ASO(アプリストア最適化) キーワードリサーチ編
ASO(アプリストア最適化)は、スマホアプリを作る上で非常に重要です。何故ならアプリの70%はアプリストアで発見され、65%はアプリの検索からダウンロードされるデータがAppleより発表されています。
つまり、ASOリサーチなしで作った場合、アプリストアの検索流入の恩恵を受けることができません。すでに十分な集客媒体を持っている事業者は稀なため、ほぼ全ての事業者がASOについてリサーチする必要があるでしょう。
ASOリサーチ=キーワードリサーチ
アプリストアではキーワードで検索してアプリを見つけます。そのため、リサーチとはキーワードを調べることです。どのようなキーワードで検索された時に自分が作ったアプリを表示させたいのかを考え、調査する必要があります。
またキーワードはユーザーのニーズを具現化したものです。痩せたいニーズを持つ人は「ダイエット」「筋トレ」「体重管理」などのキーワードで検索するでしょう。つまりキーワードからおおよそのニーズまで予想することができます。
リサーチを始める前に
まず大前提として、アプリストアには大量のアプリがあります。Google Playだけでも約300万のアプリがあると言われています。
つまりほとんどのキーワードにはすでに多くのダウンロード、高いレビューがつけられた競合アプリが複数存在するはずです。
そのため、有効な戦略として複数ワードを組み合わせたニッチなキーワードを狙うべきです。そしてアプリの機能もキーワードのニーズを持つユーザーに合わせるべきです。「ダイエット」などのビッグキーワードで上位に表示させることは非常に難しいですが、「ダイエット 体重管理」などの複数ワードに絞って一位を狙います(しかし「ダイエット 体重管理」もすでに激戦区です。)
実際にキーワードを複数にすると、検索結果が異なる例を見てみます。ここではカレンダーを例にします。
カレンダー > カレンダー 共有 > カレンダー 共有 カップル
「カレンダー」で検索→Googleカレンダーが一位に表示
「カレンダー 共有」で検索→TimeTreeが一位に表示
「カレンダー 共有 カップル」→Betweenが一位に表示
GoogleカレンダーとTimeTreeを比較すると、同じカレンダーですが内部の機能は全く異なります。この差を作ることが大切です。検索ボリュームがあり、競合アプリが少ないキーワードを狙うことがポイントです。
Googleカレンダーは共有機能もあるため、TimeTreeのような使い方もできます。しかし、それ以外にも様々な機能があります。TimeTreeはカレンダー共有に特化しています。そのため、カレンダー共有に興味がある人はGoogleカレンダーよりもTimeTreeを選びます。
たとえ同様の機能であったとしても、どのターゲットを狙っているかをアプリのリスティングページで打ち出すことで差別化を図ることができます。また、ターゲットを絞ると機能も絞られるはずです。
キーワードリサーチ
スマホアプリを多くの人にダウンロードしてもらう上で最も重要なことがキーワード調査です。ASOはどのキーワードを狙うかで決まります。また、広告出稿ツールであるApple Search Ads,Google広告もどのキーワードで出稿するかを選択します。そのためキーワード選定を誤ると進む方向性を誤り、結果として時間とお金の無駄遣いが大きくなります。
1、キーワードの基礎について知る
まずニーズはキーワードとして具体化され、検索ボックスに入力されます。キーワードはどのようなニーズの種類があるか分類することができます。キーワードをニーズで分類することで、キーワードの洗い出しに役立ちます。ここでは分類できるニーズの種類をまとめます。
A、問題キーワード
このキーワードはアプリが解決できる問題や質問、ニーズや要望を絞り込みます。例えば「痩せる」「ダイエット」「恋人作り」「出会い」などが当てはまります。
B、ターゲットキーワード
このキーワードはアプリを利用する人を絞り込みます。例えば「○○ 学生」「○○ カップル」「○○ 家族」などが当てはまります。
C、アクションキーワード
このキーワードはアプリをどのように使用するか絞り込みます。例えば「〇〇 ランニング」「〇〇 筋トレ」などが当てはまります。
D、特徴キーワード
