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世界中の誰もが、そして何世代にもわたって端末を通じてアートを体験する、そんな「すでに起…

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世界中の誰もが、そして何世代にもわたって端末を通じてアートを体験する、そんな「すでに起こった未来」を夢見る芸術修士

最近の記事

Meta Quest2でFine Artを体験できるか?

アニッシュ・カプーア、オラファー・エリアソン、ジェームズ・タレルといった大きな空間を使ったインスタレーション、こうした体験をVRゴーグルであるMeta Quest2を使って体験できないだろうか?と思って色々試してみた記録です。 バーチャル環境 選択できるバーチャル環境にそのものずばり"Abstraction"があります。ただ、それっぽい要素を詰め込んだだけな印象で個人的には残念な感じ。もっと尖られせてマーク・ロスコ風のテーマにするとか、現役ならラファエル・ローゼンタールとコ

    • LIMINAL VR

      Meta Quest2(クエスト)で体験できるLMINAL VRが好きなのですが、日本語での紹介が見つからなかったのでNoteに書いてみました。(情報は2022年12月時点で画像はアプリからのスクリーンショットです) LIMINAL VRは無料でダウンロードできるアプリで、アプリ内課金はありますが無料でも十分様々なVRの表現を体験できます。一つのまとまったアプリというよりも、小作品が並ぶプラットフォームという感じなので、気軽に体験できますし(大作のゲームなどだったらその中の

      • Meta(Oculus) Quest2が来ました

        自宅に届いたMeta(Oculus) Quest2に触ってみました。自分みたいに詰まる人はいないとも思いますが、備忘として。 セットアップ 順調に進んでいると思ったら、位置設定の後あたりで進まなくなりました。結局、やり方がわからずに再起動をしたりしたら無事にホーム画面(最初は和室風の部屋)が表示されましたが、何が正しかったんだろう。。 はじめてのQuest2(First Steps) まずはこのアプリから。「人差し指でボタンを押してください」のところでボタンが見つからずに

        • 第25回メディア芸術祭受賞作品展

          第25回メディア芸術祭受賞作品展に行ってきたので、いくつか印象に残った作品について記載してみます。全般にコロナの影響もありリアルとバーチャルの境界を考えさせられる作品が多かった印象です。 平瀬ミキ《三千年後への投写術》 といいつつ、いきなりリアルに全振りの作品。電磁的な記録は長く持続しないため、千年単位で残すための記録媒体という石を使うという発想は「三体」などでも扱われていました。誰もいない真暗な展示室に入った瞬間が、現在と切り離された異界の感覚でエモい。石の表面に微細な加

        Meta Quest2でFine Artを体験できるか?

          ICCアニュアル2022「生命的なものたち」

          修論のため「メディアアート原論」を再読しているが、メディアアートのメインストリームの作品についてはICC(Inter Communication Center)やメディア芸術祭(さらに言えばアルスエレクトロニカ)を押さえておけばかなりの部分を体験できるのではないかと考えている。そのICCの展示は大きく年(今年から半年?)に一度更新されるため、現在や未来を示しているのではと考え、現在開催中のICCアニュアル2022「生命的なものたち」の各作品について自分なりに考えてみた。 リ

          ICCアニュアル2022「生命的なものたち」

          XANALIAでNFTアートに入札してみた

          結論としては以下の手順だったが、XANALIAの問い合わせ対応も遅いし検索しても出てこないのでNoteに書いてみることにした。 ①国内仮想通貨取引所に口座を作成、ネットバンキング経由で入金し、仮想通貨を購入する。自分の場合はイーサリアム(ETH)にした。 ②Google Chromeに拡張機能としてメタマスクを導入し、ウォレットにETHを送金する。 ③メタマスク上でETHをテザー(USDT)にスワップする。この際にはガス代がかかる。 ④XANALIAでネットワークをイ

          XANALIAでNFTアートに入札してみた

          《Infinite Oz》[2007]

