革命を起こすんだ

ちょっと前にtiktokでandymoriの楽曲「すごい速さ」が流行っているらしいという記事かなにかを読んだ。

普段僕はtiktokは全然見ないのでその現象は知らなかったし、おそらく今は流行ってないんだろうと思う。

現代の流行り廃りの速さはそれこそ「すごい速さ」なのである。


僕は別に活動期間中にandymoriを聴いていたわけではないし、andymoriについて知っていることはほぼなにもないのだけれど、数日前なぜか不意に聴いてみようと思って「革命」を聴いた。

なぜこの曲を選んだかというと僕が唯一聴いたことのあった曲だったからである。


2011年、僕は小田急線の某駅に新しくできたTSUTAYAでオープニングスタッフとして働き始めた。

4月にオープン予定だったが東日本大震災があり、店舗の壁にヒビが入ったため当初のオープンより少し遅れて5月にオープンしたように記憶している。

オープン当初はスタッフがそれぞれ覚えなければいけない要素が満載で当時のことはあまり覚えていないけれど、それでも映画のDVDに囲まれて作業する時間は自分にとってとても楽しい時間だった。

ほぼ耳を傾けることはなかったが、閉店間際に蛍の光を流すまで延々と繰り返し流れ続けるTSUTAYAの店内番組で僕はこの曲に出会った。

出会ったと言ってもタイトルとサビだけなんとなく覚えていただけで当時ちゃんと聴く機会はなかったのだけれど、

andymoriを久しぶりに思い出した時にまず頭に浮かんだのがこの曲のことだった。

当時ピックアップされていた他のアーティストの他の曲はひとつも覚えていないのになんでこの曲だけは覚えているんだろう。

そもそもあれってどういう曲だったんだろう。気になった。


聴いてみてまず思ったのは簡潔で短くてなんて素晴らしい曲なんだろうということだった。(他の曲を色々聴いてみてもandymoriの楽曲はどれも驚くほど短くていい)

そして「受け継がれていくこと」についての楽曲であること、またそこには2011年という時代が驚くほど反映されていたことに非常に感動した。

「革命」というタイトルの通りもっと大袈裟で「俺はやったるねんぜ!」みたいな曲だと勝手に勘違いしていた。

もっと繊細な手つきで、丁寧に積み上げて、それがたとえ壊されたとしても積み上げたものは無くならないんだよという革命の歌だった。

僕はこんなにやさしい革命を知らない。すごく救われた思いがした。

「100日1000日10000日たった後できっと誰かの心に風を吹かせるんだ」
それはまさにandymori自身が10数年の時を経て再び脚光を浴びる瞬間を得たこと、響くものはどんな時代になっても響くんだよという現代のバズが強烈な説得力を持って自分の心に火を灯すような体験でした。

こんなことしててなにになるんだろうという漠然とした不安も、小さくてやさしい革命として誰かに届いたらいいし、届くと信じてやっていこうと思った。

解散しているバンドの曲がなぜ流行ったのか?
それがたとえレコード会社や広告屋の策略であったとしても、自然発生的なものであったとしてもそんなことはどうでもいいくらい今出会えてよかったです。

これからたくさん聴こう。andymori。


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