このキーワードは競合と比較して、アプリの特徴を絞り込みます。例えば「〇〇 広告なし」「〇〇 無料」「〇〇 自宅」などです。
E、場所キーワード
このキーワードは場所を指定するキーワードです。例えば、「〇〇 東京」「〇〇 世田谷」「〇〇 日本」などが当てはまります。
問題キーワードとアクションキーワードで、どんな問題をどのように解決するアプリか想像できます。例えば、「ダイエット 筋トレ」のキーワードであれば、痩せるためのアプリで、痩せる手段として筋トレを行うことが分かります。「ダイエット 食事管理」であれば食事管理で痩せようとすることが分かります。
ターゲットキーワードと場所キーワードで、ユーザーの絞り込みができます。「ダイエット 筋トレ 主婦」であれば主婦向けの筋トレアプリです。「ダイエット 筋トレ 東京」であれば東京の立地を生かした筋トレができるアプリでしょう。
キーワードをタイプ別に分けることは、新しいアプリを考える際に役立ちます。例えば、「ダイエット 筋トレ 主婦」のアプリがあったとします。この主婦を大学生などに変えれば、全く別アプリになります。またこのアプリが無ければ参入する余地はあります。「ダイエット 筋トレ」として特にターゲットや特徴、場所が指定されていないアプリしかないのであれば、「ダイエット 筋トレ 自宅」など、より条件を絞ることで「自宅」ワードが入った時の検索順位は上がるでしょう。
しかし、上記を行なってもそのキーワードの検索量が十分で無ければ意味はありません。検索量があるにも関わらず、それに特化したアプリが少ないことが参入のチャンスです。
2、キーワードを大量に洗い出す
キーワードの分類について基礎知識は上の通りです。これからやることはキーワードを大量に洗い出し、精査することです。この章ではキーワードの洗い出しを行います。しかし具体的にどのようにキーワードを見つければ良いでしょうか?
キーワードを探す手段はいくつかあります。
・ブレインストーミング
・類義語
・競合アプリのタイトル、説明文
・競合アプリのレビュー
・Webサイトの記事
・Q&Aサイトの質問
・キーワードプランナーなどのツール
キーワードを見つける方法は何でも構いません。出せるだけキーワードを出しましょう。どのような手順で上記方法を組み合わせるか1つの例として紹介します。
A、参入カテゴリーとアプリの仮説を作る
これからアプリを作りたい人であれば、アプリのアイデアが漠然とあるはずです。最初はそれをベースにします。
B、ベンチマークするアプリと、その競合アプリを見つける
作りたいアプリに競合がいないことは稀です。似たようなアプリがすでにリリースされているはずなので、そのアプリを見つけます。またアプリページには以下画像の赤枠部分のように類似アプリも紹介されています。これらをメモします。
C、競合からキーワードの抽出
競合アプリのタイトル、説明文にはどのようなキーワードが含まれているでしょうか?検索で使うであろうキーワードを全て抽出してスプレッドシートに記録してください。
D、ブレインストーミング、ツールの活用、Webサイト徘徊、Q&Aサイト、類義語...
ここからのやり方は自由です。競合ページからベースとなるキーワードは見つかったのでそこから膨らませていきます。ベースのキーワードでGoogle検索してみましょう。どんなおすすめキーワードが表示されますか?Q&Aサイトで検索してみましょう。どんなキーワードで質問と回答が行われていますか?Googleキーワードプランナーに入れてみましょう。どんな類似ワードが出ますか?類似辞典にキーワードを入れてみましょう。どんな類似ワードが出ますか?また出したキーワードを問題キーワード、ターゲットキーワードなどでカテゴリー分けしておくと、その派生を考えやすくなります。例えば、「筋トレ 主婦」のワードであれば、主婦の部分を学生、サラリーマン、お年寄り、20代男性、70代女性などに簡単に派生ができます。さらに新しく得たキーワードでもう一度同じやり方を行なってみましょう。これを繰り返すことで数多くのキーワードが出てくるはずです。
E、(+α)キーワードのニーズと解決策をメモ
様々なキーワードが抽出できたら、そのキーワードで検索する人の気持ち(ニーズ)を想像しましょう。検索する人はどんなことを望んでいるのでしょうか?そのニーズを解決するために、アプリではどのようなことができるでしょうか?これからアプリを作る場合はどんな機能があれば良いでしょうか?
