かんごし通信 その6(2020.3)

世間ではもうそろそろ桜の開花が始まる頃であろうか。令和を迎えて初めての冬はあっという間に過ぎ去り、平成という時代を早く忘れようとしているような、そんな物悲しさを感じさせるものであった。

私が幼い頃は〇〇市も雪が多く、自宅の裏の畑でそりすべりをしたり、かまくらを作って遊んだ記憶があるが、今年はこども達と雪遊びをすることも出来ずに、赤と青のスキーウエアは次の冬に備えて出番を待っている。ここで一つ断りを入れさせていただくが、私はこども達との雪遊びがそれはもうめちゃめちゃ好きである。そもそも雪遊びとは、雪かきや雪道の運転の煩わしさと引き換えに我々東北の民に与えられた特権であり、そのためにわざわざスキー場まで足を運ぶなどということはナンセンスであり、大変な由々しき事態である。そこで私なりに事の顛末をスマホで調べて見たところ、オーストラリアでの大規模な森林火災の原因となった高温と干ばつが大きく影響しているらしく、海面の水温が上がり、上昇気流が発生し、エルニーニョ現象でラニーニャでインド洋ダイポールモードなんだそうだった。小難しいことはよく分からないが「今年は雪が少なくていいわねえ」とお茶を啜ってもいられない事態だということはなんとなく理解できた。地球は確かに丸いようだ。 

 それに加えて、もう一つ世界を巻き込んだニュースがコロナウイルスの流行である。日本国内でも発症があり、この原稿が皆様の目に触れる頃にはマスク一枚を巡って「マスク一揆」の戦渦の真っ只中にあるかもしれないが、病院などの医療機関にもいよいよマスクの供給がなくなってしまう事態に陥っている。これは非常に厄介なことで、マスクとは基本的に他者からの感染を予防する役割と、自身の病原体を他者に感染させない役割がある。医療機関でそれが失われた場合、まず医療従事者がコロナウイルスを含む数多の感染症に感染するリスクが上がる。それと同時に、その病原体を病院に受診にきた抵抗力の落ちた患者に感染させてしまうリスクも上がってしまうのだ。インターネットのオークションサイトでマスクが高額で落札されているのを見て「いい商売を考えるものだなあ」と感心していたが、まさに『うばい合えば足らぬ、わけ合えばあまる。』最小限の被害で終息することを願うばかりである。

 某病院の外来では「これはコロナウイルスじゃないかと思って。」と言って受診にくる患者でごったがえしているらしい。風邪などを引いて余計な不安を持たないように、手洗いうがいの励行を心がけていただきたい。

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