          てのひらのなかの無限 《Infinite Oz》は2007年にsci-fi channelの《Tin Man》のプロモーションとして制作されたコンテンツである。オリジナルは進行速度や方向を変えられるAdobe Flashを用いたインタラクティブコンテンツであったが、現存しているのはこのYoutube上の動画のみである。拡大していくと新たな絵が現れるZoomquiltと呼ばれる手法を用い、オズの魔法使いの冒頭のシーンであるカンサスの風景や、80年代サイバーパンク風のアジアの都

          《Infinite Oz》[2007]

          Damien Hirst《Idolatry》[2011]

          Seditionはオーソライズされたデジタルアートを取扱うプラットフォームで、(現在は名前はないが)Damien HirstやTracy EminといったYBA(Young British Artists)などの著名なアーティストが作品を提供している。エディションを設定しての販売、サブスクリプションモデル、セカンダリーマーケットなどを備え、最も進んだデジタルアートのプラットフォームの一つだと言えるだろう。 《Idolatry》はDamien HirstのHD Imageで、

          Damien Hirst《Idolatry》[2011]

          片山義幸《タイトル不明》製作年不明

          3つの対立軸の静かな調和。 片山義幸は映像作家だが、文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品に選定され、FRANCK MULLER ART GRAND PRIX『求ム、創造の天才。』のグランプリを受賞した《草虫時図》といったインタラクティブな作品も制作している。(残念ながら《草虫時図》はAdobe Flashを用いていたため現在は体験不可能) 授賞式でFRANCK MULLER本人が「花には花の、虫には虫の時間があることを気がつかせてくれた」と語っていたように、花と虫の時間を

          片山義幸《タイトル不明》製作年不明

          iART

          自分が求めるもの、PCやスマートフォンなどの端末を通じて体験できるアートを勝手に"iART"と呼ぶことにしたい。現在のアートワールドの用語で、これらを過不足なく定義するものがないからである。(今読んでいるNOAH HOROWITZ「ART of the DEAL」(光村推古書院、2020年)で出てきたら取り下げるが) これはメディアアートの一部ではあるが、メディアアートの概念は広すぎる。それはほとんどがデジタルアートではあるが、デジタルアートではデジタルを手段として使いインス

          旅立ちにあたって

          アートについてきちんと学びたいと、京都芸術大学大学院超域プログラム後藤ラボに入学して既に3カ月が経った。Amazonから届く本の山の消化が追いつかず、既にレポート締切の心配をしているが、新しい世界での楽しい日々を送っている。noteでは既にiARTを紹介する投稿を2本しているが、それと並行して後藤繁雄「アート戦略/コンテンポラリーアート虎の巻」(光村推古書院、2018年)を手始めに、全般的なアートについての学びや体験について書いていきたいと考えている。この後藤先生の本は、自分

          旅立ちにあたって

          IP Yuk-Yiu《ANOTHER DAY OF DEPRESSION IN KOWLOON》[2012]

          「地」として創られた、既に存在しない街の奇妙なリアリティ。 IP Yuk-Yiuの《ANOTHER DAY OF DEPRESSION IN KOWLOON》は、2010年のゲーム、《CALL OF DUTY: BLACK OPS》から人物などを取り去り、残った背景を用いた15分の動画である。 (Vimeoでは58秒の抜粋版) そこでは既に存在しない香港の九龍が描かれ、降りしきる雨音とともに、冷たく水滴を帯びたむき出しのコンクリートの冷ややかささえ感じる奇妙なリアリティを持

          IP Yuk-Yiu《ANOTHER DAY OF DEPRESSION IN KOWLOON》[2012]

          榊原澄人 《É in motion No.2》[2013]

          榊原澄人 の《É in motion No.2》は惑星の運行に似ている。 榊原澄人は北海道生まれ、長野在住の映像作家である。この《É in motion No.2》は2013年制作の11分59秒の映像インスタレーションで、最も榊原の意図に沿った形式としては円形のスクリーンに内側から投影される形式となるが、2013年から2014年に六本木の国立新美術館で開催されたDOMANI明日展では展示室の壁面を大きく使って投影されており、また、モニターで体験する場合は場面がゆっくりと右に

          榊原澄人 《É in motion No.2》[2013]