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美術館に『居る』ことの楽しさ


はじめに

こんにちは。ドラマーの中野渡 拓実です。まだ11月ではあるものの、最近はすっかり年末モードに突入しています。

11月頭の3連休も、演奏以外のやることやってたらほぼ終わりかけており、でも11月ライブの告知もまだ間に合っておらず.....なんとか間に合わせようとしつつこれを書きながら外出しているところです。

さて、今日は美術館の楽しさについて、特に自分が美術館で色々と感じている物事について書いておこうと思います。「展示の楽しい見方」というよりも、美術館という施設をどう楽しんでいるのか、というものです。

ちなみに、自分と美術館の関係についてはこちらでも少し記載していますので、もし良ければ読んでくれると嬉しいです。


まず、自分がここで指す「美術館」というものの定義を、一応『現代美術館』としておこうと思います。
特に「これ以外はキライ」ということはないのですが、自分があまり西洋美術館などへ行ったことが少ないため、特に好んで行く現代美術館と限定させた方が混同や誤用を防げると思っているためです。
とはいえ、基本的には美術館という施設全般で自分が楽しさを感じていることについて書くので、この定義についてはそこまで厳格に捉える必要はないと思っています。

美術館の『静けさ』を楽しむ

美術館は、音を使った展示や、またじっくりと作品に向き合う、等のために、基本的には静かにすることがマナーとされています。
自分は、この美術館内での静けさと、その中にあるわずかな音が聞こえてくることがとても好きです。

後述もしますが、特に大きな美術館の場合、自分の足音やわずかな物音でも、遠くまで響き渡ることが多いです。

気になる展示物の前で立ち止まり、展示物を見ながら、

自分の呼吸

自分の口から漏れ出る感想

他の人の足音の響き渡る音

他の人がわずかに呟く感想(のような音)

我慢してはいたが漏れるくしゃみ

案内や警備の方が他の方へ伝えている口頭案内

遠くの映像展示物から聴こえるわずかな音の反響

このようなわずかな音たちが自分の耳に少しずつ入ってくることを実感します。

美術館の『広さ』を楽しむ

美術館の展示室は、大小様々な部屋があるのですが、絵や作品を展示する際に、その部屋の使い方、各作品の飾り方による見せ方、というものもあります。

広々とした部屋に大胆な作品の展示によるインパクトの大きさや、作品から伝わる壮大さを感じることもあれば、

逆に広い部屋に小さなものを置くことで異なる印象を与えてくれるものもあります。

また、狭めな通路に大量の作品を並べることで、時には路地裏の店のような、また時には額縁が電車の車窓のような錯覚を与えてくれるものです。

こうしたものは、どれも作品を展示するにあたって、よりテーマ性に合わせて展示されていますが、そうした展示物が設置されている展示室の大きさと、自分の体が占有する体積とを考えることがあります。

広々とした部屋の中で、作品があり、それを見つめる自分がぽつんといる。

または、

数人しか入れないような部屋の中にぽつんとある作品を、部屋の外から、または中から覗いている。

こんな構図になる際、頭の中で俯瞰的に部屋全体を見ることを考えています。

美術館で『考える』ことを楽しむ


そうして、周囲の人々や部屋そのものから発せられるわずかな物音や、自分が今いるこの展示室と自分の大きさの対比を感じながら、

「この作品が此処に在ることで何を表現している/何を感じられるだろう」

「周りの人はこの作品たちに何を感じているのだろう」

「自分を含め、『作品とそれを見る人達』がここに居ることは何を意味するのだろう」

と考えを巡らせることが最近とても楽しいです。

これは美術館に限ったことではなく、ライブやコンサートを見にいく時、博物館展示を見る時なども同様に同じ楽しみを感じることができます。

小さい頃美術館に行っていた時は、作品よりも単純に部屋の広さと足音がとても好きだった(今でもやはりこの2つがキーとなっています)のですが、少しずつ考えも巡らせられるようになってきました。

ここで大切なのは「考えや想像を巡らせたり、音や広さを感じることに時間をかける」ということです。
これがとても自分にとって重要な要素となっています。
そうすることで、自然と作品へ向き合う時間を増やすことができるだけでなく、美術館という空間そのものへ自分が馴染んでいくような感覚を得ることができます。
なかなか普段行くことは少ないかもしれませんが、ぜひとも『美術館』という空間そのものを味わいに出掛けてみてはいかがでしょうか。

ちょうど目的地に着いたところでまとまったのでこれくらいにします。今日は母校の学祭です。

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