近所の蕎麦屋

 近所の蕎麦屋に行った。昔ながらの蕎麦屋。暖簾はかかっていなかったが、戸を引くと店の中には四人席が四つ、奥には座敷スペースがあった。隅にはテレビがあり、お昼のニュースが流れていた。お客さんは一人。お店の人は店の奥で作業しているようだった。空いている席に座り、献立表と書かれたお品書きに手を伸ばした。漢数字が並んでいる簡素な記載。子供の頃、祖母がよく出前を頼んでいたとんかつ屋のお品書きに似ていた。
 蕎麦、うどんなどの一品物は一千円弱、天麩羅や丼ものがセットになると一千円を超えるようだ。暖かいうどんに惹かれながらも天ざるを頼んだ。この店は、初老のおじさん二名と年配のお爺さんで切り盛りしているようだ。店の前にはカブがあり、出前も対応しているようだ。私が店に入ってからも注文の電話が何度か鳴った。私の前方には冷蔵ケースがあり、ラガービール、ソフトドリンク、清酒のような瓶があった。置いてある清酒の銘柄が知りたかったが、お品書きに記載はなかった。
 自家製の蕎麦、つゆは美味しかった。天麩羅の油は重くなく、身体に負担なく食べることができた。蕎麦が美味しいと蕎麦以外の食べ物も気になってきた。また時間を見つけて訪れてみようと思った。


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