう。 残業中の執務室は、窓を開けたり扇風機を回したりでなんとか凌いでいるが、蒸し風呂同然だ。 私はワイシャツの袖を肘の下まで捲り上げる。クールビズ推進の流れのおかげでネクタイは締めな

          あしゆびの黒い「シラサギ」(小説)

          ゲ謎に出てきた「座敷牢飯」が食べたい(日記)

          こんにちは。とらつぐみです。 ちょっと前まで肌寒かったのに、ここ数日は暑いですね。 先日、友人と一緒に京都の太秦映画村で開催中のイベント、「ゲゲゲの妖怪村」に行ってきました。 ↑イベント公式サイト。イベントは6/30まで開催中。 「ゲゲゲの妖怪村」は2023年に公開された映画「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」(以下「ゲ謎」)と映画村のコラボイベントで、登場キャラクターのパネルや作中に出てくる「座敷牢」を再現したセットなどが展示されていました。 映画村の至る所に妖怪がいたり、コ

          ゲ謎に出てきた「座敷牢飯」が食べたい(日記)

          パーソナリティを拉致して野鳥観察させよう!(空想ラジオ「朔と苺の人間嫌いと人見知り」③)

          ♪(軽快なジングル) 八十島:この番組は、シンガーソングライターの八十島朔と俳優の酢木苺が、視聴者からのお便りを読んだり読まなかったりする身勝手なトーク番組です。 酢木:『鳥のためにも、猫のためにも猫は家の中で飼おう!』トラツグミフーズの提供でお送りします。 ♪(フェードアウトしていくジングル) (CM) 🕊️ 🕊️  🕊️ 酢木:リスナーのみなさん、こんにちは! そして朔ちゃん、おはようございます! 八十島:……おはよう、ございます。 酢木:めっち

          パーソナリティを拉致して野鳥観察させよう!(空想ラジオ「朔と苺の人間嫌いと人見知り」③)

          ノン・アサーティブ・ストーカー(小説)

          職場の同僚、八津瑠璃香に盗聴されていることに気づいたのは、4月の初め、湿度が高くてやたらと暑い晩のことだった。 社宅のワンルームの部屋。玄関入ってすぐ、下駄箱の下あたりにある、何に使うのかよくわからない(のであまり使っていない)コンセントに、見慣れないコンセントタップがついていた。 それを見つけた私は、防災用にと最近買った小型ラジオの電源をつけ、そこに近づけてみた。案の定、電波は乱れノイズが入った。典型的なコンセント型盗聴器だ。 コンセントは他にもあるのに、普段あまり抜

          ノン・アサーティブ・ストーカー(小説)

          葉牡丹と夢枕(小説)

          母方の祖母はよく、「夢枕に誰かが立った」という話をしていた。 死んだお爺さんが、親戚の誰々さんが……祖母の枕元に立ってきた人は10人くらいいたんじゃないだろうか。 毎回、「この世への未練とか、何か強い想いがあるから枕元に立つんかなぁ」としみじみした調子で言うもんだから、「そんな非科学的な」とは返せなかった。 「葉牡丹の精が夢枕に立った」と言われた時以外は。 『いや何やねん、葉牡丹の精って』 『あんたも見たらわかるって。あれは葉牡丹の精や。枕元にちょこんと座ってるねん』

          葉牡丹と夢枕(小説)

          「わからない」ことの魅力〜古代メキシコ展に行ってきた(エッセイ)

          こんにちは、とらつぐみです。 先日、国立国際美術館で開催中の特別展「古代メキシコ」に行ってきました。 ↑公式サイト。写真撮影可(個人利用のみ、SNS可)とのことなのでちらほら展示品の写真が現れます。 古代メキシコ展は東京会場で開催されていたとき話題になっていたので楽しみにしていましたが、実際行ってみて、結論からいうととてもよかったです。 古代メキシコ、と言っても馴染みがない人が多いと思います。 とらつぐみは高校は世界史選択だったのでテオティワカン、マヤ、アステカと聞

