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【映画感想】「ベイマックス」は兄の霊がロボットで弟を救う物語
アニメ映画が熱い。
ディズニープラスに入会しまして
久しぶりに観てまいりました。
合計で3回観ましたが、
何度目でも新しい発見があります。
そしてたどり着いた結論。
この映画は、
「兄が機械の力を借りて、現世に降り立ち、
弟を救済する話」
だと思います。
出だしからネタバレで申し訳ないんですが、
映画が始まって3分の1くらいのところまでが、
生きているうちの兄との思い出話であり、
そこから、主にベイマックスの力を通じて
兄が顔をだしつつ、
弟の成長を手助けする、という構造になっています。
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舞台は架空の街
「サンフランソーキョー」
サンフランシスコと東京の融合
この冒頭の街の名前が象徴するように、
この映画では、
「日本」と「アメリカ」の
融合が一つのテーマになっているんでは、と思えてくるのです。
例えば、街並み。
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歩道には桜があり、右手のほうの緑は、松でしょうか?
とくに変なのは、正面の水色っぽい建物、主人公の家であり、経営しているカフェ?と一体型になっているおうち。
パッと見はアメリカにありそうな作りだけど
よく見ると、屋根は瓦です。1階と2階のあいだの日差しも瓦。
あきらかにおかしい建物なんです!
そこに住む兄弟と叔母の物語。
主人公の名前は、ヒロ・ハマダ。
なので改めて見直すと、
兄の亡霊が弟を救いつつも
日本とアメリカ、引いては
東洋と西洋の融合について触れているんですから、
かなり複雑なことをやっています。
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ベイマックスと初対面のシーン。
兄がロボットバトルの会場に送ってくれるというのでついてきたものの、
到着した先は大学の研究室。
ここでヒロの「痛い!」の声に反応して、
救急箱みたいなところから飛び出してきます。
この白くて可愛いケアロボットが
兄の研究している、発明品でありました。
それがベイマックス。
以下、ネタバレします。
ネタバレと言っても、物語に3分の1程度です。
兄と弟は一緒に工学の大学に入って、
仲良く研究するはずでした。
そして不慮の事故に。
失意の中で、落ち込むヒロ。
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言葉では表現されませんが、
もう空っぽ、何も考えられない、状態です。
そしてあんなに楽しみにしていた、
大学の入学書類をゴミ箱に捨てた次の瞬間、
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ロボットの片割れが足に落ちて激痛。
そこでヒロが思わず漏らした、
「痛い!」の声に反応して、
お兄さんの発明品は、目を覚まします。
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いみじくも、いつもお兄さんと話していたであろう角度に、再登場します。
偶然、日差しに照らされて、神々しくも見えてきます。
お兄さんは「人の役にたつため」に
ロボットを作りました。
開発の手順は詳しくはわかりませんが、
きっと、ケアする相手のモデルとして、弟のヒロをインプットしていたという想像もできます。
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追っ手から命からがら逃げるシーンですが
兄の優しさ全開のシーンとも見れます。
ポイントは、可愛いこと。
発明者の兄はこの体のデザインのことを、
「思わず抱きしめたくなる。そんなのを目指した。」
と言っています。
死後、その目指したものは、ふわふわなおかげで、
弟の命を助けることに繋がりました。
ここで、「可愛い」について掘り下げてみたいんですが、
明らかに、この見栄え、可愛いを狙っているんですよね。
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全編を通して、ずっと可愛い。
狙って、可愛さを表現している。
しかも映画の設定上も、兄が可愛いのを目指して、設計したことになっているので説得力が強い。
この「可愛い」という概念のおかげで、さきほども触れたように
