声を物に例える

 人の声を聞くのが好きだ。温かい声。深みのある声。突き刺さるような声。

 そうして、人の声をたくさん聞いて、自分の声も聞いて、ものに例えてみたりする。

 私の声は、ずっと眼鏡拭きみたいだと思っていたけれど、高校生の時に言われたことを思い出すと、それは少し柔らかすぎるかもしれない。改めて考えると、私の声には特徴になるような癖がない。しかし、言われたことがあるのだ。

「声自体に緊張感がある」

 そうだとすれば、眼鏡拭きではない。もう少し硬い何かーーと思いついたのが、金属磨きクロス。布ではあるが、少し硬くて、物によっては研磨剤を含んでいる。

 自分で抱いてる自分の声に対する印象だから、他の人からはどう受け取られているのかは分からないけれど。


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