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JLCPCBで、はじめて金属3Dプリントで部品発注してみた

気になっていた金属3Dプリントサービス

中国の基板(PCB)製造メーカー「JLCPCB」では格安で基板発注を行うことができます。基板製造だけでなく、3Dプリントサービスも充実してきました。3Dプリントでは、樹脂だけでなく金属材料にも対応しています。しかも格安かつ短納期で。

個人メーカーが気軽に使えるサービスといえば、DMM.makeが有名です。
金属3Dプリンタサービスという点で比較すると、こちらは材質がアルミニウム、ステンレス、チタン、スチールと豊富な反面、割高かつ納期が長いです。ちょっと試してみる分にはJLCPCBに軍配が上がりそうです。

金属3Dプリンタを試すきっかけ

大して複雑なパーツではありません。
自転車用のスタンド(ダブルレッグスタンド)を購入したのですが、取り付ける際に一部の部品が自転車のフレームに合いませんでした。

アジャスタブル ダブル レッグ センタースタンド CL-KA56

下記の画像のように、フレームに固定用部品を挟み込んで固定する仕組みです。その固定用部品の幅が取り付け箇所のフレーム幅に合いませんでした。

固定用部品が取り付け箇所のフレーム幅に合わない

そこで、取り付け箇所のフレーム幅にあった固定用部品を金属3Dプリントでつくりかえるようにしました。

つくったもの

Fusion360で造形しました。
丸穴にはネジが通り、2つの矩形の穴はコスト削減のため肉抜き用です。

簡易的にFusion360のシミュレーションで、30Kgの重量がかかったとき(つまり294Nの荷重がかかったとき)の静的応力を適用して様子をみてみました。結果として解析結果は問題なく、自転車の重量は10〜12kgなので十分な設計のようです。

注文してみると

65×30×7mmのサイズで約20ドル、日本で約2800円でした。
円安(1ドル148円)の影響で、想像より高くなりました。これに送料が約800円かかりました。

出力した結果

約10日で届きました。
手に持ってみると金属のずっしり感とひんやり感があり、思わず「おぉ…!」と声がでました。金属3Dプリンタの仕組みのため表面はざらざらしていますが、使用上は問題ありません。きっちり面取りも表現されています。

実際に取り付けてみると、狙い通りダブルレッグスタンドを固定することができました。

おわりに

樹脂の3Dプリントサービスに比べる高い値段に感じますが、個人でも気軽に金属3Dプリントを試すことができます。

私はFlashforgeの金属プリンタに対応した3Dプリンタ「Adventure3X」を所有しています(現在は取り扱い終了)が、金属フィラメントは法人しか購入できず、造形したとしても後工程で焼結を行うため外注する必要があります。その価格は金属フィラメントが3万3000円、脱脂/焼結サービスが1回あたり8万5000円でした。そう考えるとJLCPCBの格安です。

また焼結処理を施すと、実際の出力サイズからさらに小さくなります。
なのでそれを見越した設計を行う必要があります。JLCPCBでは、そうしたサイズダウンを気にせず設計寸法のまま発注できるので作り手からすると嬉しいですね。

金属加工が難しいような小型の試作部品は金属3Dプリンタを活用すれば、十分検討できるのではないでしょうか。

なにはともあれ、金属3Dプリンタの敷居がさがってきたことに驚きを隠せません。

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