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ウクライナふたたび

2019年の4月から10月まで、縁あってある事業をキエフで立ち上げようとしていた。そこであった人たちと話した内容に、一番近いのがこの記事。

ウクライナ人が語るウクライナ情勢 - 東西問題より深い政治腐敗 |SEO Japan by アイオイクス

彼らは、東西の内戦はロシアがらみだとわかっていたけれど、それはできれば現状維持にしたかった。単に戦争が嫌だから、殺し合いを止めたいから、独立の住民投票に賛成票を投じた人も多い、って聞きました。そもそもキエフなどでもロシア語・ウクライナ語両方話す人も多いし、いがみあう理由がないんですよね。

それよりも大きな問題だったのが、国内のひどすぎる汚職。なにか役所に申請するたびに袖の下を要求され、それがないと何も進まない。オルガルヒが隅々まで入り込んでいて、VCの中にもいて、最初は気前よくエンジェルを気取るのだけど、契約のなかにあちこち罠があって、いざ発展して利益が出始めると暴力的にのっとっていく。これは被害にあった人たちから直接話を聞いた。

これが "汚職指数" のウクライナの数字と詳細。スコア32はロシア(29)よりも若干よい程度。日本は73で、世界18位(ほんとかな。中抜きは考慮されてるのかなw)。

出展: 2021 Corruption Perceptions Index - Explore the… - Transparency.org

2014年から政治浄化委員会(中の人の一人が、自分のプロジェクトに参加していた - それを知ったのはだいぶ後だけれど)が出来て、浄化に取り組んでいるのだけれど、オリガルヒ(まあマフィアだよね)たちの力が強大過ぎてなかなか思うように進まない。ゼレンスキーも汚職浄化を掲げて当選はしたけれどうまくいかず支持率低迷(25%まで落ちてたと)。そこにプーチンがつけこもうとした、と。ゼレンスキー不支持層が自分の味方になると勘違いしたんでしょう。

腐敗に関しては、まとまった記事を見つけたので。日本語のは見つからない…。やはり関心の薄さ?(悲しい)

10 Facts About Corruption in Ukraine - The Borgen Project

要約:
1. "Transparency International" という調査では「ヨーロッパで2番目に腐敗してる」そうで…。それでも2014年よりは改善がみられる
2. 税制改革がまだ道半ば
3. 金融の欺瞞。2014年の金融崩壊以来金融機関が嘘ばっかりついてるし、マネーロンダリングの温床になっている
4. 政府調達。これは2014年以降の電子調達システム導入で劇的に改善
5. 天然ガス。補助金をしこたま分捕っていたけれど、IMFの介入で改善
6. 各分野でオリガルヒによる独占が野放しにされ、政府当局者が甘い汁を吸っている
7. 司法制度。国民の数パーセントしか司法制度(裁判所)を信用していない。つまり司法も腐敗している
8. 高等教育。なんと教育期間内でも贈賄が横行…
9. 規制緩和が進んでいない。これも結局汚職に結びついてると…
10. 法執行。これは2014年以後パトロールサービスという新たな執行機関を立ち上げ、職員教育をゼロから行うことで成果を上げつつあり、汚職一掃に効果が期待されている。つまり警察・検察を「挿げ替えた」と

https://borgenproject.org/10-facts-about-corruption-in-ukraine/

もともと穀倉地帯で、国自体はとても豊かになりうるはずなのに、スーパーは食べ物で溢れているのに、駅の真裏にはホームレス村があって、子連れのホームレスも多数みかけた。物乞いも多かった。オシャレなショッピングモールは毛皮やらブランドものだらけだったのにね。それらすべて、この汚職と腐敗とオルガルヒ=マフィアの独占によるもの、なのかも。

オシャレなショッピングモール「ガリバー」のなかのスーパー
小麦の国=パンの国でもある。総菜パンの種類も多い
輸入物の生ハムたち
黒海産だけでなく、近隣の海からの魚も。
日本のように100g単位の値段、3倍すると日本円
地下鉄の駅構内にある売店。パンやドーナツ、飲み物も。
街の北部Arsenalにできたばっかりのフードコート。賑わっている

会った人たちは、みんな国内の問題はよく理解している。そのうえで、自分たちがどうすればいいのかも。もちろん欧州やアメリカに拠点を移して、そこで活躍するという方法も取れるし、現にそうやって発展しているスタートアップもあったが、彼ら(子どものSTEM教育やIT系スタートアップ)のほとんどが、ウクライナのために働きたい、国をなんとかしたい、子どもたちに将来を託したい、という情熱溢れる人々ばかりだった。

いろんな足かせがいろいろあったせいで、発展しきれていなかっただけじゃないかと。それから解き放たれれば、一気に経済成長できるんじゃないかと。

すでにウクライナのポテンシャルに気づいて投資している人も、特にここエストニアには多いが、もう少し前から世界は気づくべきだったのかもしれない。いや、まだあきらめるにはきっと早すぎる。

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