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果たして僕は英語ができるようになったのだろうか

こんにちは。私は現在、交換留学で一年間、スイスのチューリッヒで建築を勉強しています。

さて、英語力の向上は、留学をするにあたっての大きな目標としている人が多いと思います。私も後輩から留学の相談を受けたときに、英語がうまくなるだろうか、と聞かれました。
私の留学は英語の習得より建築の学習が目的ではありますが、それでも、せっかく海外にいるのだから、英語力もつけたいと思うものです。留学の約半分が終わったところで、果たして自分の語学力が向上したのだろうかを振り返ってみました。


日本にいた頃


東大の交換留学に申し込むためには、一定の語学力が要求されます。東大からETH Zurichへ留学する際には、TOEFLで80点を取っていないといけません。これは、他の留学協定校と比べると低いハードルです。なぜなら、スイスが英語圏ではないからです。

スイスでは、スイス語が話されています。

と書くと「嘘つけ」と言われますね。
スイスの公用語はドイツ語、フランス語、イタリア語、そしてロマンシュ語です。チューリッヒはドイツ語圏なのですが、ドイツで話されているドイツ語(ハイジャーマンと呼ばれています)とは、だいぶ違うのです。日本語でも、方言がきついと理解が難しいですよね。ですから、ある意味ではスイス語が話されているともいえるでしょう。

画像1私が現在留学しているETHも、ドイツ語で「(スイス)連邦の」「工科」「大学」と言う意味の三語の頭文字です。大学名にUniversityやInstituteが入らないのは珍しいかもしれません。ちなみにドイツ語なので、「エーテーハー」と読みます。

英語に話を戻すと、私はTOEFLで96点だったので、それほど英語ができるわけではありませんでした。それでも、「まあ、基準点も低いし何とかなるだろう」くらいの気持ちで申し込み、無事に留学が決まった後も大して勉強せずに来てしまいました。留学生にありがちですが、これが間違いだったことに気づきます。
そもそもTOEFLを受けたのは留学の一年前。それもシンガポールでの短期留学の直後だったので、多少は英語を覚えていたわけです。東大の建築学科で英語を使う機会はほとんどなかったので、当然一年間経てばすっかり忘れてしまいました。


スイスに来た直後

このように、状況がまずいことは理解していたので、留学直後ではあまり語学力をショックに思いませんでした。そもそも、周りの学生も英語が母国語ではないので、そこまで早口では話しません。それに、お互いに文法や発音が完璧ではない、と分かりあえているのでプレッシャーには感じませんでした。

また、自分の英語の日本語訛りはコンプレックスに感じていましたが、他の留学生と話していて、それも個性として認めてくれているのが感じられたので、それもうれしかったです。

少し話が脱線しますが、これはスイスで知り合った留学生がおススメしてくれた動画です。

この動画では様々な「ジャパニーズイングリッシュ」が出てきます。
最初に見たときには、日本のアクセントが恥ずかしくなり、また、それをバカにしているのではないか、と思っていたのですが、よくよく話すと、こうした発音を本心でカワイイ、面白いと思ってくれているようで、意外に感じつつもこの個性も大切にしたいなと思うようになりました。


スイスに来て一か月して

しかし、一か月ほどして考え方が変わりました。端的に言えば、焦りはじめました。それは、これまで「周りの学生と同じくらいだから大丈夫だろう」という一種の自己暗示が破れた瞬間でもあります。
それを感じたのは、設計課題のスタジオでのことです。先学期のスタジオでは、アジア人は自分一人で、他はみんなヨーロッパ出身のドイツ語話者でした。はじめのうちは全員での活動が多く、議論も英語でしていたのですが、少人数でのグループ活動が中心になると、自分以外のグループがどこもドイツ語で議論を始めます。TAさんたちともドイツ語で話しているのをみて、「これはまずい!」と危機感を覚えました。


これまで英語で授業や議論に参加してきて、もちろん周りの学生のほうが自分より英語力は上ですが、追いつけないほどではないと考えてきました。しかし、彼らは英語に加えてドイツ語で意思疎通ができます。自分よりもずっと多くを吸収し、アウトプットする語学力があると思うと、置いてきぼりにされた気持ちでした。


これには、大学の制度も関係しています。ETHのほとんどの学部では英語が入学要件ですが、建築学科については、ドイツ語が必須なのです。つまり、交換留学生を除いてみんなドイツ語ができなければいけない環境にあるわけです。スタジオでドイツ語が話せないのは自分だけでした。
しかし、焦ってうまくいくことはありません。以前なら冷静に簡単な言葉で話せていたことも、ついう「上手に」話そうとして結局伝わらなかったり、伝わらないストレスから議論でつい感情的になってしまったりしてしまいました。


それからしばらく経ち、今では焦りを感じることは多少減ってきたと思います。ドイツ語ができないことで焦っている暇があるならば英語でちゃんと伝える努力をするべきだと気づきつつあります。それに、相手の言っていることがさっぱりわからなくても、文脈で察する力がついてきました。

また、「話し始め方」が少しずつわかってきたように感じます。
すごく簡単な例で言えば、Where is the station?という文があります。日本語では「駅はどこですか?」という訳になります。だから、話そうとしても、まず「駅」が思い浮かんでしまいます。すると、言葉に詰まってしまいます。駅の場所を尋ねるのに"station"からはじめると正しい文を作りにくいからです。これは、日本語から英語に訳している、というよりそもそもの思考の順番の問題ではないかと思います。

普段、英語で考えるようにしていますが、それでも最初に頭に浮かぶ単語はstationです。それでも、話し始めにWhereという一単語さえ発せられれば、そこからはスラスラと話せるようになります。とりあえず話し始めて、話しながらその先の単語を並べていく、というプロセスが少しずつではありますができてきて、それが話すことへの抵抗をなくしてくれています。


とはいえ、まだまだです。英語は、今の学びだけでなく、今後の進路を考える上でも非常に大切です。今学期も積極的に話しつつ、苦手意識のあるリスニングをうやむやにしないために、丁寧に相手の発言を聞くように頑張りたいと思います。ではでは。

追伸
ブログを書くにあたって、プリンストン大学に留学している友人のものを参考にしています。とても興味深いので、ぜひ。
https://princeton-cs.hatenablog.com/entry/2020/01/23/174216

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