かんごし通信 その2(2019.11)
今月の12日、過去最大級と言われる台風19号が日本列島を練り歩いていった。我らが○○市では幸いなことに全国的なニュースになるような事柄はなく、入院されている患者様も皆口々に『やっぱりね。奥羽山脈に守られてるから山形は大丈夫なのだよ。』と、真意の程は分からないが土地の恩恵を我が物顔でありがたく感じているようだった。かく言う私もあぶく銭をせっせと貯め込んで建てた築2年のささやかな我が家と二人のこども、三人目を腹に仕舞い込んでいる妻の身を案じながらいつものように病院へと出勤したが、急な入院もなく被害といえば退勤の際に傘が壊れて濡れ鼠となった私くらいのものであった。被災地で被害を受けた方々、復興に携わる医療従事者の方々へ心よりお見舞い申し上げます。
今回の災害を受けて、ふと関東地方で働いているであろう同級生達の顔が頭に浮かんだ。安否を確認するべくスマホを握りしめて連絡をしてみたが、中には実に7年ぶりに声を聞いた友人もおり、互いの近況報告をして学生時代を懐かしんだのだった。私が卒業した看護学校は5年一貫高校であり、クラスに40名弱の生徒が5年もの間、毎日のように顔を突き合わせて勉学に励んだ。特に私はそのクラスに二人きりの男子のうちの一人であり、高校生の多感な時期からすでに女性の社会の仕組みを学ばざるを得なかった訳で、その時の経験は今でもしっかりと身に染みている。ちなみにもう一人の男子はそのころリーゼントヘアーであったが、今では短髪になり看護師として立派に働いているようであった。
看護学生とって避けては通れないものの一つに病院での臨地実習がある。現在、私の病院では看護学生の受け入れを行なっている。看護学生の臨地実習というものは、ただ我々看護師に金魚のフンの如く付いて回るだけではなく実際に担当になった患者を観察し、問題点を抽出し、それに対する看護計画を立案、更にそれを実施し評価する。これらのことを疾患の勉強や学校からの課題、国家試験に向けての勉強、更には彼氏とのデートと並行しながら1週間から3週間そこらでやってのけるのだから大したものである。そのようにして看護師に必要とされる胆力が身につくのであろうか、酸いも甘いも嚙み分けた菩薩のような顔の先輩看護師と看護学生を見比べてそのようなことを考えたのであった。
というわけで、もし皆様が入院した際に看護学生が担当したいと依頼があったら、遠くない未来に下の世話をさせるかもしれない看護師を育てると思ってぜひ快く了承していただきたい。
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