LIMINAL VR

Meta Quest2(クエスト)で体験できるLMINAL VRが好きなのですが、日本語での紹介が見つからなかったのでNoteに書いてみました。(情報は2022年12月時点で画像はアプリからのスクリーンショットです)

LIMINAL VRは無料でダウンロードできるアプリで、アプリ内課金はありますが無料でも十分様々なVRの表現を体験できます。一つのまとまったアプリというよりも、小作品が並ぶプラットフォームという感じなので、気軽に体験できますし(大作のゲームなどだったらその中の演出の一つに過ぎなくなってしまうであろう)新規の表現などを直接体験できるのが良い感じです。


ホーム画面

インストールは普通にアプリを検索すれば出てきます。起動してタイトル画面が終わると輝くパネルが5枚並ぶホーム画面に。左端の"The Lab"は特殊ですが、残りの4枚はそれぞれカテゴリごとの作品への入口になっています。ちなみにこのホーム画面や次のカテゴリに入った画面も上を見上げたりするときれいです。
無料の場合も各カテゴリの中で週替わりでそれぞれ4作品が体験できます。ただ、劇的に変わるという感じではないので、なんらか偏りはありそうですが。それ以外のロックされている作品を体験したい場合は後述するクレジットが必要になります。

Calm
心を落ち着かせるような34作品があります。瞑想を促す作品が多く、呼吸補助があるものではアプリ内での評価も高い《Desert Breeze》、ないものでは《Primal Rain》などが好みです。各作品にクレジットがついているのですが、"LIMINAL VR"によるものが質が高い物が多い印象。後は目を瞑ってつぶって体験する実験的な《Unseen》《Spellbound》は初めての体験でしたし、VRならではの広がりを感じる万華鏡のような《Orom》、細胞に入ったような《Calming Sirius》などが面白かったです。

《Skald》

画像は焚火の前でオーロラを見上げながら物語を聞く《Skald》。一番好きというわけではないのですが、"The Lab"で色々なバージョンが体験できるので、自分の嗜好と向き合うきっかけになりました。"Calm"に入っている音声に加えて字幕と挿絵があるバージョンが一番わかりやすいのですが、"The Lab"に入っている音声だけのバージョン(できれば語り手も一人にしてほしい)が、焚火を前にしてうとうとしながら見知らぬ言語での物語を聞くという雰囲気で好きです。映画の"13 Warriors"の冒頭のシーンを思い出しました。

Energy
こちらは元気づけるような23作品。銃や弓、視線によるシューティングなどもありますが、個人的に好きなのは色を塗るというところが共通している《Splat!》《Colorgize》。《Splat!》は水色の絵具の詰まった泡を破ることで、真っ白だった空間が徐々に姿を見せていきます。途中で出てくる緑の泡を割ると一転してカラフルかつ一気にクライマックスに進むカタルシスがあるのですが、個人的には前半の溜めの部分でちまちま空間を埋めていくのが、抑制的かつ余白を想像する余地があって好きです。

《Colorgize》

《Colorgize》はエネルギー球(?)を投げて室内を染めていく作品。手からブンって感じでエネルギー球が出るのはドラゴンボールのような身体感覚があり、全体が良い意味で80年代のビデオゲーム感、ギミックの感じもピンボールを思い出します。ちなみに最後の演出も好みです。クエストの静止モードだと93/120が自己ベストスコアなのですが、歩行モードでも挑戦してみたいと思っています。

Pain Relief
VRが痛み軽減に繋がる可能性は研究が進んでいる分野です。いくつか作品が減ったようでこれを書いている時点では5作品があります。

《Cosmic Conductor》

好きなのは最近追加された《Cosmic Conductor》でディズニーの「ファンタジア」や宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を彷彿とさせる雰囲気です。手に持ったワンド(杖)の表現がきれいで、手持ち花火を持ったり、指揮棒で光を操る感覚が味わえます。こうして別の現実に集中することで痛みも忘れる可能性があると聞いたことがあります。

Awe
畏怖を感じさせるということでしょうか。13作品。Passive=操作しないで体験する《Emergence》《Rainbow Rain》《Boundless》は非現実の体験として好きですし、《Visitor》は手に持ったコンパスとレシーバーのギミックが面白い。そしてこのAweの中で個人的に最もお気に入りなのは《Grid》《Descent》です。《Grid》はずらっと配置されたスフィアからどれかを選択することで起きる様々な反応を体験します。VR効果の詰め合わせという感じでVRでの表現について知見が深まる作品です。若干ネタバレとして、起きる反応は20種類くらいで、無数にあるスフィア全てに個別の反応があるわけではなさそうです。

《Descent》

《Descent》は洞窟や地下世界を探検する作品で、コントローラが海中電灯になって岩肌を照らす表現は新鮮ですし、最後のエッシャーやタイタスグローンを思わせる茫洋とした巨大な建造物の世界観に強く惹かれます。これも少し広い場所で歩行モードで体験したいと思っています。

The Lab
The Labは特殊で、PrototypeやSplit Testなどを体験することでクレジットを稼ぐことができます。このクレジットを使うことで、作品の28日間のアンロックやいつでも体験できるお気に入り(favorite)に追加することができます。ただし、The Labで稼げるクレジットには現時点では全部を体験して1050クレジットという上限があるため、それ以上に欲しい場合は課金が必要です。課金はクレジット購入外の他に月単位のサブスクもあって、加入すると全作品が体験できます。自分はこのサブスクに入っていて、どの作品をお気に入り(favorite)に追加するか考え中だったりします。

ちょうど大学院のゼミで教授から内省的な作品が好きなのか?という問いをもらい、改めてLIMINAL VRが好きな理由もそうした作品が多いという点もあると考えています。また、こうした小作品についてはこうしてプラットフォーム上で集めることで体験強度も増しますし、人が訪れやすくなるという点でも参考になりました。現時点では玉石混交な部分はありますが、是非、VR表現のプラットフォームとして発展していって欲しいと考えています。

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