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          人にはあまり理解されない「ゾワゾワするもの」の話をしよう(エッセイ)

          こんにちは。とらつぐみです。 早くも花粉が飛び始めているみたいで、鼻と喉がずっとムズムズしています。 (先日血液検査をしたら酷いハンノキとハウスダストアレルギーがあると診断されました。どうりで年中ムズムズするわけだ)  ところでみなさんは、ある特定のものに対して、「なぜだかわからないけど身体がゾワゾワする」という感覚を覚えたことはありませんか? わたしはあります。 アレルギーならば、原因(アレルゲン)を避けたり薬を飲めば症状が落ち着きますが、「なんだかゾワゾワする」もの

          人にはあまり理解されない「ゾワゾワするもの」の話をしよう(エッセイ)

          怪異と残業した話(小説)

          わたしが初めて職場で不気味な老婆の笑い声を聞いたのは、繁忙期の夜9時、一人残って残業していた時だった。 その時は、ちょうどその日育休に入った先輩の事務仕事を引き継いだばかりで、慣れない作業にずっと戸惑っていた。 目や肩が限界を迎えたので、席を立ち、お手洗いに向かう。わたしの部署はフロアの真ん中あたりにあるが、左右の島にはいつのまにか誰もいなくなっていて、蛍光灯も消えている。 通路を挟んで向かいの島には蛍光灯がついているが、見たところ人の気配はない。 なんとなく心細い気

          怪異と残業した話(小説)

          箕薇路村で“幻の果実“むさごを食べる(空想フードエッセイ)

          皆さんは、「むさご」という木の実を、食べたことがあるだろうか。 むさごは、N県の奥地にある箕薇路村が原産地だが、その小さな村でしか栽培されていない「幻の果実」と言われている。 筆者は先日、そんな珍しい木の実を食べるため、箕薇路村を訪れた。村の外ではその名前すら聞かないが、村の人々にとっては馴染み深いものらしく、様々な形で食べられているようだ。 今日は箕薇路村を訪れた備忘録も兼ねて、幻の果実「むさご」と、それを使って作られたお菓子について紹介したいと思う。 むさごは茹で

          箕薇路村で“幻の果実“むさごを食べる(空想フードエッセイ)

          夜に鳴く鳥は鵺だけじゃない(エッセイ・鳥好きの無駄話④)

          唐突な質問だが、読者のみなさんは「夜に鳴く鳥」と聞くと、どのようなイメージを抱くだろうか。 例えば仕事終わり、暗い夜道を歩いている最中どこからか鳥の鳴き声が聞こえてきたとき。あるいは夜中家で寝ている時、窓の外から鳥の声が聞こえたとき。 「夜に鳴く鳥なんて不気味だな」「怖い」と思う人も多いのではないだろうか。 そういう人が多い、ということは、「夜に鳴く鳥」そのものが妖怪だと考えられていることから明らかだろう。その最たるものが、「鵺(ヌエ)」という妖怪だ。 『平家物語』の

          夜に鳴く鳥は鵺だけじゃない(エッセイ・鳥好きの無駄話④)

          あけましておめでとうございます2024(新年のご挨拶)

          こんにちは、とらつぐみです。 新年明けましておめでとうございます。掃除しているうちにいつのまにか年が明けていました。 昨年は、年度初めから仕事に追われて忙しかった印象しかありません。 慌ただしく5月になり、岸辺露伴の映画を4回観ているうちにいつの間にか夏になり、お盆ごろ仕事が落ち着いたかと思えば謎の体調不良、そして11月に鬼太郎の映画で全ての記憶を失って…… ↑昨年書いた記事のまとめ。ドタバタしている中でもたくさん小説は書きました。 今年はもう少し余裕がある一年にな

          あけましておめでとうございます2024(新年のご挨拶)