弟の命を救ったし、画面を見ている私たちにも安心感を与えてくれる。
以下、この「可愛い」について面白いデータがあったので紹介します。
以下はインスタグラムの2017年から2018年の1年間で、
「#kawaii 」と付けられた投稿の国別の数です。
![](https://assets.st-note.com/img/1672458456148-nGZEOvnSju.png?width=800)
アメリカが断トツです。
とくに欧米で流行っている。
「可愛い=KAWAII」はすでに世界共通語で、
とくに若者の間かなり頻繁に使われる言葉になっているのです。
つまり、その「KAWAII」の発明国日本が、
この「可愛い」ロボットに象徴されているといっていいでしょう。
そしてその仲間たちは、
![](https://assets.st-note.com/img/1672459455020-VuVyqiDWoZ.png?width=800)
ゴリゴリのアメリカ風ヒーローの見た目。
(でも詳しく見れば、日本アレンジも入ってる、忍者とか)
また、この時はベイマックスもヒロの発明した専用アーマーを着ていて、
内側は日本の可愛さを秘め、外は鋼鉄のアメリカ風という融合?らしきものにも見えます。
よくみると、柔らかかったから助かった場面、硬かったから助かった場面がどちらも同じくらい描かれていて、どちらの良さも際立っています。
最高のシーンはここ
本当の敵の正体が明らかになり、
復讐の念に駆られ、相手を殺すと言って自暴自棄に。
ベイマックスも破壊兵器に変えるために、
胸に仕込まれている、
お兄さんが作ったヘルスケアチップを取り出そうとします。
そこで、ベイマックスは
「本当にそれでいいのですか?」と問います。
「タダシ(兄)が望んだのですか?」とも。
「兄さんはもういない!」と絶叫。
どん底のような状況で
転換をつかむきっかけとなったのは、
このあと再生された、
兄タダシの開発記録の動画でした。
ベイマックスが
「タダシはここにいます」と無機質な声とともに
お腹のしろいところに映像を映し出します。
![](https://assets.st-note.com/img/1672461728522-GUjUhIp77A.png?width=800)
普通の展開なら、ここで、
「弟へ向けたメッセージ」とかで直接語りかけて元気を取り戻させたりしたと思うんです。
そこは天下のディズニーといいますか、
並の脚本ではございません。
再生されたのは
兄がベイマックス開発に向けての研究記録であって、
弟に直接向けたメッセージではありません。
どんな思いでこのベイマックスと向き合い、
開発してきたか。紆余曲折。
30回目あたりのテストのときに、
あきらめそうになるが、
ベイマックスに向けたこの言葉で奮い立たせます。
「俺は信じてるからな
みんなの役に立つように、なるんだぞ」
これを見た弟のヒロは
おそらくベイマックスと自分を重ねたことでしょう。
兄の魂の部分である
「みんなの役に立つロボットを作る」
という意思に触れて、
弟はベイマックスを破壊ロボットに
する考えを捨てます。
そして仲間と一緒に戦い、人の役に立つ道を選びます。
まさに兄の魂がベイマックスを通して、
弟の窮地を救ったシーンと
言えるのではないでしょうか?
まとめ
冒頭で、日本とアメリカの融合とか小難しいこと言ってながら、
あまり触れられませんでした。
ほぼ、↑にあげたあのシーンのパワーで、
書き進めてしまったくらい。
とにかくそれくらいパワーがある。
もっと深掘りするなら、
なんで主人公兄弟は親がいないのか?(叔母さんに育てられた)とか
街並みや服装などのディテールから見えるものとか
テーマはまだまだある感じします。
あと、もう一つ最後に。
宇多丸さんの映画評でも言ってたことなんですが、
この映画、異次元に入れます。
![](https://assets.st-note.com/img/1672463146689-rcIBPe0mkc.png?width=800)
ある展開がきっかけで
異次元の中を行くことになったヒロ。
この中身の様子がリアルに観れるんです!
素晴らしい。
漫画やアニメも含め、異次元はクリアに描かれないことが多いですが、
そういう逃げはしません。この映画。
異次元でもなんでも描いてやるよ、観てみな、
みたいな意気込みも感じられてきそうです。
ディズニー、おそるべし。
ここまでお読み頂きありがとうございました。 こちらで頂いたお気持ちは、もっと広く深く楽しく、モノ学びができるように、本の購入などに役立たせて頂いております。 あなたへ素敵なご縁が巡るよう願います。