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苦戦した「モルの定義」、ここで解決してかないか?


 今回紹介するのは化学の分野でよく登場する「モル」について。

 学生時代、誰もが苦戦したであろう化学の単位「モル」だが、実は定義そのものはそこまで難しくない。例えるなら12個の集まりを1つの単位とする「ダース」と同じだ。

ただ多くの人が迷うのはおそらく「 モルの計算方法」 だろう。「 何モルですか?」と聞かれたときにどう答えたらいいのか分からないのが長年悩みだっはずだ。

 そこで今回は、物質の単位として最も基本である「モルの定義」についての解説と、モルの計算方法について簡単に紹介していこう。計算そのものも、分かってしまえば別に大したことはないので科学の話題を楽しむためにも一緒に覚えてしまおう。

 ではまず定義から。
「モル」の定義とは簡単に言うと、「原子・分子などの粒子の個数」のことだ。「mol」の記号で表され単位は「物質量」と呼ばれる。
粒子が6.02×10²³個集まった量を1molとし、その体積は0℃、1気圧の環境下のときに22.4Lを占める。

 例えば、「9.03×10²³個の原子の物質量(モル)を求めよ」みたいな問題があったとすると、1モルはどんな原子・分子だろうと 6.02×10²³個なので、全部で9.03×10²³個の原子があるということであれば、モルを求めるには9.03を6.02で割ればいい。これは計算すると1.5となるので答えは1.5molとなる。

 そう考えるとモルという単位は、日常生活でもよく使う「ダース」 と考え方は同じだ。「12の鉛筆」を1ダースというのと同じで、「6.02×10²³個の原子または分子」を1モルという、至って簡単な定義だ。

モルは粒子の個数によって決められた単位なので、当然ながら物質が違えば1モルあたりの重さも違ってくる。鉛筆の1ダースと缶ビールの1ダースでは重さが違うように、水素分子の1モルと二酸化炭素の1モルでは重さが違う。ここは混同しないように注意しといたほうがいいだろう。ちなみにモル(mol)という名前は、ドイツ語で分子を表わす「molekül」からきている。

 モルの定義はたったこれだけだ。意外と単純だろう。

「モルの定義は?」と聞かれたら、とりあえず「原子や分子などの粒子の集まりだ」言っておけばまず間違いない。余裕のある人は「1mol=6.02×10²³個の粒子」と具体的な個数まで言えるとなおいいだろう。

 では最後に、多くの人が学生時代苦戦したであろう「モルの計算」について簡単にいくつか紹介して終わろう。
と言っても別に身構えるほど難しいものでもくて、考え方さえ分かればどんな物質の物質量だろうと求められる。

 モルの計算をするときに覚えておくべきことはたった2つ。1つは、「1モルの原子の質量は原子量に等しい」ということ。もう1つは「1モルの分子の質量は分子量に等しい」ということだ。

 例えば「1モルのヘリウム原子は何gだろうか。ただし、ヘリウムの原子量は4.003とする」みたいな問題があった場合、ヘリウムの原子量は4.003とあるので、答えも4.003gになる。

 分子量の場合で言うと、例えば「コップ1杯の水180mlがあるとき、水の分子は何モルあるだろうか。また、何個の分子からできているだろうか。なお、水H2Oの分子量は18とする」みたいな問題があったときは、水の密度が1kg/Lであるから、180mlの水の質量も180g。一方、水の分子量は18だから、180gの水の物質量(モル数)は180÷18=10(モル)となる。1モルの水分子は定義から6.02×10²³個だったので、10モルの水分子であれば、その個数は6.02×10²³×10=6.02×10²⁴(個)となる。

 つまり、原子量や分子量が分かっていれば、それがそのまま1モルあたりの質量になるし、6.02×10²³に物質量のモル数を掛ければ、それがその物質の「粒子の個数」ということだ。

 1モルあたりの粒子の個数は原子や分子の種類に関係なく一定なので、それさえ分かっていれば計算もスムーズに処理できるようになる。

 日常生活だとあんまり使うことない単位のモルたが、ひとたび科学の話題になると頻繁に登場する。そんなときでも焦らず、「モルとは物質量のことで、原子や分子などの粒子の個数のことだ」と分かっていればそんなに難しいこともない。

 科学が難しいと思われがちなのは、内容が難しいというより単に知らない言葉があるというだけのことが多いので、基本の用語さえ押さえておけば科学はもっと楽しいと思えるだろう。それが伝わってればこの記事もいくらか役に立ったといえる。

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