キーワードのニーズと解決策を記録することは非常に重要です。何故なら解決策=アプリの機能となります。そのため開発時に、どんな機能を実装するかの判断材料となります。
3、キーワードを精査する
ここまで洗い出したキーワードを、ツールを使ってチェックします。このチェックを通過したキーワードをアプリのタイトルや説明文に含めます。ツールは基本的に有料です。私はMobileActionを利用しています。同じ価格帯のTheToolも以下にリンクを貼っておきます。
キーワードごとにチェックする内容は以下3つです。
A、関連性
当然ですが、キーワードはアプリと関連性が強い必要があります。筋トレのキーワードでマッチングアプリを作るとユーザーの混乱を招いて低評価となるだけです。またキーワードとキーワードにも関連がある必要があります。筋トレと体重管理は関連性がありますが、筋トレとマッチングアプリなど、関連性が少ないキーワードは省きましょう。
関連性は主観的な判断です。しかし客観的に関連性を判定する一つのやり方として、あるキーワードで検索したときに競合アプリが多い場合は関連性があると判断できます。逆の場合は関連性がないと判断できます。例えば、マッチングアプリで検索して筋トレアプリが出てくるでしょうか?出ない場合はマッチングアプリと筋トレに関連性はありません。
B、難易度
そのキーワードで調べたときにどれぐらいの競合がいるでしょうか?また各競合の強さはどれぐらいでしょうか?ダウンロード、高評価が多いアプリが複数あるキーワードに参入すると、検索上位を取ることは困難になります。これはMobileActionで即座に知ることができます。以下の赤枠はdiff(difficulty score) として難易度を1-100で表しています。「カレンダー 共有」の場合は60ですが、「カレンダー 共有 友人」の場合は表示されていません(ほぼ競合なし)。青枠のAppsはその検索ワードでどれだけのアプリが表示されるかを表しています。「カレンダー 共有」は226のアプリがありますが、「カレンダー 共有 友人」は2つのアプリしかありません。難易度が表示されていないのは競合アプリがあまりに少ないためです。
C、検索ボリューム
しかし、キーワードを複数にするほど検索ボリュームは減っていきます。以下画像の緑枠はSearch Score(検索ボリューム)を1-100で表しています。「カレンダー 共有」は51ですが、「カレンダー 共有 友人」は5しかありません。
競合が多いキーワードは検索ボリュームが多い。競合が少ないキーワードは検索ボリュームが少ない。一般的にはその傾向があります。しかし、検索ボリュームが多く、競合が少ないキーワードが存在します。それをいかにたくさん見つけるかが大切です。
この記事では分かりやすさを優先して2つのワードのみを比較しました。しかし、実際は数百、数千のワードがここに並びます。これを検索ボリュームや難易度で並べ替えると狙うべきワードが抽出されるはずです。
どれぐらいの検索ボリューム、難易度に参入すれば良いかは事業者それぞれにより異なるため、共通の基準はありません。当然ですが、検索ボリュームが減るほどアプリのダウンロード数は減ります。検索ボリュームがあっても競合が強いほど、アプリのダウンロード数は減ります。しかしキーワードはアプリをリリースしても何度でもトライアンドエラーが可能です。リサーチで全てを把握することはできないため、これから参入する場合はある程度は直感を信じて進む必要もあります。
参考
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