【映画感想】LEONは天使を地上に下ろす物語。
マチルダは天使説
ナタリー・ポートマンが演じるマチルダの登場シーン、覚えていらっしゃいますか?
この2シーンで、
「地上から足が浮いている状態」を強調するように、
マチルダは登場します。
顔は花の模様に隠されたまま。
この意味は、まだ現世にきてばっかりだから、
恥ずかしい?のかもしれません。
そして服装はこれです。。
スケスケの白い衣を羽織っているかのようです。
天使そのものの特徴を多く捉えています。
ちなみにこの白い衣は、物語が進むにつれて変化していきますが、
その変化も物語に大きく影響してくるのです。
またご覧の通り、頭は天使の輪っかができてますし、
ずっとつけてる首輪は、天からの使いっぽい印にも思えてきます。
レオンがマチルダを助けにきたシーン。
二人は抱き合い、このカットに。
くどいようですが、「この地から浮かんだ感じ」を
どうにか表そうとしているようにも見えます。
また、マチルダを訓練するために、
屋上から公園の人をめがけて、射撃の練習をします。
他にも強調的に描かれていますが、
冒頭の登場シーンのように、窓から地上を眺めている、
という情景が多く映されています。
いつも、こういう物憂げな表情で、下界を見下ろしています。
天使が現世を見ているようにも見えるのは、私だけでしょうか?
さらに飛んで、ラストシーンで
彼女が纏っていた白い衣は、もうありません。
もうその必要はなくなったから。
決定的に汚れたのはこのシーンです。
クライマックスで、
麻薬取締局が、レオンの隠れ家へ押し入ります。
追い詰められたレオンとマチルダは、
最後の頼みを、通気口へと託します。
子供一人がやっと通れる大きさの穴でした。
「一人で行くのはイヤ!」と別れを惜しみつつも、
マチルダはこの穴を抜けて、「地上」に降り立ちます。
そうすると、
この暗くて狭い穴は、人類みんなが通ってくる
「産道」としても観られるんじゃないでしょうか?
こうして通しで観てみると
マチルダの天使である証拠はたくさんあることが
わかって頂けたのではないでしょうか?
そしてラストのシーンでは
一緒に産道を通った親友の植物は地上に根を張る。
それを眺める彼女は、汚れた衣を纏って、見送る。
そしてカメラ位置は、天高く舞ってニューヨークの街を俯瞰するカットに切り替わっていく。
まるで、レオンの視点のようにも見えてきます。
なので改めて観てみると、
この物語は、
「レオンが命をかけて天に昇るかわりに
天使を地上に降ろす話」
という解釈も可能なのではないでしょうか?
いずれにしても、
天使がここにいるんだ!思わせてくれるほどの
豊かな表現力、演技力あってこその映画だと思います。
ナタリー・ポートマンはこの映画に出た後も
数々のヒット作に出演していきますが
彼女の地上第一号を飾った映画が、この映画だったというのが
何か不思議な力も感じ得ます。
ここまでお読み頂きありがとうございました。 こちらで頂いたお気持ちは、もっと広く深く楽しく、モノ学びができるように、本の購入などに役立たせて頂いております。 あなたへ素敵なご縁が巡るよう願います。